第8話
「蘭、蘭ッ! もうその辺で、その辺にしとけって!」
「なんでよ! こいつらのナンパの仕方には我慢ならんのや! いっぺんマジで女の子の扱い方叩き込まな気がすまん!」
「それして何があんのやって、マジで面倒事引き寄せんな頼むから!」
あかん。
元の蘭も面倒くさかったけど、この蘭も十二分に面倒くさい……! 蘭の堪忍袋を切ってしもうた二人組の男にどえらい絡み方しくさりおって、男たちかて困惑通り越してヤバいのに声かけてもうたって顔してるやんか!
「女の子はこの世界の宝物やっ! 大切に扱わなあかんことくらい誰でも少し考えたら分かるもんやろうが!」
「なんやねん、こいつ……」
「それをなんや適当に茶ぁでもしばかへんとかヘラヘラ笑いながら言いくさりよって!」
「ちょっとお友達から言ってくれよ」
「すまん! 堪忍なっ! こいつ今ちょい機嫌悪ぅて、ほら、止めておくさかいに早ぉどっか行ってくれ、すまん!」
ああ、もう!
そんでこいつらも困惑している暇あったらたったとどっか行けや!? 騒ぎ聞きつけて人集まりだしとるし……! てか、うちの男二人組はどこで何しくさっとんねん! 見守っとるんは知っとんねんからはよ助けに来いやァ!!
「おぃおぃおぃ、なんだこりゃびっくりじゃねえか!!」
「やっと来、うぅわマジか……」
「喧嘩かと思って来てみりゃ、おいおい、天王寺じゃねえか!!」
「兄貴ィ! この間の借りを返すチャンスでヤンスね!」
野次馬押しのけてやってきたのは、ウチらの幼馴染共やなくて馬鹿面引っ提げた今宮と……、うん? まあええか。
「野田でヤンスぅぅぅ!」
ああ、なんかそれ。
「お前らの敵う相手じゃねえよ、どっか行け」
「うわっ!?」
「はっはっ! お前が女じゃなくて男と一緒ってのは新鮮だな、おい!」
蘭が絡んどった二人を放り捨てて、でっかい巨体が蘭を目の前で見下ろした。……いつもは遠くから見とるからあれやけど、近くで見るとえらい迫力あるな、こいつ。
「ぶっちゃけどうでも良いが、男と遊ぶなら先に俺……、うん? なんかお前雰囲気変わってね?」
「あ? 分かる? いやー、ちょっと色々ありまして!」
「……はえ?」
「な、なんでヤンス!? 天王寺が壊れたでヤンス!?」
「その気持ちは若干分かる」
「お、おいおい……、おい、巨乳姉ちゃん! な、なんだこ、いや……、なにこれ」
「誰が巨乳姉ちゃんや。まあ、色々あってな」
「色々で済むレベルじゃなくないか!?」
「まあ、良いじゃない! いまはこれが私なのよ! それより、さっきの二人にはまだ用があるから、ちょっと悪いけど今宮くんの用事はあとにさせてくんない」
「えぇえ……」
「げぇ!? また来たッ」
「だから今のうちに逃げようって言ったのにぃ!!」
せっかく今宮のおかげで場がなんとかなりそうやったのに、蘭の奴さっきの男たちにまた絡みに行きよった……。もう、どないしょう……。
「なぁ、天王寺のやつ。なんであいつらに絡んでんだ? 女でも取られたか?」
お前と一緒にすんな、と言ってしまえば怒りがこっちに向きそうやったので、真面目に今日の経緯をざっくりとだけ話してやることにした。
最初は真剣に聞いていた今宮やったけど、
「ぶはっ」
あ?
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