第8話 彼女との文化祭
僕の名前は恩田智樹。
優子との思い出も沢山作ることが出来た夏休みも終わり2学期が始まった。
2学期と言えば文化祭。
僕はこの手のイベントごとは大好きでクラスの実行委員にも立候補した。
相方は同じくイベント大好きという大室さんだ。
彼女は栗田経由で知り合ったけど、バスケ部ということもあり体育会系でノリも良いし女子というより男友達感覚で話が出来る数少ない友人だったりもする。
「はい!じゃうちのクラスはスポーツ専門のゲームセンターっていう恩田君の企画でいいね」
「「は~い」」
え!?あの企画でいいの?
うちのクラスは体育会系の部活に入っている生徒が多いから半ば思い付きだったんだけど。
「じゃ恩田君。概要もう一度説明して配置とか決めよっか」
「あ あぁ。え~と内容的にはサッカーやバスケのゴールゲーム、野球系でストラックアウト、ゴルフのパターゲームとか確保できる場所にもよるけど時間内で獲得したゴール数で商品を得るってスタイルで考えています。事前準備するのはクラスみんなで対応するとして、当日は案内や事務のメンバ以外は安全面考えての補助とかする人が必要かな。どちらにしてもそんな沢山はいらないと思うんで3班くらいに分けて交代制とかで出来ればと思います」
「恩田君ありがとう。ということで班分けと細かな役割分担始めよっか!」
ということでうちのクラスでは何故か僕が考えた企画が通ってしまい半ば強引に責任者的なポジションになってしまった。
ってみんな責任者が嫌で僕の企画を押したんじゃ・・・
まぁ、それはそれとして色々とイベントの進行や役割分担、教室内の内装の打合せなどをして、今僕は自宅に帰ってきたわけなんだけど・・・
部屋のドアを開けると何故かそこにはメイド姿の幼馴染が居たんだよね。
何やってるの優子?
「な 何よ。智樹がこういうの好きだと思ったから衣装借りてきてあげたんだからね!何か感想くらい言いなさいよ」
何このツンデレ度高めのメイドさん。メチャ好みなんだけど。
感想言えばいいの?
「メチャ可愛い!!」
「え!?」
「何それ優子。コスプレ?メチャ良いんだけど」
思わず優子に詰め寄ると優子も予想以上の反応に焦っている。
「お 落ち着いてよ智樹。文化祭!文化祭の衣装よ!」
「ぶ 文化祭? 優子のクラスってメイドカフェとかやるのか?」
「う うん。嫌だって言ったんだけど彼女にしたいランキング3位がメイドコスしてくれれば集客につながるからって・・・キャラじゃないでしょ私。こういうのって・・・・」
「そんな事無いよ。似合ってるよ。でもなんで僕の部屋で衣装を?」
学校で衣装着るならわかるけどなんで僕の部屋で?
っていうかいつも思うけどなんで普通に僕の部屋に入れるの?
母さんとか普通に1階に居たけどさ。
「・・・・恥ずかしいけど智樹に最初に見てもらおうかと思って・・・」
「・・・・・!!」
え?なに?もしかして優子が僕にデレてるの?
もしかしてチャンス?
「ゆ 優子~!」
と優子を抱きしめようと手を伸ばしたんだけど・・・
「きょ今日はここまで!じゃ帰るね!」
僕の手を擦り抜けるように優子は家へと帰っていった。
お お預けなのか・・・そりゃないよ優子。
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そして月日が経つのは早いものでいつのまにやら文化祭。
部活に入っている有坂や大室さん達は部活の出し物の手伝いなんかにも行っていたけど帰宅部の僕はクラスでの対応に追われていた。
「は~い そこのカップルさん寄ってきませんか!お兄さんも彼女さんの前でカッコいいところ見せちゃいましょうよ!」
まぁ大半は客引きしてたんだけどね。
ちなみにお手軽なゲームが多かったためか僕らのクラスの企画は順調な客足で結構いい収益を出していた。
僕の客引きだけじゃなく、鮎川さん、山下さんといった美少女たちの客引きの誘惑に負けた男子もきっと多かったんだろうな。
「お疲れ様。中々いい呼び込みするね。そろそろ代わるから休憩して来なよ」
「おぅサンキュウじゃ少しブラブラしてくるわ」
「ゆっくりしてきていいよ。と言ってもどうせ優子ちゃんのとこでしょ♪」
「まぁね」
「熱いねぇほんと」
大室さんに客引きを代わって貰った僕は優子たちのクラスが出店している教室へと向かった。
他のクラスも見たいけどどうせなら優子と一緒にまわりたいしね。
え~と・・・優子は・・・
優子たちの教室に到着し入り口で優子を探すと聞きなれた声が聞こえてきた。
「ちょ ちょっとやめてください」
「いいじゃん。一緒に文化祭みてまわろうよ」
学外の生徒か学ランを来た男二人が注文を取りに来たと思われる優子をナンパしている。あの2人・・・死んだな。
優子はナンパの類が大嫌いなんだよな。
前にナンパしてきた男も優子に殴られて怪我してたし。ご愁傷様。
・・・・などと思ってたんだけど。どうも今日の優子は様子がおかしいというか困った顔をして手を出す気配がない。
メイド服着てるから?それともクラスメイトが見てるから?
周囲のクラスメイトも男達が怖いのかオロオロしているだけで"やめてください"と言いながら見ているだけ。
男たちも段々調子に乗って優子の手を掴み強引に連れて行こうとし始めた。
・・・流石に僕も我慢の限界だった。
「あんたら人の彼女に何してくれてんだ」
「ん?なんだお前」
「その子の恋人だよ。とっとと汚い手を離しやがれ」
「ふん。何カッコつけてんだよ。お前みたいなガキがいい気になってんじゃねぇよ」
男が僕に殴りかかってきた。
これで正当防衛ってことでいいよな。
僕は相手のパンチをかわし膝を鳩尾にくらわした。
痛みにうずくまる男。
「て、てめえ!!」
優子の手を掴んでいたもう一人の男も僕に殴りかかろうとしたけど
「調子にのってんじゃないわよ!!」
「へ?」
優子の強烈な蹴りを床に倒れこんだ。
至近距離で優子の蹴りは・・・
男たちは駆けつけてくれた先生に連れられて教室を出て行った。
まぁ過剰防衛だったかもしれないけど悪いのはあいつらだ。
「大丈夫だったか?優子」
「う うん」
どうしたんだ。今日はいつもと雰囲気違うよな。服装のせい?
まぁさっきの蹴りは殺人的だったけど・・・
「智樹」
「ん?」
「そ その・・・助けてくれてありがとう。カッコよかったよ」
「そ そうか?はは」
何だか優子に真顔で言われると照れるな。
ちなみにこの日を境に"お調子者の恩田は実は最強"とかいう謎の噂が流れ生徒から一目置かれるようになったのはまた別のお話。
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