5-159 反撃






「……ってことでいい、ヴェスティーユ?」



「あぁ、それで間違いない。戻ったらこの作戦で行けば、お母様とオスロガルムを止められるだろうよ!」





ハルナは、モイスに空間を解除する前にヴェスティーユに確認をする。

サヤとオスロガルムがいる空間に戻った後、どういう行動をとるべきなのかを。

そのためには、まずヴェスティーユの目的を確認した。

ヴァスティーユのことを取り戻すと言っていたが、初めはオスロガルムは消してしまうことを前提にしていた。

それでは世界の崩壊を止められないと、ハルナはヴェスティーユを説得した。

ヴェスティーユの行動を止めるだけでは、このまま話し合いは平行線で終わらないことはわかっていた。


そのためハルナは、代案を出していく。

当然ヴェスティーユも、自分の目的を優先させたいためその案も次々と否定をしていく。

それに見かねたモイスが、ヴェスティーユに対して脅しをかける。




『ワシはお前をここに残して置いて行ってもいいのだぞ……そうすればお前の望みがかなうことは永遠にできなくなるであろうが……な』



悔しさのあまりに、ヴェスティーユはありとあらゆる暴言をモイスに対して投げかける。

しかし、モイスはそのことに対してジッとヴェスティーユの顔を見つめ数々の暴言には反応しない。



ようやく言いたいことを言い終えたヴェスティーユは、眉間に皺を作りながら渋々モイスの意見を聞くことを伝え、ハルナの代替え案をこの場にいる者たちで精査していった。




そしてこの場にいる者が、承諾できる案が出来上がった。



まず、オスロガルムは弱体化させるだけで消滅させない。

そしてヴァスティーユの身体から出ていくように、オスロガルムに説得をする。

もともと意識だけだったオスロガルムは、サヤの細胞を利用しこの世に実体として存在していた。

そこから、ハルナやラファエルたちも含めてこの世界の存続に関する妥協案を話し合うという大まかな流れを作った。





次に、目の前の目的として、この場の戦いをどうやって収めるかということだった。


いまヴェスティーユがオスロガルムに見せている映像を、オスロガルム優位な内容で見せることにした。

もう一つの空間の内容は判らないが、オスロガルムが優位または不利にしてももう一つの戦闘が片付いて、モイスがオスロガルムに組み伏せこの空間を戻すという案になった。


その際に、ハルナにオスロガルムの行動の阻害を精霊の力に光の力を混ぜることにより、オスロガルムの魔素を弱体化することができるとヴェスティーユは話した。




『よし、コレで話はまとまりましたな……では、これよりハルナ様とヴェスティーユを元の空間に戻しますぞ!』










「はぁ……はぁ……ずいぶんとみじめな姿になったねぇ。オスロガルム」



『フン……、お前こそ疲れが見えて動きが悪くなっておるぞ。ここらで、立場を逆転させてやろうぞ!?』



オスロガルムは合わせた掌を少し開くと、そこに間には高濃度の瘴気の塊があった。

これは、あの山を消し飛ばしたものと同種のものであるとサヤは悟った。

これがここで爆発してしまえば、自分の身が危なくなると感じた。



「くっ!?さ、させるか……!?」



サヤはそのことに対して、対策を取ろうとした瞬間……オスロガルムの手の中にあった瘴気は消えていった。



『……このようなことをせずとも……サヤ、お前の負けだ』



「何言ってんだい!?あんたの方が……」




そういうと、この空間から弾き出した存在が再びこの空間の中で姿を現し始めた。







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