病院 面会

先生がやってきた。車椅子に座って話をする。

「どうされたですか?」

「身体が動かないです。どこも痛くないんです」


ハンマーをもってきった。ハンマーの先ゴムになっている奴だ。ひざの上を叩く。全く反応しない。


どうと聞かれても全く感じないとしか答えようがない。

「いいかな 血液検査を受けてもらう いい」

「はい」


看護師は横から出てきて、「心配しないで」

右腕から血液を取った。そのたった血液を何処かに持っていく。


しばらくしてから、ペパーを持ち替えてきた。それを読んで、急に忙しなくなる。


「今から手術をする。この病気の名前は・・・簡単に言うとウィルスが風邪で弱った身体に侵入し悪さをしている。・・・ここまで来ていることは感染症対策として早めの決断をしなければいけない わかるかな」

「あぁ はい」


「手術をしよう いいね 血液の交換だ」


「怖がらなくても いいですよ」

右手を僕の右手に添えた。とても優しい手だった記憶がある。


それ以来 頭の中を走ってる血液まで交換するわけにはいかない。のか身体の進行は全然遅くならない。


身体に生命維持装置をつけられて、生きている状態だ。

全く意識がない。そして何日経ったんだろう。

病室に横たわっている。そばに誰かいる。

「なんなんだよ 不死身の太樹くん 聞こえる?」

「・・・」


「あっ 京さん」

「キョウコちゃん ここだったのか」


眠い中 頭の中で会話繰り広げられる。京には妻がいる筈だ。子供もいるはずなのにどうしてこうなったんだ。


『俺にだって まだ意識はあるんだ こんなところでやらなくてもいいだろう』


凄い静かだ。声がしてきた。キョウコの声だ。微かな声がしたんだ。もういい加減にしてくれる。


こんな時に意識が飛ばない。哀しい。とてもつらい。


辛い。


足が動いた。足をゴソゴソさせる。それを見たどちらかわからないが2人して出ていた。


二度と来ることがなかった。


その翌日には目が開き、呼吸も自呼吸できるようになる。看護師がよろんこんでくれた。


その翌日は上半身を起こして、動けるようになった。


「もう退院ですね」

「そうですか?」


「嬉しいな」

「寂しくなるね」


「・・・」


看護師の言葉は彼女かなあの右手はと思ってしまう。だれかと確定することはしなかった。


その翌日退院した。

「ありがとうございます」

小さくお辞儀をする。二度と振り向かなかった。


車はバッテリーは切れていない。


その二度と飯を食べた。レイの店を行こう。そして夜7:00を過ぎると店の入口を入った。

「お久しぶりです」

「お久しぶり レイは来てる」


「今日は・・・」

「どうしたの?」


「やめたんです」

「・・・そう」


「飲んでいきます?」

「もちろん 軽く」

その時間はとても退屈だった。席に座るとヘルプの人が相席した。


「おはようございます」

「おはよう」


「お店に入ったまだ若いの?」

「いえ 前に着いたことがあります」


「そう」

「レイアさんのヘルプで」


「そうか」

「レイアさんが目的ではないのですか?」


「もうやめてしまったから・・・そういえばお腹が大きくなっていた」

「そうなんだ」


ふと1週間前 10日前かな思い出した。

「お腹が大きくなってない」

「えっ そんなことはないよ」


「ごめんねぇ」

「いいよ そんなことより 明日用事がある」


「そうなんだ」

「明日から何日かはここを出かける」


「えっ そうなの」

「そう」








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