5-160 決着





サヤの目の前に、ハルナとヴェスティーユが現れた。



「ハルナ……あんた、まさか負けたんじゃないだろうね!?モイスも……アンタがついていながら!?」



そのサヤの言葉を聞きながらヴェスティーユは再び、オスロガルムの方へ歩いていきサヤからその身を守るように前に立つ。





『くくくくく……残念だったな。お前の頼みの綱である精霊使いも、ワシの力には及ばなかったようだぞ……さぁ、諦めてワシの力で”お前たち”は消えてしまうがいい!』



「ま、待って!?私もこの世界の崩壊を止めに来たの!……それはあなたと同じでしょ!?もう少し話し合えば、一緒に妥協点を見つける事だってできるでしょ?あなただって、この世界の崩壊を止めたいでしょうし、サヤちゃんだってもう少し話を聞くことができるでしょ!?だ、だからここはお互い冷静になって……」



『もう、この場にはそんな余地は残されてはおらん。お前もその精霊使いも、この世界にはいてはいけない存在なのだ。そう、お前たちはもう……この世界には不要な存在なのだ!!』



「……くぅっ!?」






そう言い終えるとオスロガルムは、強い瘴気を吹き出しハルナたちを威嚇してみせた。







「お前たち……って、ハルナのことも含まれているみたいね……どうすんのさ、アンタ?」



「え!?……どうするって言われても……モイスさん、どうしましょ!?」





ハルナからの問いにモイスは何も答えず、オスロガルムから噴き出す瘴気の前に立ち二人を防いでいた。





『どうする?二人がかりで来てもいいんだぞ?……それに、サヤ。お前はまだその腰の剣を抜いておらぬしな。出し惜しみせずに、早く奥の手を出したらどうなのだ?』



「これはね……最後の……っと。あんたに止めを刺す時、きっちりと使ってやるから心配すんな!!」





そう叫び、サヤは再びオスロガルムに攻撃を仕掛ける。

ヴェスティーユは身体を移動し、その攻撃を全て受け止めた。




『おいおい……容赦がないな。お主の大切な仲間ではないのか?この者の身体が朽ちたとしても、このヴァスティーユの身体がある限りはワシは何も困ることはないがな?』




ヴェスティーユの身体が、今のヴァスティーユと同じくらいダメージを受けている。

だが、サヤはその攻撃の手を止めない。




「ねぇ、サヤちゃん……これ以上は」



「うるさい、うるさい!?あんたも口だすくらいならあいつを何とかしなよ!?」





とその時、状況が変化した。





『ぐっ!?……お前、何を!?』




今までオスロガルムの代わりにサヤの攻撃を受けていたヴェスティーユが、後ろを振り向いてヴァスティーユの身体を両手で包み込み拘束した。

ハルナも今がチャンスとばかりに、作戦通りにその身体を硬い属税の水と土の力と、瘴気を弱体化させる光の力を込め、その上から二人を拘束した。





「ふぅ……これでもう身動きは取れないわ……ね……え?」




――ザッ




ハルナは、かいてはいない額の汗を腕で拭う動作しながら、その眼には信じられないものが映った。

サヤは腰に下げていた剣を抜き、ハルナの造った硬い拘束が布か何かのように、一緒に二人の身体を貫いていた。











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