3話:最高の夏休み。……のはずが? PART3

 虎VSウサギ


 もはや『VS』という単語を使うのも間違っているとさえ思える。それくらい、未仔ターゲットを捕捉する琥珀ハンターの目力がガチ中のガチ。


 勝負事において、たとえゲームであろうと手を抜かないのが琥珀のアイデンティティ。

 社会人になった将来、接待ゴルフをすることがあったとしても、取引先や上司の顔色を一切窺わず、ホールインワン目指してクラブを振り回し続ける存在こそ琥珀なのだ。


 ボールを握る琥珀の腕に血管がぷっくり浮き上がる。少し吊り上がった黒目がちな瞳が一層研ぎ澄まされ、大きな口が嗜虐性たっぷりに吊り上がる。


「くくく……! 一夜漬けしたにも関わらず、平均点を大きく下回った恨み、球技大会で晴らしたんねん……!」

「只の逆恨みだ……」


 琥珀のテスト結果が悪かったのはお察しの通り。

 バレー選手がサーブを打つ前のルーティンの如し。琥珀がドンドコ、ドンドコとボールを地面目掛けてスパイクし続ける。

 強く叩けば叩くほど、乾いた砂煙が忌々しいオーラのように琥珀の周囲へ吹き荒れる。


 その姿、殺人鬼。


「み、未仔ちゃんクラスのみんな―――! この化け物から未仔ちゃんを守って―――!」


 夏彦の悲鳴にも近い懇願が、残り少ない未仔クラスの内野陣、体育会系男子2人に届く。


「俺たちで神崎さんを守るぞ!」

「おうよ! 神崎さんは下がっててくれ!」


 その姿、助さん格さん。頼もしき男たちが、未仔を守るべくキャッチングの体勢に。  

 立ちはだかるのならブチ壊すまでと、十分な助走がとれる位置まで琥珀が下がる。

 さすれば、機は熟す。


 殺人鬼こはく、始動。


「くらえっ―――! 一年のヒヨっ子どもがぁぁぁぁぁ~~~~~!」


 豪快にも利き足で地面を蹴り上げれば、一滴も力を無駄にはしないと、野性味溢れる大胆なフォームでボールを射出ファイア

 ボールというよりロンギヌスの槍? そんな幻覚が見えてしまうくらい、助さん目掛けて一筋の閃光が迸る。

 まさに一撃必殺。


「は、速すぎて反応できなかった……!」


 刀だったら斬られたことすら気付かせない一振り。アウトになった助さんは勿論、夏彦や未仔クラスの参加者たちが、琥珀の強肩ぶりにザワつき始める。


「ひゃはははははは! まず、いっぴ――――き!」


 天高く人差指を立てる人物は、決してデスゲーム漫画で衝撃的な死に方をする美少女ポジションなどではない。

 ゲーム運営側の殺人鬼、悪魔そのもの。


「う、うわああああああ!」


 最もパニックになるのは、相棒である角さん。己の命を易々と差し出してたまるものかと、拾ったボールを琥珀目掛けて全力投球。

 球の速さでいうと、琥珀と負けず劣らず。

 にも拘わらず、琥珀は易々とボールをキャッチしてみせる。


「なっ……!? 捕られた……、だと……?」

「はんっ。軽い軽い。そんな球じゃ、ウチのたまは獲れへんで?」


 日々、反射スピード命のFPSゲームで鎬を削り続ける琥珀からすれば、体育会系男子の球であろうと捕球は余裕。ヘソで綾鷹が沸くレベル。

 それだけではない。


「普段は邪魔な乳やけど、こういうときには役立つもんやね」


 しっかり腰を落として両手でボールを抑え込めば、ぎゅむむむむぅぅぅ~~~! と琥珀の特盛たわわなバストが、あらゆる衝撃をエアクッション代わりに吸収してくれる。サスペンションやダンパーの役割を果たしてくれる。


 男は皆、おっぱいが大好き。


(((((おおう……!)))))


 内野、外野、敵味方関係なく、腕とボールに圧迫され、形が変わるおっぱいに男子一同釘付け。次生まれ変わるときは異世界ではなく、ボールに転生しようと心に誓ってしまう。


 いくら男勝りの琥珀といえど、自分の乳がガン見されていることくらい分かっている。

 むっつり格さん目掛けて、剛腕再来。


「乳見とる暇あったら――、ボールを見んか~~~いっ!」

「ぐはぁぁぁぁぁ! ――む、無念……。でもちょっと嬉しい……!」


 新しい扉を開いてしまった格さん、外野に移動することもできず、その場で崩れ落ちる。

 水戸光圀公もとい、未仔光圀公の側近2人が瞬殺しゅんころ

 おまけに、勢い良く当たったボールは、琥珀のもとへ見事にカムバックしている。


「ふははははは! 我がピッチングの前に敵なーし! くにおくんの熱血高校ドッジボールで予習してきた甲斐があったもんやで!」

「絶対関係ねーから! というか琥珀! ゲームする暇あったらテスト勉強しとけよ!」

「やかましい! ウチは過去に捉われない女なんや! コムデギャルソンって奴や!」

「それを言うなら、アバンギャルドな……」


 草次の適格なツッコミに対し、コムデギャルソンな女、「そうとも言う!」とグッジョブポーズ。ミスにも捉われないハードメンタルも搭載。






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【お知らせ】

おっぱいフレンズの皆さん、長らくお待たせしました。

『おぱもみ』の3巻が10/1(金)に発売です!

( ゚∀゚)・∵.oppai!!


書影やあらすじ、店舗特典なんかも公開されているので、要チェック。

メロンブックスさんでは、何とあの『宇崎ちゃんは遊びたい!』とコラボしたタペストリーも限定販売!

宇崎ちゃんとコラボ……。尊い……!


↓公式ページ↓

https://sneakerbunko.jp/series/oppai/





【雑談】

最近、全然更新できておらず、申し訳ないです!

ちょっと仕事が立て込みまくっているので、落ち着いたらタイミングでマイペースに投稿していければと思っております。

中途半端なところで筆を折ることはしないので、そこだけご安心を!

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