第4話 転生×ゴブレット×物体

 「ナイテルサイテルツイテルツンデル、ゴブレットに転生せよっ」

 女神様の体が歪んで消えていった。

 目が覚めると、そこは古臭い木製の食器棚の中だった。体が全く動かない。どうやら本当に異世界に転生してしまったらしい。しかもどうやら本当にゴブレットに転生してしまったようだ。一体この姿でどうやって善行をはたらけというんだ。俺の能力は二つ、重力の法、吐き出しの法。この二つを上手く使って人助けしろってか? まったくせっかく異世界転性できたのに前途多難だな。


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 どうやら俺は魔女に買い取られたらしい。さっきから包丁を研ぐ音が聞こえる。だが俺は恐怖を感じない。ゴブレットだから。彼女に良いことをすれば人間に転生させてもらえるのだろうか。でも老婆は全く俺を使う様子がない。何故だ。怪しげな釜にカエルやらトカゲやらエノキダケやらをぶち込んで煮込んでいる。とても食事を作っているとは思えない。不気味だ。老婆は釜から離れ、俺の元に近づいてきた。そして棚を開け、俺を掴むと、

 「いっひっひ。いいゴブレットが手にはいったよ。こいつは城への献上品にしようかしらね」

 と言って再び俺を元の位置に戻した。

 城?

 献上品?

 一体俺はどうなるんだ。

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