第112話
「もう六時過ぎてるね。31階の階層情報だけ仕入れて引き返すか」
「あ、じゃあステータス板、ここで見て行きません? 上だと行列が……」
『スキルにゃ!』
「「え?」」
30階攻略も終え、引き返すかというところで虎鉄の声が響いた。
そうだ……レディークィーンが階層ボスなら、スキル獲得の可能性だって!
セリスさんもそれがあって、ここでステータス板を見ようと言ったのだろう。
階段を下りてステータス板によじ登った虎鉄は、嬉しそうに目を細め髭をピンと伸ばしていた。
隙間から見ると――
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虎鉄 ケットシー 0歳
レベル:16
筋力:D- 肉体:E 敏捷:B+
魔力:C+ 幸運:A
【スキル】
奥義・爪磨ぎスラッシュ9 シュババ3 鑑定2
毛づくろい1
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毛づくろい……うん。猫だもんな。
いやでもこれ、人間にはつかないスキルだろ?
「虎鉄。スキルの所触って詳細情報だしてみろ」
『にゃー』
ステータス板の画面が変わり、毛づくろいの詳細が映し出される。
あぁ、ダンジョン猫や猫タイプのモンスター限定ユニークスキルって書いてあるな。
スキルとして発動させた毛づくろいをすると、一定時間、防御力アップ……。
『これ凄いにゃか?』
「す、凄いんですよね?」
「……凄いに決まっているだろう。どの程度の防御力が上がるか分からないが、肉体ランクの低い分、それをカバー出来ているし……いや……」
虎鉄のステータスが上がってる?
以前はプラスだのマイナスはまったく無かったはずだが……。
「敏捷が高いから攻撃を受けることはほぼ無かったが、下層に行けばそうも言っていられなくなるだろう」
回避も防御も優れた虎鉄……やっぱりこいつが最強なのか!?
くっ。羨ましい!
よ、よぉし、俺だって!
ステータス板に手を乗せようと伸ばすと、それと同時にセリスさんの手も伸びてきて――
「「あっ」」
お互いの手が触れる。
「お、お先にどうぞ」
「いやセリスさんこと、お先に」
「急ぐものでもないけん、浅蔵さんが」
「いやここはレディーファースト」
お互い譲り合う形になって、どうぞどうぞの繰り返しに。
『あっしも手ぇー』
そう言って虎鉄が、今だ触れ合ったままの俺たちの手に肉球を乗せた。
うん。下にはセリスさんの手、上には虎鉄の肉球。
癒されるぅ。
「じ、じゃあ私、先に見るばいね」
「う、うん。どうぞ」
虎鉄を抱っこして一歩下がる。
彼女がステータス板に手を置き、映しだされた物を見た。
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セリス・時籐 捕らわれのダンジョン人 18歳
レベル28
筋力:E+ 肉体:F+ 敏捷:C-
魔力:F+ 幸運:E
【スキル】
ラジオ体操6 跳躍力4 フットワーク4
ボタン縫い1 エンチャント・ホーリー
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セリスさんも新しいスキルが!?
「エンチャント・ホーリー?」
セリスさんは喜ぶより先にきょとんとする。直ぐにスキル詳細を開くと、その目は喜びに変わった。
「これで怪我の心配もなくなるばい!」
「あぁ、凄いよこれは。しかも攻撃にも使えるなんて!」
『あっしのとどっちがしゅごい? ねぇどっち?』
虎鉄には申し訳ないが、断然セリスさんのスキルのほうが凄いだろう。
なんせ――
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【エンチャント・ホーリー】
武器に聖なる力を付与させる。
聖なる力は、天使型以外の全てのモンスターに対して有効であり
また信頼する仲間に対して付与した武器を触れさせれば
怪我の回復にもなる。
回復量:小
*スキルレベルにより上昇。
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モンスター相手なら属性的な攻撃になるのだろう。
そして味方に使えば――っていうか、武器に付与だから味方を攻撃すれば……
「これ……俺が怪我した時、セリスさんに斬られればいいってことだろうか?」
「え……ど、どうなんやろう?」
『怪我したあさくにゃを、セリスが止め刺すのかー?』
「そんな訳ないやろっ」
あー、うん。
これ要検証だけど、それすら恐ろしい。
き、気を取り直して最後は俺だ。
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浅蔵 豊 捕らわれのダンジョン人 23歳
レベル:30
筋力:C 肉体:D+ 敏捷:C-
魔力:F 幸運:C+
【スキル】
感知12 順応力9 ダンジョン図鑑13
サポート6 エナジーチャージ4 分身3
武器改造1
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武器改造?
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