9話:ガチ勢VSエンジョイ勢 PART2

「隙アリですっ!!!」


 ロッカーから飛び出してきた未仔が、夏彦を担ぐ三角様こはくへと、とあるアイテムで奇襲攻撃。

 そのアイテムは懐中電灯ライト。琥珀の顔面目掛けてまばゆい光を、目一杯に食らわせれば、


「ナイス未仔ちゃん!」


 三角様の嫌がるようなアクションと同時、担がれていた夏彦の足が地面へ着地する。

 ダウン状態から負傷状態。すなわち、走って逃げれるように。


「ナツ君、今のウチに!」

「うん!」


 未仔のファインプレーに助けられ、奥にある扉目掛けて2人は走り始める。


「ほうほう! 未仔ちゃん、やるやん! ……けどなぁ」


 懸命に逃げる2人の背後、琥珀操る三角様の上腕二頭筋がボッコリと膨れ上がる。

 次いで、大鉈おおなたを力いっぱい地面へと差し込めば、夏彦と未仔の足元が真っ赤な光に包み込まれ……、


「!? 未仔ちゃん、避けて!」

「え?」


 時すでに遅し。


「ふんぬっ」


 琥珀の何とも言えない掛け声と同時。地面から沸き起こる爆ぜるようなエネルギー波が、2人を容赦なく斬り刻む。


「ぐぉ……!」「きゃ……っ!」

「はい2枚抜きー♪」


 ダウンする2人を満足げに見下ろす、三角様もとい琥珀様。

 勝ち確故、「ひゃっ、ひゃっ、ひゃっ!」とわざとらしく嗜虐性たっぷりに大爆笑。さらには、2人の周りをムーンウォークしたり、その場でグルグルと360度回転したり。あおりの極み。


「未仔ちゃんは甘々やなぁ。ナツを見捨ててれば、脱出できたかもしれんのに」


 ゲームでは時に非情になることも必要不可欠だと、琥珀は未仔を説き伏せる。

 アドバイスを聞いた未仔は、首をゆっくり縦に振る。

 のではなく、


「1人だけで助かっても意味がないんです」

「未仔ちゃん……」「ほう?」


 首の振る向きは、縦ではなく横。

 今一度、力強く言うのだ。


「ナツ君と一緒じゃなきゃ、ゴールする意味なんてないんです!」


 未仔のまごうことなき言葉を聞いてしまえば、夏彦の涙腺は緩んでしまう。


「う、うわぁぁぁぁぁ~~~!」

「ナ、ナツ君……?」「キモち悪っ!」


 四肢をもがれ、カサカサ動くゾンビの如く。夏彦が琥珀のもとへと這いつくばりながら大接近。


「俺を吊れ琥珀! 未仔ちゃん! 俺が時間を稼ぐから扉へ行ってくれ!」

「で、でも! それじゃあナツ君が……」

「この日のために、未仔ちゃんが沢山練習してきたのを俺は知ってるんだ!」


 未仔の瞳が見開けば、夏彦は熱く語ってしまう。


「最初はライトを全然当てられなくて、何度もゲームオーバーになったさ。けど諦めなかったんだ! 初めてライトが当たったときの嬉しそうな顔だって覚えてる! 頑張ったからこそ、今だって琥珀に奇襲をかけることができたんだ!」


 夏彦はありったけの想いを叫ぶ。


「一緒にゴールができなくても、未仔ちゃんだけは脱出させてあげたいんだ!」


 彼氏の想いを未仔はしっかりと受け取る。

 受け取ったからこそ、扉を目指すのではなく、夏彦と同じ行動をとるのだろう。


「琥珀さん! 私を吊るしてください! ナツ君は見逃してください!」

「未仔ちゃん……」

「ナツ君。この日のために沢山練習付き合ってくれたんです。今みたいに沢山庇ってくれて、一緒に脱出したときはハイタッチしてくれたんです!」


 未仔が語れば語るほど、夏彦もまた、未仔とのかけがえのない訓練の日々をさらに思い返してしまう。


「ナツ君が助かるのなら私はどうなっても構いません! 煮るなり焼くなり好きにしてください!」


 死ぬ間際でさえ、恋人を思い合って互いを庇い合う。


「琥珀! 俺を吊るしてくれ!」

「琥珀さん! 私を吊ってください!」 


 とても尊い光景を見た琥珀は、何を思うのだろうか。


「いやいや。2人とも処刑するに決まってるやん」

「「…………」」


 琥珀、特に響かず。


「そんじゃあ、ナツから逝っとこか」

「え!? あ、あの……、ちょっと待―――、」


 有無を言わさず、琥珀が『処刑執行』のボタンをタップ。


「え……ああ……」


 這いつくばる夏彦の視界いっぱいに広がるのは、三角様が大鉈を振り上げる姿。

 夏彦の脳裏に浮かぶ言葉。


『死』

 気分は爆発寸前のクリリン。もしくは、食われる寸前のエレン母。


「逃げて――――! 未仔ちゃ―――――ん!!! いぎゃ……!」


 グシャ……。

 トマトでも叩き潰されたかのよう。真っ赤な血液が飛び散ると、夏彦はグロ彦に早変わり。

 夏彦絶命。


「ナツ君……? ナツ君――――ッ!」


 怯える未仔に、琥珀はニッコリ。


「はい♪ 未仔ちゃんはフックに吊るしましょうね~♪」

「い、いや―――っ!」


 ひょいっと担がれた未仔は、そのままフックに掛けられてしまう。

 掛けられてしまえば最後。処刑場フックに現れた悪魔が、未仔を瞬く間に地獄へと誘う。


 夏彦と未仔、仲良く死亡。

 本日5回目の死亡である。







///////////////////////

【雑談】

学生時代は、もっぱらゲームする勢でしたが、今は完全に動画見る勢。

「自分でプレイしたらゴミみたいな動きになるんだろうなぁ」と思いつつ楽しんでます。

DBDとかラスアス2、スト5とか。

ホラゲーの赤マントを最近見たんですが、クソびびっちょ。

寝落ちしそうなタイミング、実況者さんの悲鳴でビクッッッ! ってなって、鼻っ柱にスマホ落下&直撃。

ゲーム実況好きあるある(◔౪◔ )



おっぱいフレンズは、フォローの程、よろしくどーぞ。

Twitterもやってます(☝ ՞ਊ ՞)☝

///////////////////////

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る