第7話
「結構です」
「間に合ってます」
「友人と待ち合わせしているので」
「お断りします」
「……却下」
「論外……!」
「出直してこいやァ!!」
大変だ! 蘭ぴょんの機嫌がどんどん悪くなっているぞ! これはみんなで応援して蘭ぴょんへにこにこルンルンパワーをぎゅっぎゅっと届けてあげないといけないね!!
さぁ、いっくよーー! さん! にー! え、小虎っちどうし、え、自己紹介しろ? 別に必要かな? え、良いからしろ? もぅ! 小虎っちは我が儘だなぁ! そこも良いところ、だ、け、ど、ね!
蘭ぴょんと真奈美たんの幼馴染にして、小虎っちの幼馴染兼親友の天満祐介だよ! 俺のことを
こんなもんで良いかな? お前はSNSとかだと性格が違いすぎる? そうかなぁ……、自分ではあんまり変わらないと思うけど……。アホぬかせ? もぅ! そんなこと言うなんてプンプンなんだぉ!
それじゃあ気を取り直してまずは状況の説明だぜぇ!!
両親の血と才能と愛と気合いとその他もろもろを一心に受けてまっすぐに育った蘭ぴょんはドン引きするほど周囲を魅了する王子様へと成長しちゃったんだぉ! そのことに悩んでいると聞いた俺たち幼馴染ーズは彼女のために出来ることはないかとうんうんと唸ってえいえいと頑張って薬を作りあげたんだ! これぞ友情パワーさ!!
薬の効果で無事に格好付けずに済むようになった蘭ぴょんは恋をするためにナンパをされに真奈美たんと駅前までやってきたぞ! 俺と小虎っちはそんな二人を影ながら応援中!!
口を開けば王子様として誰よりも格好良い蘭ぴょんはそれはもう見た目だって素晴らしくて浦島太郎だよ! 真奈美たんもお金にがめついけど、おっぱいがバインバインで顔もキューティ! だから、駅前に立っているだけでひっきりなしに男たちがナンパしてくるんだけど。
あれあれ、どうしてかな? 念願のナンパなのにされる度に彼女の機嫌が悪くなっているぉ! これは大変なんだぉ! ここはみんなのにこにこルンルンパワーを、
「やかましい!!」
「ひぃ!? え、ど、どないしたんよ、真奈美」
「え。ぁ、ああ、すまん。……なんかおもっくそ腹立ってもうて」
「分かる。本当に意味分からんね、さっきからナンパしてくる連中」
「いや、そうやないんやが……。てか、そんなにひどかったか? そりゃ鬱陶しい奴らも居ったけど、さっきのなんか別にそこまで」
「花が飛んでへん」
「うん?」
「女の子をナンパするんやで? どれだけ命を賭けて行わなあかんものかあいつら誰も理解してへん!」
「え、うん、うん?」
「ほらみろ」
小虎っちが飲んでいるのは抹茶栗きんとんコーラ! ほのかな苦みと砂糖の甘みが一気に押し寄せてくる栗の味はまったくしない一品だぉ! そんなことより、気になるのは小虎っちの発言だね! さすがは一番の幼馴染! 俺たちに分からないことでも先回りで感じ取ることが出来るなんてそこに痺れる憧れるぅぅ!
「究明」
「どうもこうも、蘭はおばさん達がずっと女の子についてを言い続けてきたから。それこそ少女漫画の王子様のような扱いでなければ納得がいかないんだよ」
「令和」
「そうだな。一番の問題はそれを蘭自身が分かってないんだよ。自分の女の子に対する考え方がズレまくっていることにな」
「冗談」
「多少はおかしいと思っているようだけど、多少、なんだろうね」
なんてこったパンナコッタ!! だから蘭ぴょんはさっきからナンパしてくる男に激おこプンプン丸なんだぉ!! でも、それはとっても難しい話なんじゃナイジェリア?
少女漫画じゃアルマジロ、今時歯が浮くような台詞でナンパする男性がどれだけ居るか分かったもんじゃ蟻とキリギリス。
うぅん……これは困った困ったこまどり姉妹。つまり蘭ぴょんが納得するには普段の蘭ぴょんのようにナンパしてきつつ、加えて背中に花を背負った男性……、でもでも、花を背負うってどうすれば良いのカーネーション……。
「行くぞ」
あれあれ!? 小虎っちどこへ行くのッ!? って、あれ? 蘭ぴょんたちの周りに人が集まっているようだけど……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます