大学内にいる男子メイド

もえはぐるま

第1話

 とりあえず自己紹介をしよう。僕は館良二(やかたりょうじ)という名だ。現在は大学生で平穏な日常を過ごしているつもりだ。今日もいつも通り講義を受け、終えたらいつも通り帰るだけといった生活を送ると思っていた。そう・・・帰宅の道中であの募集のポスターを見かけた時から予定調和が変わった。大学から帰宅する道中(乗り換えの駅)にて僕はあるポスターを見かけた。「メイド募集のポスター」と大きく表記されていた。ポスターの下辺りに書いてある募集要項には具体的な選考方法は履歴書と小レポートだ。ここまではあるあるな感じなのだが備考欄には「男子も可能です。」と書いてあった。それ対して僕は好奇心が芽生え勢いでエントリーしたらなんと「合格」してしまった。まず素直に驚いた。


「いや、なんで!?男子がエントリーするのが珍しいからかなぁ~。いやいやいや!小レポートにメイドに対して何故萌えるのかから始まり、「ヴィクトリアン午前」・「ヴィクトリアン午後」・「ミニスカ」・「フレンチ」・「クラシカル」・「水着」・「チャイナ」・「和風」・「ホラー」・「スチームパンク」・「サイバー」・「ミリタリー」とタイプがある中で僕にとってどのタイプがベストなのかを考察し、挙げ句の果てには最後辺りに「・・・だから私はメイドとは萌えるべき存在でなくてはいけないのだ!」と書いた。いかにもふざけた内容なのにか。解せぬ。僕のメイドに対する想いはぶつけたけどな(^_^)v」


 ちなみに小レポートの課題は「あなたにとってメイドとはどんな存在か?」という課題で僕の場合は「メイド」という文字の好奇心でエントリーしただけなので本気で合格したいという気持ちはあまりなかった。だから課題の内容から脱線しメイド服による個人的なストライクゾーンについての内容が殆どを占めており、やばい奴という印象しか与えないようなレポートを書いたと思う。にも関わらず合格(採用)となった。更に合格通知書の備考欄に「あなたのご主人様候補は数人います。」と書いてあった。「・・・どういう事だ!?」と僕は更に解せなくなった。とにかく合格してしまったという事は僕はメイド服という名の制服を着てご主人様候補とやらに対して奉仕活動をするという訳だが、僕はこれからロマンであるメイド服を着るのかと思うとゾクゾクするぜ!やっほ~い!


 奉仕活動初日、後から郵送で送られてきた場所へと向かった。奉仕活動(勤務)先に関してはポスターに書いてなく合格者のみに通知書として通知するという事だった。まぁ・・・よくよく考えたらこの時点いかにも怪しいのだが。そんな事よりも驚いた事がある。いや!こんな事があるのかよこの世界はというレベルで。通知書に書いてある住所(奉仕活動(勤務)先)が・・・


「この住所・・・僕の通っている大学じゃないかぁぁぁぁぁー!!!(゜Д゜)」


いやこれはどういう事なのであろうかと僕の脳内はカオス状態になった。行かないでおこうかとも思ったが何も言わずに放棄だなんてもはや不可能、結論で行くという選択肢をし大学に到着した。自分の通っている大学の建物を目前にして怖じ気づいた為心の中で無かった事しようと思って自宅に向かって引き返そうしようとしたら僕に


「やぁ~待っていたよ!君のメイドに対しての想いはしっかりと読ませていただいたよ。さぁ学園長室に来てくれ。」


なんという事でしょう~。相手は自分の通っている大学の学園長先生でした~~。チャンチャンっと。って!マジかよ!


・・・僕の人生は終わった。これは終了のお知らせに違いない。あの黒歴史要素が詰まった内容、メイドにはストライクゾーンと萌えを感じるぜというレポートをよりによって学園長先生が読んでるだなんて。噂が広まったら僕は生きていけるだろうか・・・。それとあの言葉間違いなく学園長先生がメイド募集のポスターに関して深く関わっているだなんてなんて世の中になってしまったんだか。待てよ!まさか学園長先生メイド好き説が出てきたぞ!まぁ流石にそこまではないか。でも学園長(白井)先生かわいい(萌える)からメイド服着たら・・・そんな事を考えていたら


「それと驚いたよ!まさか本校の学生が私が企画したメイドプロジェクトにエントリーしてくるとは・・・」


(奉仕活動(勤務)先の住所と企画者が書いてあったらゼッテーに応募してなかっただろうなぁ。そして先生のメイド姿が見たいですはい。)


「まぁ・・・何はともあれ君を合格にしたのはレポートの内容を見込んでが大きい。あそこまでフェチ的な事を書かれたらね。館(やかた)君自身メイドになりたいという願望が心のどこかであったのであろう?」


「まぁ・・・そうですね学園長先生の仰る通りです。メイド服を着たいという願望は何処かにあったと思います。男子も可能という所に好奇心が芽生えてエントリーした理由ですしね。」


「そう堅く話さなく良いよ。今この室内には館(やかた)君と私しかいないじゃないですか。あ。そうだ!試しに私を白井お嬢様かご主人様って呼んでみてよ。」


!?これは試練のつもりなのか・・・くっどうするお嬢様だなんて恥ずかし過ぎる。かといってメイドの醍醐味である「ご主人様~」は俺も人前で言ってみたい

という気持ちもあるがこちらも同様に恥ずかしい。もしもこれが試練だとしたら「言えません」って言ってギブアップも可能であるがそれは僕が熱い想いがあるかつロマンの象徴であるメイドに失礼だからという考えが勝ち。


僕は「ご、ご・・・ご主人様ぁぁぁぁー!!!」


言った。ロマンだけは守らないと!全然萌えない感じでというか僕は男子だからメイド服を着た姿でやったとしても萌えるかと言われれば・・・うむ。さぁ~学園長先生のリアクションはいかに!


「なんだ!?その感じは。焦らしているのか。だとしたら良い、良いぞ!館(やかた)君!いやもう合格!早速メイド服を着よう!」


(・・・・えっ?)


あまりにも予想外な返事が来たので僕は驚きよりも思考が止まった。ホントに学園長(白井)先生なのか?マジで学園長先生メイド好き説が出てきたぞ!これから僕はどうなってしまうのであろうか・・・ 


さぁ~男子メイドの誕生だ!

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