元クラスメイトの転生者エルフのアカネさんとガオパさん親子



 エッチな幻想ファンタジー小説が大好きな永峰ながみねさん。

貴女が好きなゴブリンに穢されるエルフなんて、この世界には居ませんよ。


 どう考えてもDNAレベルで交配って無理そうじゃないですか。

エルフは残念なオッパイですし、オークさん達はオークの女性か、他種族の筋肉質な男性にしか興味がありません。


 それにゴブリンさん達は、家族を養う事に毎日一生懸命ですから、貴女の好きなゴブリンやオークがエルフを穢すシーンなんて幻想ファンタジーです。


 この世界で、そんな事があったら瞬殺されてしまいます。


 貴女の夢が夢でありますように。



   風間拓斗の日記より一部抜粋。




 風呂上がりにやる事が無くて、結局槍を持ち出してダンジョンに行こうと思った。


 テントの骨組みが折り畳まれるまで湯船に浸かっていたから少しだけのぼせてる。


「はぁ……99個貯まるまで使いたく無かったんだけどな。」


 仕方ないからポーションを1本飲む。

ギルドの受付に向かったのは9時40分。

誰も並んでない受付でユミルさんも含めてミードやエールを飲んでいる……


「ようゴブタク、社長出勤か?」


 左手だけで器用にピスタチオを剥きながら、ぬるいエールを飲むボンゴさん。


(公衆浴場に行った理由を知ってるはずなのにな)


「酔ったアタイや、ユミルの着崩れた姿でも見に来たか?エロタクさん。」


 着崩れるも何も、シャミイさんは上下の下着だけじゃないですか。

飲んでるのは、右手にエールに左手にミード。

 ガッツリ割れてる腹筋が凄くてオッパイに目が行かない。


(同感)


「ちょっと先輩、ゴブタク君が可哀想じゃないですか。ちゃんとオッパイ触らせてあげましょうよ、筋肉はかくしれぇぇぇうおぇぇぇぇ……」


 お酒が弱くてミード二杯目でゲロを吐くユミルさんは、飲んで無いと素晴らしい癒し系なのに……

 お酒が入ると別人のようになる。


 吐いたゲロは自分で掃除してる、掃除した後に口の中をミードでうがいして飲み込む所が凄い。


(のんだくれか)


 そんな時に頼りになるのは、9時半から受付勤務のターニャさん。


「ゴブタク、さっさとギルドカード出しなよ。この三人は、いつも通り15時位までこんなだよ。」


 ターニャさんに、前日までの討伐記録を消去して貰って、何時もより少し遅いけどダンジョンに向かう。

ギルドロビーだけは、駆け足で駆け抜けた。


 ほれゴブタクって言いながらシャミイさんのブラを下げるボンゴさんの声に後ろ髪を引かれながら……


 朝の生理現象と公衆浴場でのテント骨組みの組み立てをしたが……

今回は、かろうじて甘勃ち(*1)で済んだ。


(1日に何回興奮させられるんだ?)



 そんなこんなで、ダンジョン入口受付まで来た。

この世界のダンジョンは、各難易度別に建物と転移門が別れてるんだ。


 俺が入るのはもちろん一番小さい10級ダンジョン受付がある建物。


「こんにちは、ですかね?アカネさん。」


 受付に座ってるのは、俺の中学1年の時の同級生クラスメイト永峰ながみね あかねさん。


 貧乳で貧相な尻の、ウエストのくびれと顔だけが取り柄の残念なエルフだ。



 こっちに来て初めて会った時に、アカネさんが気付いてくれて、話すようになった。

アカネって呼んでと言われたけど日本むこうじゃ1回しか喋った事が無い、だからアカネさんって呼んでる。


 アカネさんが、教室でブックカバーも付けずに読んでた本のタイトルが「乱れたエルフとオーク達の夜会」なんて言うR18のマークが付いてる官能小説だったから、関わると危険な気がして、出来る限り避けていたから。


(教室で官能小説なんか読むな中1女子!)


