24話:草次を追え PART2
「なーなー未仔ちゃん。高校生の戦闘力って、大体
「戦闘力、ですか?」
「そそ」と頷く琥珀は、スクールカーストのことを言いたいらしい。
「知人と靴が被るのって、ちょっとしたタブーやん? やから、ちょっとお高いけど、皆が知ってる定番モデルを履いてる奴がリーダー格の可能性が高い」
「成程……! ちょっと分かっちゃうかもです!」
「せやろ、せやろ? サッカー部のリーダー格はアディダスのスタンスミス、バスケ部はナイキのエアジョーダン、サブカルはドクターマーチンの3ホール、ヤンキーはティンバのブーツとか」
「タメになりますっ!」
「ヨッシャ、未仔ちゃん! リピートアフタミー! ヤンキー have a ティンバーランド!」
「イ、イエス! やんきー have――、」
「未仔ちゃん!? こんなクソ情報、リピートしなくていいから!」
クソ情報と言いつつ、ちょっと分かってしまうのが夏彦としては悲しい。
「おい琥珀! 未仔ちゃんに変な情報吹き込むなよ!」とイエローカードを提示すれば、琥珀が唇を尖らせる。
「しゃーないやーん。電車の中やと何もすること無いんやもん」
「それはそうなんだけどさ……」
今現在、3人は電車に揺られている最中である。
勿論、ターゲットの草次を追いかけた結果。そのターゲットは最奥部の車両で腰を下ろし、音楽の世界に没頭している。
要するに、降車するまで停滞状態というわけだ。
「暇ちーん」と呟く琥珀は、そのまま隣に座る未仔へと傾きかける。
肩ではなく乳に。
「琥珀さん!?」「こ、琥珀!?」
どうやら、『夏彦をいじる』以外に、『未仔に癒される』という趣味が琥珀に追加されたらしい。
未仔乳に顔を埋めたまま、スーハースーハーと深呼吸したり、ぽよんぽよんと首を上下させたり。顔はうっとり
「ほああ~ん……。未仔ちゃんの胸には叶わへんわぁ~……。おっぱいマウスパットが売れるわけやね~……」
「は、恥ずかしいですよう……!」
「恥ずかしがることなんかあらへんよ。リピートアフタミー! My バスト is――、」
「お前、もう帰れよ!」
目の前の老夫婦が微笑まし気に笑ってはいるが、夏彦としては満員電車で痴漢するオッサンと琥珀の区別がつかない。
しょうもないやり取りも束の間。
「!!! 伊豆見先輩が立ち上がりましたよ!」
未仔の気付きに、2人も争っている場合ではないと我に返る。
車両に取り付けられたモニターを見上げれば、『次は
「本山駅、か。ココで愛人と待ち合わせしとんのか」
「愛人がいる前提で進めるなよ……」
パキパキパキ……、と指を鳴らしつつ草次を睨む琥珀は、「
「待ち合わせじゃないかもです」
思いがけない未仔の発言に、2人は「「えっ」」とハウリングしてしまう。
「奏先輩の最寄り駅が本山なんです。だから、幼馴染の伊豆見先輩も同じはずですっ」
「「成程」」
最寄り駅に降りるだけでは疑惑は拭えないものの、真っ直ぐ家に帰るルートも開拓されて夏彦は一安心。
しかし、一安心すると同時に、別の感情が生まれてしまう。
それは琥珀も同じようだ。
「にしても、ナツ」
「……うん」
「ウチらって、草次のこと何も知らへんよなぁ……」
「俺らって、草次のこと何も知らないよな……」
げんなりする理由は明白。
いくら草次がミステリアスなキャラだとしても、あまりにも情報を知らなすぎる。
『俺たち私たちは、本当に友達なんでしょうか……?』と心配にもなる。
そんな茫然自失ムードな夏彦と琥珀の手を握り締める人物が1名。
未仔である。
「今から沢山知ればいいだけだよ。その一歩目として、今を一生懸命頑張ろ?」
その御言葉は、天使や女神からの助言のような。
「ね?」と微笑みかけられてしまえば、愛でずにはいられない。
「「未仔ちゃ~~~ん!」」
「ひゃっ!」
左右に座っていた2人が未仔へと熱い抱擁でサンドイッチ。
「未仔ちゃんはホンマええ子やなぁ~! ナツの嫁じゃなくて、ウチと結婚して! リピートアフタミー! 未仔 is エンジェル!」
「未仔ちゃんは俺の嫁だ! けど、イイ子なのは激しく同意! リピートアフタミー! 未仔 is ヴィーナス!」
「「リピートアフタミー!」」
「~~~っ! 早く行きましょうようっ!」
///////////////////////
【雑談】
靴ネタを執筆する際、「今現在、どんなスニーカーが少年少女たちの間で流行っているのだろう」と調べてみました。
やっぱり流行り廃りがあるみたい。
僕の時代は、mobusというブランドが大流行で、オシャレなサッカー部の代名詞みたいなスニーカーでした。
今の時代もVANSやコンバースはニーズがあるみたいですね。
ティンバ履いている=怖い イメージがありました(笑)
レッドウイング履いてる猛者なんかも。
独断と偏見。
『オシャレは足元から』を地味に再確認。
おっぱいフレンズは、フォロー&ブックマーク&評価よろしくどーぞ。
Twitterもやってますʅ(◔౪◔ ) ʃ
///////////////////////
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます