第20話 魔族と友達2

「クヨ、ちょっと質問してもいいかな?」


「ん?どーしたの?ミズミはかせ」


「クヨはさっき、その赤いリボンがサレアのものだといったな?」


「うん、クヨ言ったよ」


「その、サリアっていうのは一体誰なんだ?どうしてクヨは知ってるんだ?」


 クヨは「うーんとねー」と言いながら、しばらく考え込む。


「サリアはね、クヨの友達だよ!」


 クヨはにこやかな笑顔で言う。


「友達……?」


「そう!クヨはいつもサリアと一緒にいたの!クヨ、サリア大好き!」


「そうか……一体サレアはどんな子なんだ?」


「すっごく優しくて、すっごくつよくて、すっごく可愛かった!」


 クヨは今まで以上に、瞳を輝かせて話してくれる。

 本当にサレアの事が好きなのだろう。

 好きな事を語るクヨは、とても楽しそうだった。

 まるで、普通の少女みたいに。


「ミズミ博士、ちょっと……」


 助手が私に耳打ちしてくる。


「あまり過去の事を追及すると、自身の正体について、思い出してしまうのでは……?」


「いや、クヨは恐らくもう知っているよ」


「え?」


「……知った上で、彼女は私たちに接している。逆に、私もそれを理解した上で、彼女に接している。それだけの事さ。だから、彼女に気兼ねする必要は無い」


「ミズミ博士……」


「大丈夫。私を信じたたまえ」


「分かりました、博士が言うのならば……」


 私は再び、クヨの方をみる。


「クヨ、サレアはそんなに強かったのか?」


「強かった!すっごく強かった!」


「どれぐらい強かったんだ?」


「サレアはね!力も強いし、魔法も強いしね!あと、やっぱり『みりょう』がすごかった!」


「魅力……?」


「敵を『魅力』して、あやつっちゃうの!用が済んだら、ころしちゃうけど、でも、ころすときも、サレアはかっこいい!」


 なるほど、ようは相手を洗脳して、操り、味方にする訳か。流石はサキュパスの王だな。魔王軍の中でも、かなりの猛者だったのだろう。

 クヨがここまで言うのならきっとそうだ。


「サレアはとはいつから友達なんだ?」


「うーん。生まれた時からかな!サレアとはずっと友達だったよ!」


「生まれた時から……?」


「うん!ずっと友達!でもね、サレアはかわいそうだよ。あんな風に切り刻まれて……」


 まだ物騒な単語が出てきたな……


「サレアに一体何が、起こったんだ?」


 もう少しだけ、もう少しだけ踏み込むんだ。もう少しだけなら……!


「クヨね、サレアと一緒にね、フナーラマっていうやつを殺せって言われたの」


「誰にだ?」


「まおうさまだよ。まおうさまはあんまり好きじゃない。クヨの事虐めるもん」


 待て、今クヨは何と言った?

 魔王様と言ったよな?

 クヨの口から魔王に関する単語が出るのはこれが初めてだった。


 これは一体……!?





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