第3話 彼女とのスポーツ大会

僕の名前は恩田智樹。

川野辺高校の1年生だ。


今は帰宅部だけど中学時代はバスケ部に所属していた。

それなりに活躍はしていたとは思うけど2つ上の姉が全国レベルの選手であったこともあり色々と比較されあまりいい思い出は無い。


あ、だからと言って姉貴の事は嫌いじゃない。

僕にとっての姉貴は勉強もスポーツも何でも出来て尊敬できる人でもある。

それに部活に入ってないから、同じく帰宅部の優子とも一緒に帰れるからね。


まぁそれはそれとして、今日は川野辺高校恒例のスポーツ大会だ。

この学校では秋に体育祭があるんだけど、5月にバスケ、サッカー、バレーボールに絞った所謂球技大会的なイベントがある。

学年ごとに競い合い、最後は各学年の優勝クラスが学年対抗で勝負する。

姉貴曰く賞品も出るということで結構ガチな勝負なんだそうだ。


僕はもちろんバスケにエントリーしている。

同じクラスには当時ライバル校のキャプテンをしていた栗田も居る。

栗田と一緒にバスケすることになるとは思わなかったけど、試合が始まってみると思いのほか楽しかった。


「栗田!」

「頼む恩田!」


栗田からのパスを受け相手チームのディフェンスをかわしてシュートを決める。

『もしかして今のカッコよかった?』

ちらっと応援に来てくれてる女子達を見ると大歓声!

僕にもモテキが来たのかも!!!

そして、クラスが違うはずなのに優子もその中に紛れて僕に手を振ってくれていた。優子が見てくれているならもっと頑張らないとな。


「やっぱり恩田はポジショニングやシュートセンスいいよな。今からでもバスケ部入んないか?」

「う~ん 褒めてくれるのは素直に嬉しいけど・・・」

「やっぱり恩田先輩の事が気になるのか?」

「まぁな。姉貴の事は尊敬しているけど中学の頃は散々比較されたし・・・それに」

「それに?」

「部活に入ったら優子と一緒に帰れないじゃん♪」

「はぁ・・・お熱いねぇ。まぁ恩田先輩は夏の大会が終われば引退だし考えといてくれな」

「あぁ」


結局、バスケは男女ともに学年優勝をゲット!

珍しく優子も僕の事をカッコよかったって褒めてくれた。

そういえば、中学の頃とか優子は空手の練習が忙しくて、バスケの試合を見に来てくれた事ってあんまりなかったもんな。

ちょっとは良いところを見せられただろうか?


などと思いながらバレーボールの試合をしている旧体育館に行くと


「ナイス富田さん!」


大歓声の中バレーボールに出場している優子がカッコよくアタックを決めたところだった。

男子生徒も女子生徒も皆優子に注目し応援している。

絵になるというか普通にカッコいいんだよな優子って・・・背も高くてスタイルも良いし美人だし・・・優子は気にしないとか言ってたけど・・・やっぱり僕じゃ釣り合わないんじゃないか?

なんてネガティブな事を考えていると優子と目が合った。


「智樹~ さっきのバスケカッコよかったよ!私も頑張るねぇ~」


ここで言うか!ってセリフを満面の笑みをたたえながら僕に向かって言ってきた。当然のことながら応援席にいた生徒たちが僕に注目する。

何でこんな平凡そうな男に?とか富田さん趣味悪くない?と言った視線を感じる(あくまでも僕が思ってるだけかもだけど)


本当優子って・・・

でも・・・優子もこんな沢山の生徒の中で勇気を出して僕に話しかけてきたんだよな・・・それなら僕も応えなきゃ。


「優子もカッコいいぞ!!流石は僕の優子だ!応援してるから頑張れよ!」


言っちゃった・・・っていうか"僕の"は言い過ぎた?

優子も何だか顔真っ赤にしてるし。

ちょっと後で怖いかな・・・とか思いながら試合をあらためて見ると優子のクラスの相手って・・・・うちのクラスじゃん!!

対戦相手の優子に"応援してるから頑張れよ"とか言っちゃったし・・・大丈夫か僕?

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