「おはようでいいんじゃない風間君。」


 どう言う時間軸になっているのか分からないが、俺が来るより2年早くこっちに来てたアカネさんなんだけど、向こうの2年とこっちの2年が積み重なって、俺より2つ歳上になってて今は18歳。


(堂々とオークやゴブリンを街で逆ナンしてるぞ)


「ねえ風間君、君ってゴブリンの知り合い沢山居るでしょ?早く精力絶倫のゴブリン様を紹介してよ。」


 この人の勤務が毎日だったら初心者ダンジョンに行くよ。


 週に2回だから10級に来てるけど。



「毎回言いますけど、この世界のゴブリンさんは、同族しか恋愛対象じゃ無いですよ。無理ですってエルフじゃ。」


 それに、まな板だからなオッパイが。


(ゴブリン達は子沢山だから育てられんぞ母乳で)



「風間君みたいな変わり者だって絶対いるはず、知り合ったらおしえてね。」


 異種族性交を諦めないアカネさん、こんな人が同じクラスに居たなんて……。


(特殊過ぎる)



 10級ダンジョンには転移門と言うか転移装置が無いんだ。

だから門を潜ったら自分の足で歩かないといけない。


 そしてモンスター用出入口と冒険者用の出入口の道は、途中まで繋がっている。

モンスターさん達はダンジョンの各階層にモンスター用の入口が作られているけど、そこまでは歩き。


 冒険者用の出入口は1階層の出入口のみ。



 出遅れたから、そんなにやる気もなく、1日テキトーに夢想流の2つのかたを確認しながら過ごせたら良いやって気分で歩いてたら、後ろから声をかけられた。


「拓斗さん、休みだったのでは? 今日は、どちらのダンジョンに行かれるんですか?」


 さっき会った3人組、ガオパさん親子だ。

ガオパさんの後ろに居るマオパさんとラオパさんは、真新しい棍棒と手盾を持ってソワソワしてる。


「何処に入るか決めてませんでした。今日はのんびり型を確認しながら過ごすつもりなんで。」


「それなら、マオパとラオパに稽古を付けて貰えませんか?今日が初陣なんで。」


 ガオパさんの後ろの2人もお願いしますってさ。


「はい、良いですよ。それじゃ、お魚ダンジョンでも行きますか。あそこなら広いですから。2階層あたりで待ち合わせと言う事で。」


 ニヤっとしてガオパさんが報告してくれた。


「レオニダス師匠から連携の修行を受けて来ましたからね、今日こそ返り討ちにしますよ。」


 なんて言ってくれるもんだから。


「僕も権之助師匠の所で守りの修行をしましたから簡単に倒れませんよ。」


と返しておいた。負けられないな。


夢想権之助師匠じっちゃんの名にかけてキリッ)




 革鎧の事だけど、昨日の夜に修理に出しておいた。

 もじゃもじゃ髭でムキムキの酒臭いドワーフの店員なんて、思い出しても何にもならないから思い出す事も無いけど。


 明後日の昼頃には修理が終わるって事だけ覚えてる。


(とことんオッサンには興味が無いな)



 足早に1階層を通り抜ける、途中出会ったゴブリンさん達を、ちゃんと魔石に変えながらね。


 レアドロップにウルメイワシの一夜干しが2つ出たから師匠の所に差し入れに行くつもりだ。


 魚好きな師匠だから、ツマミにしてお酒でも飲むんだろうな。



 2階層に辿り着いた時には魔石15個、ポーション3個もドロップしてた。

良し、今日でポーション99個になりそうだ。


「待ってました拓斗さん。」


「お待たせしましたガオパさん。」


 地面は土剥き出し、平坦に見えるけどガオパさん達の方が少しだけ高い。


 本気で殺るのに左構えに槍を構える。


「それでは、よろしくお願いします。」


 20m程離れた場所で、ゴブリン3人が同時に棍棒と盾を構える。

よく見たらマオパさんの棍棒が少しだけ長くて、ラオパさんの盾が少しだけ大きい。


(何をしてくるんだろうな)



「マオパ!ラオパ!ジェットストリー〇アタックを仕掛けるぞ。」


 えっ?それって……

案の定、ゴブリン3人が縦1列になって走ってくる……

 ダメだよ日本人にそれをやっちゃ。


(バレてるよ)


