第三章
眠り気を誤魔化すためにコーヒーを買った。
「ねぇ おはよう」
「おはよう」
ここは御殿場である。「まだそんなに寝てないだろう」
「その顔 凄いよ」
「確かに痛いよ 本当かい」
「本当だよ 気になるよ」
「痛いから 眠気もなくここまて来れたのに」
「身体痛いでしょう」
「そうだね 急に痛くなってきた気がする」
「私 何もできないよ」
「知ってる 大丈夫だよ 東京まで我慢できるから」
「そう」
車を走り出した。缶コーヒーが喉にしみる。「これに返っていい」
「いいよ」
「これアキナの曲だね」
「そうだよ」
高速を西から東に走る。間違えたとも言わず、ただひたすら走る。首都高の池尻で降りた。
左に曲がり、山手をずっと行く。都心に入ると混んでいた。
行き交う車が多いこと、それがキョウコには驚かせた。「凄いね 車の量」
「そうかい」
「大丈夫?」
「顔のことかい 目が膨らむな 見に行くな
なんとかなる」
「そうなの」
「そんなものだよ」
「ならいいけど どこに向かっての?」
「新宿 そう新宿さぁ」
「新宿 嘘」
「嘘じゃないよ あそこに見えるだろう 高層ビルが」
「本当だ」
「だろ」
初台の交差点を大きく右に曲がった。
「凄い」
「何が凄いの」
「人がアリンコみたいに歩いてる」
「そうかい」
西新宿の中を走る。「わぁー」
大カードを過ぎていく。「ここ見たことある」
そして東新宿の小洒落た店の前で車を止めた。
「どうしたの?」
「昨日と同じ格好だろう なにか買って
これ 五万円あげるから」
「いいの」
「いいよ 2時間後にここで待っているから」
「2時間後ね」
「ちょうどお腹ね」
「待ってないと いやいいや」
「お昼ね」
車をすぐに走り出した。社長のところに行かないと行けない。
ここから遠くはない。
車をつけると走り上がった。雑協ビルだ。
「社長いますか」
「待ってたぞ
酷いな 随分やられたな」
「こんな傷大したことないです」
「悪いけど これ書いてくれないか」
そこに置いてあったのは借用書である。金額書き込まれたいない借用書である。
仕方ないと思い自分の名前の日付を書いた。
「2、3日休むだろう」
「はい」と、言っていいですかと聞いた。「お前は2年もやってる」
「開けの日は連絡します」と、言って出てきた。
さて この後どうするかとキョウコのことが気になった。
車は先程と変わらない場所にクルマを止めた。顔を触ると凄い膨れ上がっている。大きなルームミラーを除き込んだ。青タンができている。
それは酷くやられたと言われるわと言われる。まだキョウコは出てこない。
12:00になる時間になる前に出てきた。「やっぱいた」
「痛い」
「そんな顔をしている」
「キョウコ 酷いな」
「それがさぁ 彼女のところに泊まっていたから
家ない ウィークリーマンションとか」
「本当に そんなこと ある?」
「我慢して なぁ」
「しょうがないな」
「どこがいい ある程度わがまま効くよ」
「えーと 渋谷 渋谷でいいの ありがとう」
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