日本人転移者・シャイニングブルー武本勇利さんと日本人転移者の女性
鍼灸師の父さんに聞きたい。
加護と言う物を初めて貰ったのですが、役に立ちそうにも無いです。
僕の夢は、何時か必ず達成出来る目標になりました、神様が保証してくれたので間違いないです。
まだ
風間拓斗の日記より一部抜粋
太陽神アポロ様から加護を貰ったけど、役に立ちそうにも無い。
だから加護なんてどうでもいい。
今日も初級ダンジョンに行こうと思いながら、朝ごはんの美味しくないパンをモグモグしてたら、珍しい人から声を掛けられた。
「やあ、おはようタクトン! 良い冒険日和だなあ。」
俺の事をタクトンと呼ぶ唯一の人でシャイニングブルー武本さん。
鍛え上げてるようには見えないけど、少しゴツイ体付きで、白のタンクトップと黒のハーフパンツがトレードマークの元農家さん。
「おはようございます武本さん。良い冒険日和と言いますけど、基本的に雨なんか降らないじゃないですか
「タクトン、私はシャイニングブルー武本だぞ。間違ってもらったら困る。」
この人って8級ダンジョンクラスの冒険者なのに人気動画の演者さんなんだ。
「呼びにくいですよ、あだ名なら本名より短くしません?」
常にテンションが高くて、常に……。
「勇利! さっさと今日のノルマ達成してきなさいよ。だべってる場合じゃないでしょ!」
少し口の悪い日本人転移者の女性と行動を共にしてる。
一緒に居る女性に自己紹介はしたけど、鼻で笑われた後から、ずっと無視されてる。
「すまないね、久々にタクトンと出会えたものだからついね。行こうか。」
なんであんなに
だって、あの女性……。
自分はダンジョンに潜らないのに、
8級クラスの
そんな事を考えてたら、あっという間に8時過ぎてて、出遅れたと思いながらギルドロビーに向かった。
「おはようゴブタク。シャイニングブルーが後で話があるって言ってたぞ。」
眠そうな目を擦るボンゴさんに言われた。
「話ですか?なんでしょうね。とりあえずダンジョンに行きたいので手続きお願いします。」
何故かシャミイさんがカウンターに居ない……。
「ん?シャミイが居ないのが気になるか? 今日のアイツは本業の日だよ。」
そっか、探索者として仕事してるのか。
「それじゃ何処かのダンジョンが内部変更でもあったんですか?」
探索者の仕事のひとつにダンジョン内部の地図作成ってのがあるんだ。
数ヶ月に1度のダンジョン内部の構造が変化した後に、地図を作りに行ったのかな?って思った。
「ノースタウンのダンジョンの半分が大幅アップデートだとよ。俺もさっきまで行ってたし眠いんだ。」
ボンゴさんとシャミイさんは、最高ランクの探索者の中でも常にトップを争う最高クラスの探索者なんだ。
と言っても、1級探索者なんて3人しか居ないんだけど。
「今回は特級ダンジョンまでアップデートらしくてな、俺は2級までの地図作成をしてきたが、シャミイはターニャと一緒に特級にでも行ってるんじゃないか?」
探索者の人達が作った地図は、冒険者ギルドで印刷されて販売されるんだ。
ボンゴさんの作った地図は細かく丁寧に書かれてて人気があるけど、シャミイさんのは線しか書いてないから超絶不人気だったりする。
「ノースタウンから冒険者がセントラルに流れてきてるから問題起こせよ。マッチョな男とな。」
「嫌です。」
そんな事したくない。
ノースから冒険者が流れてきてるって言われたのが少し気になる、
ふと気になって解放ランキングの掲示板を見てみた。
今季の上位に
「
名前が載るのは上位ランクだと100位まで。
俺みたいな初級や、
1級で、もう少しでスコアが貯まって地球に帰れる権利を獲得する女性、自分で動いて貯めた訳じゃないのにさ……。
なんかやるせないな。
色々考えながら、今日は初級ダンジョンの野菜の森に来た。
レアドロップが各種野菜のダンジョンだ。
野菜の森は、森とは名ばかりの草むらなんだよ1階層〜3階層までは。
いつも通り変わらないゴブリンさん達との戦いだ。
ここのダンジョンは楽なんだ3階層までは。
中央に立ってたら勝手にゴブリンさんが見付けてくれるから。
1階層で35人のゴブリンさんを殲滅して、魔石35個、人参2本、白菜1玉、青ネギ3本、ポーション2個をドロップした。
もう少し欲しいなと思い2階層まで足を伸ばして、2時間くらいゴブリン2人対俺って感じを10回繰り返して時計を見たら夕方4時だったから帰ろうと思ってたら。
「うわ!危な!」
小さい火魔法が飛んできた。
飛んで来た方向を見たら誰もいない。
こんな時は落ち着くのが先。
ゆっくり体の力を抜いて耳を澄ます。
斜め後ろから盾持ちのゴブリンさんが飛び出してきた。
よく見たらラオパさんだった。
そして後ろにはリリカさん……。
「手加減出来ませんよ。そういうルールですから!」
嫌だな、同門対決とか……。
「兄さん、左を重点的に!」
先日教えた通りに大振りな攻撃をしないで小さく棍棒を動かしながら盾で俺の目の前を塞ぐラオパさん。
