M05-03
「君が宮本修(みやもとしゅう)くんかい」
山村光一(やまむらこういち)の質問に少年はうなづいた。
「『この星のみなもと』の意味を教えてくれないか」
「・・・」
宮本修は答えない。
「『カイラギ』の胚、つまり、たった一つの『カイラギ』の細胞から地球生命は誕生したと言うことかな」
宮本修はゆっくりとうなづいた。
「そうか。君が『カイラギ』の最初の意思か」
宮本修の後ろに金色に輝く『カイラギ』の姿が浮かび上がる。
「ここは『モノリス』の中か」
「そうだよ」
宮本修ははじめて口を開いた。
「ずいぶんと古いものを持ち出したね。『モノリス』はなんのためにつくったのかな」
山村光一は質問を続ける。
「過去の脅威を排除するために」
宮本修は穏やかな顔で答える。
「過去。じぁ、これはタイムマシンか」
宮本修は首をふる。
「あらゆる空間、時間を移動できる道具です」
「そうか。過去の脅威とはどんなものかな」
「最初の『カイラギ』の胚をつくり出した者です」
「それが『カイラギ』に取り込まれた人々の意志なのかな」
「はい」
「『カイラギ』はおろかな人類を自滅から救い、生物が暮らしていける地球を取り戻した。最後は人類の争う心のもととなった脅威を排除すると言う。しかし『モノリス』の存在そのものが人類にとっての新しい脅威となるだけではないか」
「・・・」
「勝負しないか。そちらが勝ったら僕の命をやろう。こちらが勝ったら『モノリス』は破壊する。争いのない究極の幸せなんて退屈だろう。どうだ。ワクワクするだろ」
山村光一は楽しそうに宮本修に言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます