素敵だよ♡
『これは隊長とくっつけるしかないだろ!?』
第二隊の隊員達がそんなことを思っているのと同時に、リセイを熱い眼差しで見ている者がいた。
ファミューレだった。
どうやら彼女も、リセイのことが気になっていたらしい。
素直ないい子で自分の言葉に励まされてくれて、しかもそれが男としても急成長しているとなれば気になっても仕方ないのかもしれないが。
彼女は、色香の塊のような体を持ちつつも、実はあまり器用な方ではなく、
『ルトウという、ビーフシチューのような料理が作れるか、タリシュと呼ばれる、女性が羽織るケープのようなものを縫えるかで、成人として認められる』
という部分を、十九の頃にようやく、しかも年齢も考慮してもらった大甘判定でかろうじてクリアできたくらいだったので、総合的な面での、
<女性としての魅力>
は必ずしも高くなかったこともあり、周囲の男性からは、
『遊びで付き合うにはいいが、嫁にもらうにはちょっと』
などと思われていたりもしたのだった。
だから、彼女の言うことを真剣に聞いてくれる男性も少なかったというのもある。
正直、馬鹿にした感じで下に見るか、体の一部分ばかり見て話は聞いてないか、聞いてくれてもどこか同情的な、
<可哀想な相手を見る目>
を、当人としては決して悪気なく向けてくるという感じだろうか。
それが彼女にとってはコンプレックスだったわけだ。
リセイはそういう事情をまったく知らず、ただ単純に自分を気にかけてくれていることが嬉しくて彼女の言葉に真剣に耳を傾けただけではあったものの、それが彼女にとっても嬉しかったのだ。
しかしその一方で、以前のリセイでは、
<優しくて可愛い弟>
という印象の方が強かったというのも偽らざるところ。
が、成長著しく明らかに逞しくなった彼を見てると、
『ドキドキする……』
などと今では思ってしまうのだった。
なんてことになっているとは露知らず、自分でも分かるくらいに変化した自分自身に、リセイ本人もワクワクしていた。
普段はゲームやアニメ三昧でも、やっぱり年頃の少年らしく、蟷螂拳の入門書を中古で買ってそれを熟読して真似事をしてしまう程度には<強さ>への憧れもあったので、こうして明確な結果が出てくるとなんだか楽しくなってしまったのだ。
だから、ティコナの家に帰ってもニコニコ上機嫌で、
「ただいまあ♡」
明るく言えてしまう。
するとティコナも、
「おかえり~♡」
甘えるような声で迎えてくれる。
彼女は、精悍な印象になったのにやっぱり朗らかな柔らかい雰囲気も失わないリセイのことがますます好きになっている自分に気付いていた。
しかもティコナはそれを隠すこともなく、
「すごくカッコよくなったね、リセイ。素敵だよ♡」
満面の笑顔でそう言ってくれたのだった。
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