エピローグ:仕事終わりのおっぱい PART1

 Wデートを満喫した後は、琥珀や双子たちと合流して夏祭りを謳歌する。

 B級グルメや世界各国のスイーツを堪能したり、テレビでも活躍する物理教授のサイエンスマジックショーに心動かされたり、何が貰えるかも分からないままスタンプラリー巡りに勤しんだり。


 夏祭りのグランドフィナーレを飾るのは、やはり大定番である花火。

 まさに圧巻の一言。6500発以上の花火が夜空に咲き誇り、海面というキャンパスに幾度となく満開の花びらが描き続けられた。

 祭りに参加した人々だけでなく、夜空を見上げる多くの人々とも夏の思い出を共有できたに違いない。

 

 夏祭りは終わりを迎えてしまうが、最高の一日はまだまだ続く。


「わ~……! すっごく綺麗だね♪」

(君の笑顔のほうが、めちゃんこ綺麗です……!)


 今現在、夏彦と未仔は会場近くのデートスポット、複合ショッピングセンターにある観覧車に乗車していた。

 夏彦と未仔は二人っきりで、他メンバーとは既に解散済み。


「ミキとサキがウトウトし始めたから、悪いけど俺らは帰るわ」


 はしゃぎ疲れた双子を草次と奏がおぶれば、


「あかん……。ウチも限界……」


 琥珀も琥珀で夜更かしゲーム三昧がたたり、一緒になって帰ってしまったのだ。

 仲間でワイワイ盛り上がるのは、当たり前に楽しい。

 とはいえ、恋人同士で過ごす時間も、それはそれで格別なわけで。


 正面に座る未仔は、心からはしゃいでいるのだろう。徐々に高くなっていくゴンドラにも物怖じせず、興味津々にも光り輝く夜の街を見下ろし続ける。

 色彩鮮やかなイルミネーションたちが、未仔の愛嬌たっぷりな大きな瞳に映り込み続けたり、浴衣姿をさらに可憐なものへ昇華させたり。夏彦の鼓動は忙しなく高鳴りっぱなし。

 普段以上に可愛さに拍車を掛ける彼女が、彼氏へと目一杯の笑顔を向ける。


「奏先輩と伊豆見先輩、仲直りできて本当に良かったよね」

「うん、本当に良かった。というかさ。俺と未仔ちゃんがあんなに一肌も二肌も脱いだんだから、素直になってもらわないと困っちゃうレベルだよ」


「確かに困っちゃうかも」と、未仔は唇へと指を押し当ててクスクス笑う。

 桜色に潤んだ唇に注目してしまうのは、彼氏として仕方がないことなのだろう。 

 少し前の『大それた行動』を思い出し、夏彦は照れ笑いしてしまう。


「さすがに大勢の前でのキスは、やりすぎだったかもしれないけど」

「そんなことないよ」

「そ、そう?」


「うんっ」と未仔は大きく頷く。


「だってね? あの場面で私とナツ君がハグするだけだったら、そこまでのインパクトは無いんだもん」

「あー……」


 夏彦は納得してしまう。

 草次たちの前であろうと、かなりの頻度で自分たちがイチャイチャ&ラブラブしていることに、ようやく気が付いたようだ。


「あはは……。今回がやりすぎなんじゃなくて、普段のスキンシップがやりすぎなのか……」

「普段のスキンシップ、これからは控えめになっちゃうの?」

「えっ! お、俺的には現状のままが良いです……!」

「えへへ。私も~♪」


 イタズラげな問いから一変。『現状どころか、もっとスキンシップしたいです!』と言わんばかり。正面にいた未仔が、夏彦の隣へとぴっとり寄り添ってくる。

 至近距離にある未仔の瞳に吸い込まれそうになる。


 実際、夏彦は吸い込まれているのだろう。

 その証拠に、ごくごく自然に唇を交わし合ってしまう。

 甘い甘いキス。食後のデザートに食べていたリンゴ飴が原因か。蜜っぽい味わいや、華やかな香りに体中が満たされていく。


 二人っきりの空間ともなれば、甘えん坊な未仔の本領発揮。先程は唇を押し付けることが精一杯だったが、今現在は小柄な身体を一生懸命動かして彼氏に尽くし続ける。

 無我夢中でキスし続けていた二人は、唇を離した瞬間、呼吸を1つ2つと繰り返す。


 ちょっと激しすぎ?

 決して、そんなことはない。互いの表情が一層柔和なものになっているのだから。


「未仔ちゃん、ありがとね」

「?」

「俺さ。他人に合わせることが正解だと思って、ずっと生きてきたんだ」


 波風を立てない。

 平々凡々、平穏無事をモットーとする夏彦にとって、アイデンティティと言ってもいいくらい、頑なに守り続けてきた掟だった。


「けど、合わせることだけが正解じゃないって、未仔ちゃんのおかげで気付けたんだ」

「私の、おかげ?」

「うん! 未仔ちゃんは俺に合わせてくれるだけじゃなくて、俺たちにとっての最善をいつも考えてくれるからさ!」


 夏彦は晴れやかに答えれば、未仔の心臓は高鳴ってしまう。

 これでもかと尽くしてくれたり、危険をかえりみず守ってくれたり、正しい方向へと引っ張ってくれたり、一緒になって頭を悩ませてくれたり。

 相手を気遣ったり、空気を読むことばかりが正解じゃない。本音と本音で向き合い、さらけ出すくらい素直になることこそが、人間関係において大切なことなんだと教わった。 


 恋人関係だけでなく、友人関係にも同じことが言えることにも気付かされた。

 だからこそ、拒まれたり突き放されることを恐れず、友のためを思って行動することができた。


「今回の一件だけじゃなくて、俺が変われてることも含めてのありがとう、……って感じです」


 改めて感謝の言葉を口にし、夏彦は無性に右頬がかゆくなる。

 右頬に人差指が触れたタイミングだった。


「!? み、みみみみ未仔ちゃん!?」


 かゆみなど秒で吹き飛んでしまう。

 それもそのはず、未仔が帯を緩め始めたから。






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今シーズン、明日で最終話!


おっぱいフレンズは、ブックマーク&評価よろしくどーぞ。

Twitterもやってますʅ(◔౪◔ ) ʃ

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