第136話
46階の攻略のために、福岡02の階層ボスからスキルをゲットすることになった。
とにかく取れるだけ取って、誰かひとりでも有効なスキルを盗れればってことで。
同時に俺は全員の武器改造をすることにした。
ボスは2~3日おきに現れる。
下層攻略組のためにボス討伐禁止――なんてこともできないから、他のパーティーに倒された場合は別の階層に。
とにかくスキル獲得月間を開始して半月が過ぎた頃。
「地上ではそろそろバレンタインだぜ浅蔵」
「そうだな……」
「セリスさん、買い出しするから、欲しい物あったら言うてね。チョコとか、チョコとか、チョコとか」
「木下さん、それチョコしか言うとらんばい」
木下さんグッジョブ。
この際市販のでもいい。セリスさんから貰うってことが重要なんだ。
『チョコ美味しいにょか?』
「虎鉄はダメだ。猫にチョコは猛毒だって聞いたからな」
『毒にゃか!? あさくにゃ、チョコ食べたらダメにゃよ!』
「俺はいいの。っと、次行くか」
俺とセリスさん、虎鉄、芳樹に木下さん。他に7人の下層攻略組の12人でパーティーを組み、40階のボスを探していた。
35階層のボスも倒していなかったが、そちらは昨日の夕方に別の下層攻略組が倒してしまったので復活するのは明日か明後日。
代わりに40階が今日辺りだろうってことで探している。
他にも45階、30階のボスを探すチームに分かれ、他はレベル上げをしていたりする。
何度目かの転移でようやくボスを発見し倒し終えると、5人がスキルをゲット。俺を含め7人はスキルなしだった……。
「げ、元気出して浅蔵さん」
『にゃー。あっしのレベルが上がったら、もしかしていいのが出るかもしれないにゃよー』
「いいの? そういやお前、レベルアップでもスキルが貰えるんだっけか?」
『にゃー。ポイント制にゃよー』
ポイント制?
どういうことなんだ?
ちなみに虎鉄とセリスさんはスキルゲット組。
幸いなのは芳樹もゲットしていなかったことか。
「浅蔵ぁ、明後日リベンジするぞ」
「その前に俺は35階層のボスだな」
ボス討伐が終わればレベリングになるんだが、俺は武器改造の仕事がある。
とはいえ、そろそろ全員分の改造も終わりそうだ。
今日は甲斐斗が使う杖の改造をする。
魔力を増幅させる石と、試しに魔晶石をはめ込んでみることにした。消費MPというか、魔法を使うことによる疲れの軽減が出来ればと思って。
その作業の間に虎鉄の話を聞くことにした。
『レベル10になったときにスキルを貰ったにゃが、選択できたんにゃ』
「選択?」
『にゃー。スキルを取るか、ポイントを保留するかのどっちかにゃー』
ポイントはレベルが5上がるごとに貰えているようで、取れるスキルは候補がいくつかあるという。
最低でもポイントは2必要だったので、シュババッが取れたのはレベルが10になってから。
「虎鉄、今取れるスキル候補は何がある?」
『にゃー……覚えてないにゃねぇ』
「覚えてってことは、レベルが上がった時にしか確認できないの?」
『そうにゃよセリス。レベルが上がると、変な声が聞こえてスキルを取るかどうか聞いてくるにゃー』
今までこの話を俺たちにしなかったのは、特に重要だと思っていなかったからのようだ。
まぁ賢くても虎鉄は猫だ。気まぐれな性格なのだから仕方ないだろう。
「虎鉄、明日はレベリングをしよう。レベルが上がった時には教えてくれ。それで選択できるスキルを教えてくれ」
『わかったにゃよ~』
それをメモして考えよう。
そうしてその日の武器改造は終わり、翌朝は5階層に向かった。
なんだかんだとここのボスからもスキルを貰ってないんだよなぁ。
ただこの階層は他の冒険家も多いから、遭遇するのは難しいだろうなぁ。
「なんて思っていると出くわすもんだな」
『ジーワッジーワッジジジジジジ』
「うるさくないですか、あれっ」
『ツクツクホーシッツクツクホーッシッツクツクホーッシッ』
『うにゃにゃいにゃーっ! "シュババッ"』
『ジジッ』
天井高、25メートルぐらいはあるだろうか。
その壁に2メートルほどもある巨大なセミがへばりついていた。
巨体ゆえにその鳴き声も大きく、とてもじゃないがあまりのうるささに耳を覆いたくなるほど。
いや、だった――というべきか。
虎鉄の怒りの鉄拳一撃で、まさか地面に落ちるとは。
そうなるともうね、俺のビーム鞭の一振りで真っ二つになるわけさ。
【福岡02ダンジョン5階層ボスモンスターを討伐したよ】
【討伐完了ボーナスとして『相殺』スキルを獲得したよ】
そしてなんだがよく分からないスキルをゲットしてしまった。
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