第5話 彼女との夏休み① -ランチ-
僕の名前は恩田智樹。
今日の僕は浮かれている。
何故なら優子とデートだからだ。
今日から高校は夏休み。
高校に入学して遊び過ぎたのか、中間試験や全国模試はボロボロだったんだけど、何とか期末試験はそれなりの成績を残し無事に夏休みを迎えることが出来た。
これは勉強を教えてくれた優子のおかげであるところが大きい。
ほんと優子って教え方は上手いけど結構厳しいから大変だったよなぁ~
期末試験前なんて課題終わるまで部屋から出してもらえなかったし。
でも、そのおかげでこうしてデートとかもできるんだもんな♪感謝感謝。
「どうかした智樹?」
「いや 優子のおかげでこうやって夏休みを楽しめてるんだなぁ~ってね」
「ふふ それなら感謝して今日はしっかりランチ奢りなさいね」
「はいはい」
ということで今日は優子とランチデートだったりする。
小さい頃から2人で出掛けることは結構あったけど"付き合う"って宣言してから2人きりで出かけるのって初なのかもしれない。そう思うと余計に気分が上がる。
行先は横川に新しくできたというカフェレストラン。
情報通な有坂から"高校生でも無理なく入れる価格帯の店なのに店内はお洒落で料理も美味しく女子受け間違いなし"と勧められたお店だ。
実際、有坂も山下さんと一緒に行って好評だったらしいので優子を誘ったんだ。
それにしても有坂って部活やバイトで忙しいはずなのに毎週のように山下さんとデートしてるよな。
流石にあそこまでは無理かもしれないけど仲が良いところは僕も見習いたい。
横川駅で電車を降り、改札口を出たところで僕は隣を歩く優子の手をそっと握った。
「と 智樹。急にどうしたの?」
「はぐれたら困るし・・・付き合ってるんだし手とか繋いでもいいかなって。
それにこういうの・・・・久しぶりだよな」
「う うん。そうだね」
少し照れた感じの優子は普段のクールな感じとのギャップもあり中々可愛い。
小さい頃は何処に遊びに行くのも一緒だったし良く手も繋いでた。
でも優子はどんどん綺麗になって学校でも人気者になって・・・
遠くに行ってしまったような気がして、いつの間にか僕の方から距離を置くようになっていた。
でも優子はその距離を詰め僕の傍にきてくれた。
毎日の様に僕の部屋に遊びに来てくれたし、僕が部活で居ない時も部屋に来てベッドに寝転がり漫画を読んだりゲームをしたりお菓子を食べたり・・・ん?
確かに優子の家はご両親が厳しかったから漫画やゲームは禁止だったけど。
・・・きっと僕に会うために来てくれてたはずだ多分。
うん・・・あんまり考えない方が良さそうだな。
「ねぇお店ってこの近くなの?」
「あぁ徒歩5分くらいだから少し歩くかな」
「お腹空いたし早く行こうよ」
「そうだな。ちょっと待っててな」
優子はお腹がすくと怖いからな、、、
僕はスマホの地図アプリを起動し有坂から教えてもらっていた住所を表示させた。駅からバス通り沿いに歩いた先にある国道沿いのお店だ。
隣りに大型書店があるらしいからそれを目印にすればいいらしい。
「こっちだな」
僕と優子は手を繋いだまま他愛もない会話をしながら道を歩いた。
何気にこういう時間程楽しかったりするんだよな。
そして到着したカフェレストラン"フェリオ"
国道沿いということで大型の駐車場も備えている大きなレストランだ。
店舗の外壁は白木で統一されグリーンを配置した広いウッドデッキも洒落た雰囲気を出している。
「何だか素敵なお店だね」
「だろ。優子と2人で来てみたいなって思ってな」
「ありがと。じゃ中に入ろうよ!」
店内に入ると昼時ということもあり家族連れやカップルで店内は賑わっていたけど、ちょうど1組カップルが会計をしているところだったので、僕たちはほとんど待たずに席に着くことが出来た。中々運がいい。
これも日頃の行いが良いからだろうか?
案内された席はウッドデッキ。
ではなくウッドデッキが良く見える店内の席。
ウッドデッキは解放感もあって気持ちよさそうだけど夏場は暑いからね・・・エアコンが効いた店内の方がありがたいです。
席に座りテーブルに置かれたランチメニューを見ると見た目もおしゃれなワンプレートセットやヘルシーなサラダ、種類豊富なパスタなど女性受けしそうなメニューが並んでいた。
「どれでもいいよ。今日は僕の奢りだからね」
「うん。大丈夫遠慮しないから。でも悩むねどれも美味しそう♪」
遠慮してくれないんだ・・・まぁ優子らしいけどね。
散々悩んだ挙句、優子は少量のハンバーグやパスタ、サラダなどがワンプレートにまとまったレディースセット。
僕はパスタメニューからペペロンチーノを頼んだ。
「美味しそう!いただきます」
お腹が空いてたのか優子は料理が運ばれてきた途端に勢いよく食べ始めた。
レディースセットだけで足りるのかとちょっと心配になった。。。
「ふぅ美味しかった。いいお店だね」
「よかった気に入ってくれたみたいで」
「で、次は何処に連れてってくれるの?」
「え?」
「まさか食事して帰るってわけじゃないでしょ?デートなんだし」
やばい・・・何も考えてなかった・・・
そうだよなデートなのに食事して終わりは無いよな。
と、内心焦りながら外を見るとちょうど近くのショッピングモールに向かうシャトルバスが見えた。
「ショッピングモール」
「え?」
「ほ ほらそこから西川野辺のショッピングモールまでのシャトルバスが出てるだろ?ちょうど今行っちゃったけどあそこから乗っていこうかと思ってさ」
「智樹と一緒に買い物行くのも久しぶりだよね。ちょっと楽しみかも♪」
嬉しそうに微笑みかけてくる優子。
ふぅ~何とかごまかせたかな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます