第9話 彼女とのクリスマス
慌ただしくも文化祭と体育祭が終わったとある放課後。
僕は栗田と教室に居た。
「なぁ恩田」
「何だ?」
「さっきまた他のクラスの女子がお前の事見てたぞ」
「・・・何だろ♪もしかして今僕ってモテ期が来てるのかな?」
「知るか!っていうか絶対この間の文化祭のせいだろ」
「やっぱ、そうだよなぁ~ もうそろそろ忘れてくれてもいいと思うんだけど」
あれなぁ~
優子がナンパ野郎に絡まれてたから、ついカッとなって出て行っちゃったけど文化祭で他校の生徒気絶させたら目立つよなそりゃ・・・
「まぁあれは男の僕が見てもカッコ良かったしな。
女子から見たら彼女のために体張る彼氏とか理想なんじゃないか?」
「そんなもんかなぁ~」
「そんなもんだよ。僕も見習いたいとこだ」
「っていうか見習う前にお前はちゃんと鮎川に告白しろよな」
「うっ・・・」
「外野の僕から見ても鮎川はお前の告白待ってるだろ」
「そうかなぁ・・・」
「そうなの。じゃ頑張れよ!」
「ってどこ行くんだよ。バスケ部見学してくれるんじゃなかったのかよ!」
「う~ん。また今度な今日はバイトなんだ♪」
ちなみにバイト先は姉貴の伝手で川野辺駅前の喫茶店だ。
同じクラスの大室や栗平もバイトしてるし川野辺高校の生徒がやたらと多いお店なんだよね。
ちなみにバスケ部の田辺先輩や川北時代にバスケ部でお世話になった藤原先輩も居たりする・・・2人とも良くしてくれるんだけどバスケから距離を置いている身としては少し引け目を感じてしまうところなんだよな。
「っていうかさ何でこの時期にバイト始めたんだ?今迄は富田さんと毎日一緒に帰ってただろ?」
「それな。最近優子ってバレーボール部の練習参加してるだろ?一人で帰ることも増えたし暇なんだよ・・・それにクリスマスの予算確保にな」
「・・・そ そうだよな。クリスマスだよな。僕もお金稼がないとだな」
「だ~か~ら~・・・その前に告白しろって・・・」
「も もちろんだ・・・って暇ならバスケ部入ってくれよ!」
「うん。まぁ考えとくわ」
優子。バレーボール部に入るのかな。
元々優子はスポーツ全般が得意だったけどスポーツ大会の時にバレーボールで活躍したこともあり勧誘を受けていた。
それに最近、バレーボール部の相沢さんと仲良くなったらしくて誘われて練習にも参加するようになっちゃったんだよな。
相沢さんか・・・・
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12月。
年末のイベントのために気合入れてバイトを始めたわけだけど・・・・
何だか最近優子の様子がおかしい。
バレーボール部の練習も出てないらしいし僕に対しての態度が素っ気ないというか冷たいというか・・・
今日もいつもの通り一緒に学校へ向かっているものの会話がない。
「優子。どうしたんだよ?最近何か変だよ?僕何かしたか?」
「浮気者」
「へ?」
「智樹は・・・相沢さんと付き合うんでしょ?私みたいな乱暴な女よりも可愛らしい相沢さんがいいんでしょ?」
「え?」
振り向いた優子は少し目に涙を浮かべて僕を睨みつけてきた。
もしかした何か誤解されてる?
「相沢さんって?何か誤解してないか?」
「誤解って何よ!友達が見てたのよ隣町のショッピングモールで智樹が相沢さんと一緒に買い物デートしてたって」
え!あれを見られたのか・・・
違うんだあれは・・・
「ち 違うよあれは!」
「何が違うのよ。智樹なんて・・・智樹なんて!」
そう言いながら走りだそうとする優子。
僕はその手を掴み抱き寄せた。
「あっ」
「聞いてくれ。僕と相沢さんは何でもない」
「嘘!デートしてたって聞いたよ!」
「ショッピングモールは・・・あぁサプライズにしたかったんだけどなぁ~。
優子へのクリスマスプレゼント選ぶの手伝ってもらってたんだよ。最近相沢さんと優子って仲良かっただろ?」
「私へのプレゼント?え?」
「そうだよ。大体相沢さんって彼氏持ちだし、ショッピングモールに行ったときもすぐ後、彼氏さんとのデートだったんだぜ」
「え?あの?」
「彼氏さんは川北中の先輩だった人で僕も知ってる人だ。嘘じゃない」
「あの・・・」
優子も混乱してるみたいだな。
大体噂を信じすぎなんだよ。そんなに僕は信用がないのか?
確かに・・・言動は軽めかもしれないけどさ。
だけどさ・・・
「僕が好きなのは優子だけだ。信じられないのか?」
「・・・・ごめんなさい。で でも紛らわしい行動する智樹も悪いんだよ!」
「それは確かに悪かったよ・・・」
「相沢さんにも謝らないと・・・私・・・多分冷たい態度とってた・・・」
「だな。僕も一緒に謝るよ」
「うん」
良かった~。何とか誤解解けたみたいだ。
これなら・・・っていうか誘うなら今しかないか。
「そ そのさ・・・優子。クリスマスは」
「ご ごめんなさい!!」
「へ?」
何?僕まだ誘ってすらいないんだけど・・・
僕が彼氏ってことでいいんじゃなかったのか?
「そ その・・・智樹が相沢さんと付き合うとかクリスマスを一緒に過ごすとか言う噂を聞いて、クラスの子達が私を慰めるために女子会開いてくれることになっちゃって・・・」
「そ そうなの?」
「うん。私あんまり自覚無かったんだけど凄く落ち込んでたみたいで・・・」
「そ そっか・・それじゃぁ仕方ないよな・・・ハハハ」
そっか優子は僕が他の女子とクリスマスを過ごすって聞いて落ち込んでくれたんだ。
なんだよ・・・優子だって僕の事が大好きなんじゃないか。
結局、クリスマスの日はマスターにお願いしてバイトを入れさせてもらった。
人手不足で感謝された挙句お土産にケーキまで貰っちゃったのはラッキーだったけど何だか気分は複雑だ・・・
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