第2話

「・・・流石ね。ここまでとは・・・見込んだ通りだわ。」


 学園長(白井)先生はそう言って1回深呼吸をした後に室内のデスクの引き出しから僕用と思われる制服(メイド服)を取り出した。


「ゴホン~。本日付けで館 良二(やかたりょうじ)君はここに相談に来ると思われる不特定多数のご主人様候補(相談者)に仕えるとする!」


 今なんて仰いました? というか相談しに来た人をご主人様候補って・・・ゲームじゃあるないし。そして最大の謎である何故大学という場所でメイド服を渡すのであろうか?それに関してはすぐ知る事になるであろう。そして何か重要な事に僕気がついていない気がする。メイド募集・・・あっ!?まさか僕に。


「あ!もうわかってると思うけど。勤務地はこの学校ね。という事で館(やかた)君はこのメイド服を着て大学生活を過ごしてもらうわ!あ!映えるから講義の時もよろしくぅ~。」


 ただその言葉に対して真っ白になった。僕は映えるという理由でメイド服を着て講義を受け、空きコマの時は奉仕活動。てっきり講義の時は私服で良いものと思っていたなにぃ。あぁ・・・やばい、男子大学生がメイド姿で講義を受けるだなんて他にない事例案件でしょ~間違いなく注目の的だ。うぅ~先が思いやられる。


「そしてここに宣言をする。「ご主人様候補相談室」を学内な開設します!」


 !?相談室ですと。ちょっと待ってくれ!メイド服とご主人様(候補)というのはわかるが相談室というのはいったい何をやろうというのだ学園長(白井)先生は。


「あの~先生。メイド服を着て相談者いやご主人様候補の人達に対してできる範囲での奉仕活動をするという事はわかりましたが。相談室というのは一体どういった事をするのでしょうか?」


「ふっふっふっ~。よくぞ聞いてくれた館(やかた)君よ。君にはこの「ご主人様候補相談室」にお悩み相談に来た学生を解決するまでご主人様としてその人を奉仕(サポート)あ!学内のみね。という名の奉仕をする事でその人の内面を分析し解決方法を一緒に探す。メイド型カウンセラーよ!」


 カウンセラーって・・・資格持ってない僕がやって大丈夫なのであろうか?メイドの醍醐味(任務)である奉仕活動をする対象人を相談(依頼)しにきた人とするとは不確定すぎるし、仮に相談者が誰一人来なければというか「ご主人様候補相談室」という名称の時点で学生は怪しがって来ないと思うのだが。相談室、カウンセラーというワードで学園長(白井)先生が何をしたいのかを掴めてきた。


「要するに心の相談室を作りたかったという事ですよね?」


「察しが速いわね~。その通りよ!心の相談室を作りたかった。だけどうちの大学には専属のカウンセラーが誰一人いない状態だったから募集をかけたの。初めは普通にカウンセラー募集で大学の名義を入れようとしたの。だけど、それじゃ面白みに欠けるという事で。メイド募集という名のカウンセラー募集という路線をずらし大学の名義を伏せてかけてみたら・・・まさかの本学の学生である君がエントリーしてきたからたまげたよ。」


「普通にカウンセラー募集という方が良いのでは?少なくともきちんと資格持っている人がエントリーしてくると思いますし、それにあの名義なしという時点で問題なのでは?・・・それによくあのポスター掲示できたと思いますしメイドというのは先生の趣味ですか?それに僕が着させるなんて。」


「さぁ~どうかしらね(笑)掲示に関してはコネに決まってるじゃない~。ロマンだからぁ。それと館(やかた)君には人を分析する能力はあると私は信じているから合格にしたのよ。これはガチな方!」


 数多くの疑問点はこの時点で解決した。ほいこれ絶対趣味だ。メイド、コネ、ガチってカウンセラーをお遊びとしか思ってないのかよこの先生は!

 そんなこんなで僕は「ご主人様候補相談室」のメイド兼なんちゃってカウンセラーとなった。それに関して何度も思うんだ

「先が思いやられる。」という一言しか出てこない。


 それから僕は学園長(白井)先生に渡されたメイド服を試着室にて試着する事になった。メイド服を着る事に関しては憧れはあったもののいざ着るとなると緊張する。


 さぁ~メイド服のタイプはいかに!!!


 黒い布カバーでほこりがつかないようにしてあった。恐る恐るそのカバーを外すと・・・


「こ!?これは!クラシカルだとっ!」


 そうメイド服のタイプはクラシカルであった。


 わかっているじゃないか先生!ちなみに僕の好きなメイド服のタイプはクラシカルとミニスカだ。何故かって?よく聞いてくれた(誰も聞いていないけど)!クラシカルに関しては伝統性と萌え要素を両立しているから素晴らしい。ミニスカはもう萌えだ!ニーハイとミニスカートという組み合わせは萌えすぎるぜ!しかし男子である僕にとってミニスカは「絶対領域」という聖なる領域への挑戦という事になる。それは荷が重いのだよ!僕ではそれによって発生するロマンへと導けないと思っているんだ。だから、クラシカルタイプのメイド服はロングスカートであり萌え要素を残しているから打倒であろうと僕は考えている。先生の選択は素晴らしい!


着替えを終えた僕はすぐさま先生を呼び


「どうだい~このメイド服は?」


もう言う事は決まっている


「男子にはマニアック過ぎるよ・・・」


こうしてなんちゃって男子メイドが誕生したと同時に「ご主人様候補相談室」が始動した!

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