☆第178話:地図の新機能

*タイトルに「☆」と入れていますが

長らく更新していなかったため、更新部分の目印につけているだけです。深い意味はございません。



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「どうせなら模写地図を持って来てやればよかったな」

「げっ。15階の地図もあるのか?」


 ニヤリと笑うと、芳樹が悔しそうにする。


「俺らより後から入ったくせに追い抜かれるなんて」

「まぁ10階まで地図がほぼ完璧だったからなぁ。あと自転車持って来てたし」

「あぁっ、自転車のこと忘れてた。くそおっ。まっとうな冒険家だからこそ、自転車攻略ってのが頭から離れちまう」

「福岡の02ダンジョンでは、豊たちがいたから自転車に乗れてたってイメージだったもんな」


 俺のオプションは自転車攻略かよ。


「まぁいいや。1枚ぐらいならコピーしてもDBP的にも痛くないし。別にいいよ」


 15階の図鑑地図をコピーして春雄に渡す。芳樹に渡しても、地図を確認しながら歩く性格じゃないからな。


「サンキユー、豊。ようやくマッピング地獄から解放されるよ」

「でも地図は見なきゃならないだろう」

「まぁね。描くのが面倒なんだよ。えぇっと、最初は……ん? なんだこの点」

「どうした春雄」

「いや、なんかカラフルな点がもにょもにょして……待て! これってまさか──」


 春雄が慌てたように移動する。もちろん全員付いて行く。


「来んなよっ」

「来るなって、どうしたんだ春雄?」

「赤木先輩、ひとりで行動するのは危険です」

「じ、じゃあ豊たちのパーティーだけ来てくれよ。他は階段の下に戻ってくれないか。大事なことなんだ」


 言われて仕方なく、俺たちはその場に残り、芳樹たちが階段へと戻る。


「どういうことなんだ、春雄」

「豊。図鑑に新機能追加されてないか? これを見てみろ」


 地図のコピーを覗くと、春雄の言うカラフルな点というのが確かに見えた。

 階段の下に赤や黄色、他にも何色かあるが重なっててよく分からない。そこから少し離れたここ・・に青い点が一つある。


「翔太だけこっちに来てくれっ」

「えー、ボクだけー?」


 ぶつくさ言いながらも、顔だけはにやりと笑みを浮かべた翔太が移動してくる。

 地図上のピンクの点がこっちに移動しているのが見えた。


 え、まさかこれって──


「図鑑の地図と同じ機能じゃないか!? ってか翔太はピンクかよ!!」

「豊の地図もこんな風になってるのか。こりゃいいな。自分が地図上のどこを歩いているのか一目瞭然だし、仲間と逸れてもこれなら簡単に合流できる」

「えぇー、ボクにも見せてよぉ。あ、本当だ。うへー、ボクはピンクかぁ。やっぱ可愛いカラー?」

「それ女子の前で言うと殺されるぞ」


 ダンジョン図鑑を確認すると【コピーした地図の機能追加(地図に触れている者の位置が地図上に表示される)】というのが追加されていた。

 図鑑レベル34で発生したらしい。

 地下16階の情報が書き込まれたことで、レベルが丁度34になったみたいだ。


「地味にその地図のほうが性能いいよな」

「そうなのか?」


 芳樹たちも移動してきて、自分は何色だと色合わせをしている。


 図鑑の地図は俺にしか見えない。でもコピーした地図は他の人にも見える。

 俺もパーティー用にコピーを持っておくかなぁ。


「その地図。芳樹たちのパーティー専用になったのか?」

「さぁ、どうだろう?」


 春雄が地図を甲斐斗に手渡す。


「ん? 点が消え──いや点いた。もしかすると、地図を持つ者のパーティーメンバーの位置が表示されるのか」

「へぇ。じゃあ必要なくなったら協会に持って行って、効果を教えれば高額取引できるんじゃないか? まぁレンタル料的な?」

「もちろんその報酬は俺の懐にはいるんだよな?」


 そう言うと、何故か芳樹の表情が固まる。


「もちろんさ」

「その間はなんだ! まぁそういうことなら……やっぱり複数枚あった方がいいよなぁ」


 あぁ、なら福岡02の支部に置いて来たコピーの原本もこっちに持って来てた方がいいな。


「浅蔵さんの分身とか、どうなるんでしょう?」


 上田さんのそんな一言で確かめることになった。

 今の分身レベルは11。だが分身の数は10人のまま。ただ出現時間が1時間から2時間に伸びている。

 まぁ俺100人とかいう恐ろしい光景にならないのはいいことだ。


「"分身"」

『どうだ?』


 わらわらと出てきた俺10人。

 地図を見つめる一向が、何故か笑い始めた。


「あ、浅蔵……黄色かよ」

「あぁ、でもそうだよね。浅蔵って赤なイメージないよ。黄色でいいよ黄色で」

「でもこれ……黄色だらけになるんですね」

「浅蔵先輩は、分身しても浅蔵先輩だしぃ。こうなるよねぇ」


 ……あぁよく分からん!


「俺にも見せろっ」

『俺も俺も』

『うげっ。本当に黄色だ。しかも分身の俺たちも全員黄色じゃん』


 甲斐斗の持つ地図には、もぞもぞと動く黄色い点が11個あった。


「甲斐斗はやっぱ青なんだな」

「まぁそうだよね。甲斐斗は青だよね」

「あー、上田さんがピンクなんだー。え、じゃあセリスちゃんは?」

「私は水色ですね」

「あれ? じゃあこの赤って……」


 全員が虎鉄を見る。


『にゃ?』

「虎鉄。ちょっと階段のほうに歩いてくれるか?」

『にゃー。いいけど、なんにゃー?』


 てくてくと歩く虎鉄に合わせて、地図上の赤い点が──動いた。



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