第7話
私と麻季が一年のフロアについて、歩いてると私を呼ぶ声が後ろから聞こえた。
「おーい。茅姉ー、マキちゃーん」
私と麻季は気づき、振り返る。
視線の先にはこちらに手を振り、駆け寄ってくる弟。その後ろから追いかけてる、身長が少し低いショートカットの女の子がいた。
「倉見君っ、は...はや......はあ、はあっいよぉ」
息を切らしている彼女。
「ごめん、苗木さん」
彼女に謝る弟。
「リョウ、どうしたの。」
「茅姉たちの姿を見かけたら、何かあったのか気になって。茅姉、目もと赤いけど何かあったの?」
「何もないよ、リョウ」
「さっきまで茅ちゃん、私のっ」
私は慌てて、麻季の口をふさぐ。
控えめな笑いが聞こえ、私は麻季の口から手をはなして、笑い声の方を向いた。
笑っていたのは、苗木さんだった。
私に気づいた苗木さんはかぼそい声で謝る。
「いいよ。えっーと、苗木さんだっけ。リョウとは、付き合ってるの?」
「ちちっ違うよっ、茅姉」
「ちが......いますよ。そんな関係ぃでは、なないです...よぅ」
苗木さんは頭を横に振りながらだ。
リョウと苗木さんは慌てながら、息ぴったりと否定する。
「へぇ~」
「えぇ~、男女でいるからてっきりぃー付き合ってるのかと。リョウちゃん、可愛いぃ」
麻季はにやけながら言う。
「マキちゃんまでそんなこと言って。苗木さんは友達だよ」
「そう...です。倉見君は優しい友達です」
周りにいる数人の生徒が見ている。
リョウは私たちのことを苗木さんに紹介した。
「こっちは姉の倉見茅絵で、こちらは茅姉の友達で江野麻季ちゃんだよ。二人とも優しいから、苗木さんも仲よくなれると思うよ」
「よろしくね、苗木さん」
「気軽に呼んでいいからね、苗木ちゃん。これからよろしくね。リョウちゃんと仲よくしてあげてね」
「倉見君と同じクラスの苗木萌奈(もえな)です。先輩方、仲よくしてくださいっ」
私と麻季は苗木さんと握手をした。
「仲よくしなよ、リョウ。それに苗木さんも」
「リョウちゃんと苗木ちゃん、またねー」
私と麻季は教室に向かった。もう少しで午後の授業が始まる。
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