28話:草次も高校生 PART1

「「「すいませんでした!!!」」」


 夏彦・未仔・琥珀の3人が、ジャパニーズ礼法の最敬礼である土下座を披露。

 土下座する理由は明白。

 草次は浮気などしていなかったから。


 お奉行様に平伏ひれふす町民の如く。


「プライベートが謎に包まれた草次が、放課後に何をしているのか気になっちゃって!」

「せやねん! 無駄に女にモテるから、とっかえひっかえして遊んでるんちゃうかと!」

「心のモヤモヤを解消するためとはいえ、本当に失礼なことをしました!」

「お前らは、俺を何だと思ってんだよ……」


「「「誠に申し訳ございません!!!」」」


 呆れる草次に対し、「いいのいいの」と奏が微笑む。


「気にしないで大丈夫だよ。皆に何も言ってない、そーちゃんにも問題があるんだから」

「何で奏が許すんだよ」

「素直になれない誰かさんの代わりでーす♪」

「減らず口を……」


 奏のニッコリ笑顔を見た草次は、完全に毒気を抜かれてしまう。

 溜息付きつつも、「頭上げろよ」と3人に言い渡す。


「こっちも悪かったな。ちゃんと事情を説明してこなくて」

「い、いやいや! こっちとしては安心というかビックリというか……」


 顔を上げた夏彦は、そのまま『ビックリの対象』へとゆっくり視線を向けてしまう。

 安心よりビックリという感情が勝るのは、夏彦だけではないようで、


「やんなぁ。ウチとしても、こんなオチになるとは思ってもみなかったわ」

「ですっ……!」


 顔を上げる琥珀と未仔も、『ビックリの対象』へと視線を向ける。

 視線先は草次でも奏でもない。

 夏彦のド正面に立つ、瓜二つな女の子2人。

 すなわち、草次の妹たちである。


 妹たちは、自己紹介のタイミングを見計らっていたらしい。


「ミッちゃんですっ!」

「サッちゃんですっ!」


 右手を挙げるミッちゃん、左手を挙げるサッちゃんは、キッズらしくとてもエネルギッシュ。

 けがれを知らないピュアッピュアッな瞳は、つい先ほどまでストーキングしていた夏彦には、たっぷり染み込む。


「ご、ご親切にどうも。夏彦です」


 エネルギッシュ全開。


「うおうっ!?」

「「ナツヒコ♪ ナツヒコ♪」」


 名前を連呼する2人が夏彦の周りを、ぐるぐるぐるぐると駆け回り続ける。


「もうどっちがどっちだか、分かんねーだろ?」

「ははは……」


 草次の発言どおり、お揃いのワンピーズをひるがえし、さらには前髪を1つに縛ったパイナップルヘアも一緒。会って間もない夏彦には、どっちがミッちゃんで、どっちがサッちゃんかの判別は至難の業。


 双子をファンネルとして受け入れた夏彦は苦笑いを浮かべつつ、


「放課後に直ぐ帰る理由が、妹たちを迎えに行くからだなんて思いもしなかったよ」

「だろうな。そんな話してなかったし」


 他人事のようにアイスコーヒーを一口含む草次に、「なーなー」と琥珀が尋ねる。


「一緒に歩いてた可愛い系女子って、結局誰やったん?」

「可愛い系女子? ……ああ。宮村さんのことか?」


「宮村さん?」と夏彦たちが首を傾げれば、走り疲れて床に寝そべっている双子を草次は指さす。


「ミキとサキ、コイツらの友達のお母さんだよ」

「「「えっ!?」」」


 可愛い系女子、まさかの人妻展開。


「あの人って、女子大生じゃないの?」

「は? 普通にOLやってる人だぞ? 何なら、妊娠2ヶ月目だし」

「に、妊娠!? じゃ、じゃあ、女の人の荷物持ったり、人とぶつかりそうになったときに手繰り寄せたりしてたのって……」

「あの人、おっとりというか、うっかりしすぎな人だからな。カバーできる範囲をカバーしてただけだ」

「タピオカジュースのストローをペロペロせんかったのも――、「琥珀はうるせー」」


 最大の謎の正体が、草次の愛人ではなく、妊娠中のママ友というオチ。

「てか、マジで最初から付けてたんかよ」と呆れる草次が、夏彦と琥珀をジト目で睨む。

 ものの、


「ん? 何でお前らが睨むんだよ」

「「ま……」」

「ま?」

「「紛らわしい……!」」

「……。俺のせいなのか……?」


 せめてもの救いは、未仔と奏が笑ってくれていることだろうか。






///////////////////////

アラサーの自分にとって、双子と言えばマナカナ。あとは、ザ・たっち。

皆さんにとって、双子といえば誰?


テニス界のレジェンド、フェデラーの子供は、姉妹の双子ちゃんと兄弟の双子ちゃんなんだとか。


フェデラー永遠のライバルのナダルは、約1億円の腕時計をつけて試合してるんだとか。

超余談。



おっぱいフレンズは、フォロー&ブックマーク&評価よろしくどーぞ。

Twitterもやってますʅ(◔౪◔ ) ʃ

///////////////////////

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る