第5話 魔族の朝
クヨは研究所の客室のベッドで気持ちよさそうにスヤスヤと寝ている。
私は近くでクヨを眺めていた。
ーーーーやはり本当に整った顔をしている。
見ているだけで、不思議な魅力で魅了されてしまいそうである。
やはりクヨの事をもっと知りたい。
私は客室を出ると、クヨが起きぬよう、静かに扉を閉めた。
私は私の部屋へと戻る。
私はふわぁぁと欠伸をする。
やはり今日は少し疲れてしまったな。
そろそろ寝るとするか……
だが、その前に……
私は部屋の机に置かれている例の歴史書をペラペラとめくる。
何とかクヨの信頼を得る方法は無いだろうか……?
***
翌朝。
どうやら私は歴史書を読んでいる最中に寝てしまったらしい。
私は大きく伸びをする。
さて、クヨの所へ行くか。
クヨが寝ている客室を起こさぬよう静かに覗くと、クヨはまだスヤスヤ寝ていた。
ーーとりあえず朝食を用意するか。
私は料理場へと向かう。
ふむ、食材と呼べるモノが近所のおばちゃんから貰った腐りかけの卵とカビが生えかかっているパンしか無いぞ。
だけど、外に出るのは嫌だしな。
仕方ない、スクランブルエッグでも作るか。
それならごちゃごちゃするだけで出来るし。
そんな訳で、腐りかけの卵とカビが生えかかった(というか生えている)パンを使用した簡単なスクランブルエッグを私は作った。
私は天才だが、万能では無い。
体を動かしたりするのは好きでは無いし、料理も得意ではない。
スクランブルエッグとパンと昨日おばちゃんから貰ったよく分からない果物…よし、完成だ!!
「クヨ、朝ごはんが出来たぞ」
私は再び客室ーーーー改め、クヨの部屋へと戻る。
「うん……?あさごはん?ごはんってたべるやつ?」
「そうだ、お腹が一杯になる幸せなやつだ」
やはりまだ知能が完全という訳では無さそうだ。
「しあわせ……クヨ、しあわせになりたい!」
「そうか、なら朝ごはんを食べないとな」
「うん、あさごはんたべる」
私はクヨと一緒に朝ごはんを食べる事にする。
この不味い(興味本位で昨晩私も食べてみた、不味かった)果物は全てクヨにあげよう。
クヨは喜んで朝食を食べているのだが、やはり腐りかけのを使ったのが不味かったのか、私は腹痛を起こしてしまった。
料理は不味いし最悪だ……
作ったのは私だけれども。
「ミズミはかせ、たべないの?」
クヨが心配そうに訊いてくる。
「ああ、大丈夫だ。クヨ、私はもう良いから私の分も食べたまえ」
「いいの!?やった!クヨ、うれしい!」
「そうかそうか、うれしいか…私も嬉しいぞお…いてててて…」
やれやれ……一体どうなる事やら……
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