 あと2mで俺の間合いに入ると言う所で、1番前を走っていたガオパさんが棍棒を投げてくる。

 これは避けない、次に来る攻撃の方が本命だろうから。


 ガッツって音がして頭に棍棒が当たった、覚悟してたから我慢出来ない程じゃ無い。

 投げられたと同時に突き出した槍にガオパさんが胸から突き刺さったけど、ガオパさんの体に槍が抑え付けられる。


 普通のジェットストリームアタックなら背中を踏み台にして上からとかなのに、マオパさんとラオパさんは左右に散開した。


 左側に行ったラオパさんが、ガオパさんと一緒に槍を押さえ付ける。


 右に行ったマオパさんが、横なぎに右足の膝の裏を狙って棍棒を振り抜こうとしてるから、槍を離して前に出る。


 この動きは予想出来てなかったみたいだな。


 そのままガオパさんの左後ろまで抜けて、突き抜けた槍の柄を左手で掴んで背中側に引き抜く。

槍を回転させながらだと、押さえ付けられても抜けるんだよ。


 引き抜いた勢いで右に回りながら、槍を短剣のように使う為に、穂先の根元を持ちマオパさんが振り向いた瞬間に1歩踏み込み、首に一閃。


 そのまま回転しながらラオパさんの正面になるように身体を向ける。


 ガオパさんとマオパさんが光の粒子に変わるのを見て、唖然とするラオパさんの胸を石突きで一刺し。


 3人が魔石しか落とさなかった。


 頭の怪我に使ったポーション2個……

魔石3個で600円、ポーション2個で2000円……


(赤字だなwww)



 やる気を無くしてダンジョンを出たらガオパさん達が待っててくれた。


 ギルドまで一緒に帰ろだってさ。



「棍棒を投げてくるのもですが、左右に散開するのは驚きましたよ。普通は上下の攻撃ですもんね。それにガオパさんの左手も棍棒だったら少しだけ危なかったですね。」


 3人にどうでしたか?と聞かれたから正直に答えた。


「拓斗さんに、そこまで言って貰えるなら高い月謝を払ってるかいがあります。」


 ガオパさんのさん達って月にいくら払ってるんだろ?


「月謝っておいくらくらいなんですか?」


「1人2万円と消費税ですね。結構痛い出費なんですよ、息子3人と娘にも通わせて居るので。私や妻と合わせて毎月12万円に……」


(やば、12万円とか……)


「おかげで私の小遣いなんて月額5千円ですよ。ハハハっ……。」


 世知辛いなお父さん。


「それなら権之助師匠の所に来ません?月謝って1人3千円ですよ。」


 俺は目録を貰ってるから1万5千円だけどな。


「それをすると、他のゴブリンと連携が……。」


「そうなんです、ゴブリン全員がレオニダス師匠の所で修行してますから。」


「スパルタ式で妹が可哀想なんですけどね。」


(なら尚更だな)


「家族で移籍すれば良いじゃ無いですか。フロアボス一家を目指しましょうよ。奥さんや妹さんには、師匠の奥さんがサキュバスさんなので、シャーマン系の魔法を習えますし。」


 うん、門弟が増えたら床板が貼ってある道場も夢じゃないからな、頑張って勧誘しないと、師匠の為に。


「連携も習得出来るのでしょうか?」


(そんなの出来るに決まってる)


連携パーティープレイ単独ソロもどちらでも教えて貰えますよ。」


 1度家族で話し合ってみますと言ってダンジョンモンスターギルドに入っていった。



 ギルドのロビーに帰ってきた。

受付3人のアルコールは、治癒魔法で完治してるようだ。


「ゴブタク、お前の頭、血だらけじゃないか。」


 え?なんですと!


「うわぁホントですね、もう一度公衆浴場に行かないと……。」


 仕方ないから夜ご飯の前に、もう一度公衆浴場に向かった。



 何故かラムダさんも来ていて、ラムダさんの髪を洗う仕草と、うなじを見て湯船の中で股間の拓斗がテントを貼った。


(俺はノーマルだ!)




*1甘勃ち=半勃ち 完全では無く中途半端に股間が起立する事。

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