革命3 幼馴染の絆
第5話 親友の恋
―――
あのバスケ騒動から三日経ったある日の昼休み。
奈緒が突然突拍子もない事を言った。
「ねぇ、涼。恋してる?」
「ぶほっ!」
「やっ!汚い……」
食べていた弁当のウインナーを噴き出す俺を、奈緒が心底嫌そうに見る。
俺はそんな奈緒を無視して盛大に声を上げた。
「はぁ?」
「だ・か・ら!恋してる?って聞いてんの!」
「し…してねーよ!」
少し赤くなりながら答えると、奈緒は嬉しそうに顔を近づけてきた。
「良かったぁ~♪」
「な…何が?」
「あたし、実は恋してるの。」
「誰に?」
「ふふふ……」
「何だよ、もったいぶらねぇで早く言えよ。」
「あのね…優くん!」
「ふーん…」
さも興味なさげな気の抜けた返事をしながら弁当に箸をつけて卵焼きを口に運んだ時、ふと奈緒の言葉を頭の中で繰り返リプレイした。
「優ねぇ…。…………ってえ゙え゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙!!」
「わっ…!ビックリした。」
「優って、優って…お前本気かよ?」
「本気も本気。真剣と書いて
「何で優なんかに…………」
「涼は優君の事何とも思ってないんでしょ?『特別』な幼馴染ってだけでしょ?」
「そりゃあそうだけどさ……」
「じゃあ、協力してくれるよね?」
「はぁ?」
「あたしの恋、応援してよね!約束だよ!」
「…お、おう……」
心の奥に不思議なわだかまりを抱えたまま、俺は奈緒の恋を応援する羽目になった……
―――
「優、ちょっと…」
俺は放課後、優を裏庭に呼び出した。
「何だよ、もしかして愛の告白か?いや~まいったな~。まさか涼からなんて……」
「好きなんだよ。
「え…?うそ…だろ?」
「うそじゃない。」
俺は優の瞳を真っ直ぐ見つめた。
「え?いや…あの、俺……」
「ぶわあーか!!」
「へ?」
「俺じゃねぇよ。奈緒だよ、奈緒。」
「は?」
「だから!お前を好きなのは、俺じゃなくて奈緒!騙されてんじゃねぇよ。」
「な……!何だと、てめぇ!紛らわしい事すんじゃねぇよ。主語を言えっつーの!」
「うっせぇ!……それよりあっちで奈緒待ってんだから、早く行ってやれよ。」
「あ…おい、涼!」
俺はおもむろに後ろを振り返ると歩き出した。
「俺の役目はこれで終わり。泣かせんじゃねぇぞ。俺の大事な大事な親友なんだからよ。」
「わかってるよ。」
「……じゃな。」
笑顔で振り向く。そして手をひらひらさせた。
十歩歩いたところで振り返ると、優は既にいなくなっていた。
俺は何故か込み上げてくる涙を堪えながら呟いた。
「奈緒……うまくやれよ。」
空に向かって唯一無二の親友に励ましのエールを送った。
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