第6話 彼女との夏休み② -プール-
僕の名前は恩田智樹。
夏休み初日。僕は優子とランチからの買い物デートを楽しんだ。
まぁ買い物デートは半ば思い付きで提案しちゃったわけだけど優子も喜んでくれたしほんと良かった。
そして一緒に行ったショッピングモールで僕に更なる幸運が訪れた。
以前姉貴から貰ったショッピングモールの福引券。
参考書を買ったときに貰ったらしいんだけど引いてくるのを忘れたということで僕にくれたんだよね。
まぁ僕も貰ったことすら忘れてたんだけど、サマーセールのポスターを見て思い出し丁度いい機会だったのでクジを引いてみた。
そして・・・なんと2等のプール優待ペアチケットが当たったんだ。
当然のことながらその場にいた優子に”一緒に行こう!"と声を掛けデートの約束をとりつけた。
学校の水泳の授業では何度も優子の水着姿を(食い入るように)見ていたけどプライベートは何年も見ていない。
多分小学校低学年の頃に家族みんなで海に行った時以来だからメチャクチャ楽しみだ。
優子ってスタイル良いからな。
着やせしてるけど胸も大きいしウエストはくびれてるのにお尻は大きくて・・・
「ちょ智樹!何ニヤついてるのよ。顔つきがいやらしいよ!」
「ふぇ?い いや僕も健全な男子高校生だし・・・その~優子とプール行くの楽しみだなってな」
「楽しみなのは私もだけど・・・何だか恥ずかしいだろ!」
何そのツンデレな感じ。
顔赤くして"恥ずかしいだろ"って。
凄く可愛いんだけど。
な~んてやり取りから数週間が経過し夏休みは早くも中盤。
今日はいよいよ優子とプールに行く日だ。
なんというかここまでの道のりは長かった。
夏休み初日のデートの後も僕としては優子と甘く楽しい日々を送るつもりだったんだけど、おじさん(優子のお父さん)から"優子と付き合うなら俺を倒せるくらい強くならなくちゃな"と半ば強引に道場の夏合宿に参加させられたり、優子からは"一緒に遊ぶなら早めに宿題片付けないとね"とにこやかに何時間も勉強を強要されたりと・・・結構な地獄を味わった。
まぁどちらも優子が一緒だったしその点は悪くなかったけどね。
それにバスケを辞めてから少し体が鈍って筋肉も落ちてたけど合宿のおかげでだいぶ筋肉が戻ってきた気がする。
今日のプールは当然水着になるわけだし、もしかして優子もこの筋肉に惚れ直してくれたりするかな?
「智樹お待たせ!行こうぜ」
「おぅ荷物持つよ」
「サンキュ~ 優しいとこあるじゃん♪」
今から行くプールは川北地区に最近出来たレジャー施設で学生や家族連れに人気のスポットだ。温浴施設も併設していて水着のままだけど混浴何てことも出来たりする。
優子と一緒にお風呂(もちろん水着だけど)とか考えただけで・・・
「・・・何だかまたいやらしい顔してる」
「ソ ソンナコトナイヨ」
「・・・・・バカ」
プールは僕たちの家から比較的近く歩いても15分と掛からない距離にある。
ということで僕らはノンビリ歩いて向かった。
夏の暑い日差しの中で優子と2人。
最近は2人で歩くときはどちらからともなく自然に手を繋げるくらいの関係にはなった。ちょっとは進展したんだろうか?