「リリカ、右側は任せた。」
火魔法だけじゃなくて氷魔法も混ぜながら、魔力を抑えて連射と速度を重視してくるリリカさん。
革鎧を受け取りに行くのを忘れてたTシャツとパーカーだけの俺に容赦なく魔法が降り注ぐ。
「声に出さずに!敵に分からない合図を作ってないなら作ってください。」
同じ師匠の元で修行する同門なんだもん、まだ負ける程に追い付かれて無いから、指導も少ししつつ。
「ラオパさん、足元が疎かです。」
ラオパさんの左足首を穂先で刈る。
そして燕返しの要領でそのまま上に槍を振り抜く。
ラオパさんが光の粒子に変わったからリリカさんの方に向きを直そうとしたら足を取られた。
「拓斗さん、足元が疎かです!」
リリカさんの土魔法で作った小さな穴に足を取られたみたいだ。
体勢を崩されたけど、目の前に飛んでくる火魔法は……。
「ふんぬっ!」
こちらから突っ込んで一気に火の中を通り抜けた。
そしてリリカさんの目の前に立って槍を一閃……。
出来なかった。
「上出来です。でもこの場合だと、リリカさんの近くにもう1人潜んで居たら、リリカさんを囮にして倒せたかもですね。」
はい!頑張りますって元気に答えてくれたリリカさんがめちゃくちゃ可愛かった。
緑色だけど。
ちなみに、戦闘中ずっとリリカさんのパンチラと、ポヨンポヨン跳ねる胸が気になって仕方なかった。
結局リリカさんを粒子に変える事が出来なくて、師匠の家に明日の朝集合して少し修行しようって話になった。
待ち合わせは朝の6時、なんか楽しみだ。
魔石56個、人参2本、白菜1玉、青ネギ3本、玉ねぎ2個、春菊1束、ポーション4個が今日の戦利品。
明日の昼間は魚ダンジョンか肉ダンジョンに行って、夜は師匠の家で鍋だな。
蟹もいいな……。
「はぁ……。アカネさんの気持ちが少しわかる気がする、リリカさん可愛かったなあ……。」
そんな事を呟いてダンジョンから出て来たら
「シャイニングブルー武本さん。伝言聞いてます、お話ってなんでしょうか?」
声を掛けたら
「やあタクトン、今朝ぶりだね!少しタクトンに相談があってね、2人で話せる所を知らないだろうか?」
そう言われたからギルドの宿屋の
「今日で晴れてソロに逆戻りなんだよ。」
「何時も一緒に居た女性は?」
屋台で買ってきた鳥肉の串焼きとギルドの食堂のボソボソパンを齧りながら防音室で話してるんだ。
ボンゴさんが防音室を借りる時に興奮してたけど無視した、シャミイさんとミーニャさんは自宅で寝てるらしい。
あまりにも酷い出来の地図だったから、さっきまで寝ずに書き直してたんだって。
ボソボソパンを肉の味で誤魔化して飲み込んだ
「さっき日本に帰ったよ。叶えて貰った願いは、片想いの男性と両思いになる事だそうだ。」
「武本さんって、あの女性の事が好きだったんじゃ?」
少しだけ悲しそうな表情になったけど、直ぐにこやかな表情に戻った
「ああ、私の初恋の相手だな。今でも好きなのかもしれないし、好きじゃ無いのかもしれない。」
「どういう事です?」
少し困った表情になった
「やっと自分のやりたい事が出来るんだ、昔受けた恩は返したからね。そんな事を考えていると、今となっては初恋もいい思い出だよ。」
19歳で
「タクトン、俺とパーティを組まないか?臨時でも良い、タクトンがノースに来た時だけでも良い、私がセントラルに来た時だけでも良いんだ。」
「俺って槍使いですよ?不人気な職業ですけど良いんですか?」
そう聞いたら。
「タクトンは、何の為に初級ダンジョンに通っている?私が8級ダンジョン迄しか行かない理由は、ほとんどの冒険者が通り過ぎる低級ダンジョンに縛り付けられている弱者を解放するためだ。」
上級ダンジョンのモンスター程早く解放されて現世に戻っていくんだ、低級ダンジョンのモンスターさん達ってチート能力を駆使して戦う冒険者達には1回だけ通り過ぎるダンジョンだから。
「色々理由はありますけど、ゴブリンさん達の事を聞いたら上に行かない方が良いと思ったので。」
「やはり!私の目に狂いは無かったな。約1万回ダンジョンで真剣に戦って倒されたら解放されるなんて低級ダンジョンのモンスターには無理だろう。一緒に下級モンスターさん達を解放して回ろうタクトン。」
嬉しそうな顔をする
「シャイニングブルー武本さんって、戦闘スタイルがプロレスですよね?槍と連携出来ますか?」
「出来ますか?じゃない、やるんだよ。」
うわあ……。
名前と同じくぶっ飛んでる……。
「セントラルに武本さんが来た時は、よろしくお願いします。セントラルから出たく無いもので。」
でも嫌いじゃ無いんだよ。だからセントラルタウンに来た時は一緒に行動してもいいかな。
「ああ、もちろんだとも。よろしくなタクトン。」
手づかみでタレで焼いた肉を食べてたから、ベトベトになった右手を出された。
握手したら、俺の手もベトベトだった。
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