そんな事を思いながらプールに到着した僕たちは更衣室へ。
男子の着替えは直ぐになんだけど・・・これから見るであろう優子の水着姿を考えると色々と人前に出れない状況になってしまい・・・僕は気持ちを落ち着かせるのに思いのほか時間が掛かってしまった。
そして、優子と待ち合わせたプール入り口にある休憩コーナーに行くとパーカーを着て少し不安そうな顔をした優子が居た。
「ごめん優子遅くなった!」
「もう遅い!ナンパ断るの大変だったんだからね」
「うっゴメン・・・」
そっか。優子ほどの美少女となると一人で居ればナンパされるのか。
想定外だったな・・・・
僕が反省して暗い顔してると優子は明るく声を掛けてきてくれた。
「あ、言い過ぎたよ。私は大丈夫だよ。ナンパ男は軽く手首捻ってり睨みつけたら逃げてったから」
「え?あ、そう そうなんだ・・・ははは」
流石と言いたいところだけど・・・ちょっとナンパ男たちに同情しちゃうぞ。
「ところでさ・・・去年着たやつサイズ合わなくなったから新しく買ったんだけど・・・どうかな?」
「ぬぉ!!!」
来ていたパーカーのジッパーを下ろし僕に水着を見せる優子。
思わず変な叫び声をあげてしまったが、優子は白系のビキニを着ていた。
そして、そのビキニに覆われた胸は予想以上に育っていて・・・・ヤバい。
「へ 変かな?私こういうの選ぶの苦手だから山下さんに男の子が喜びそうなの聞いて選んだけど!!」
心配そうな顔をする優子。
うん。山下さんグッジョブです。僕の好みわかってますね。
「い いや変じゃないよ。凄く似合ってる。綺麗過ぎて驚いただけだよ」
「え?綺麗?私が?」
「あぁ流石僕の優子だ」
「智樹の・・・・ な 何言ってるのよ急に。水着も見せたし早く泳ぎに行こ!」
「お おい優子」
恥ずかしいのか僕と目を合わせず手を引っ張りプールに向かう優子。
そういう僕も結構ハズいセリフを言ったので多分赤い顔をしている。
何だか体も熱いし早くプール入って熱を冷ましたいわ。
「大和!早く行こうよ」
「春姫滑るから慌てるなって・・・」
ん?どこかで聞いたことある声だな。
あれって・・・
「あれ?栗平さん?」
「え?あ。恩田君と富田さん?」
同じクラスの栗平さんだ。
クラスでのグループは違うけど可愛い感じで男子にも人気の子だ。
確か有坂や山下さんと仲が良かったよな。
彼氏が居るって有坂が言ってたけども隣に居るのがそうなのか?
「あ、はじめまして。春姫のクラスメイトの方ですよね?僕は鶴間大和って言います。川野中出身で、今は倉北学園に通ってます。僕も学年同じですよ」
「あ、こちらこそ初めまして。恩田智樹です」
「私は富田優子です」
と優子が鶴間さんをジロジロ見だした。
確かに鶴間さん背も高いし結構いい筋肉してる・・・ちょっとジェラシーかも。
「ん?どうかしました?」
「え?あぁごめんなさい。ジロジロ見ちゃって。鶴間さんがカッコよかったんでつい見ちゃいました。
栗平さんって時々クラスの子に"彼氏がカッコよすぎて"って惚気話してるから。なるほどなぁ~って」
「ちょ富田さん!私そんなこと!」
「え!春姫がそんな事言ってるんですか?僕なんて全然カッコよくないですって」
「そ そんなこと無いよ大和はカッコいいよ!」
「「・・・・」」
栗平さんってこんな感じの子だったっけ?
優子を見るとなんだか笑いをこらえてる。
「ごめんなさい。栗平さんって鶴間さんの事が大好きなんですね」
「な!」
「お邪魔しちゃ悪いので私達もう行きますね」
「え、あ、その・・・富田さん?」
「ふふ 私も智樹の事が大好きだから気持ちわかるよ じゃね♪」
え?何このやり取り?
鶴間さんも呆気にとられた顔してたけど栗平さんと優子では会話できてるのか?
それに優子が僕の事"大好きだから"ってなに?
嬉し過ぎるんだけど♡
その後は2人で流れるプールやウォータースライダーを楽しんだ。
今日もまた少し優子と距離が縮められた気がする。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます