40話:未仔ちゃんとの甘々デート PART4

 想像以上に早く集合したはずが、想像以上にデートを満喫している結果、あっという間に昼時を迎えてしまう。


「ナツ君、私が焼いても大丈夫?」

「うん!」


「むしろお願いします!」と夏彦が威勢よく頭を下げれば、向かい側に座っている未仔が、ボウルに入った2人前の生地を、熱々の鉄板へと流し込んでいく。

 半分程流したところで別皿のチーズをふんだんにトッピング。さらに残りの生地を全て流し終えれば、しばしのステイ。


 お好み焼き屋なう。

 飲食店が立ち並ぶフロアへ移動した2人は、お好み焼き屋で昼休憩を取っていた。

 何の変哲もないチェーン店で初デートならば、小洒落こじゃれたカフェやイタリアンなどのほうが相応しいのかもしれない。

 しかし、初デート『だからこそ』、高校生らしい、身の丈に合った定番デートでも良いのだ。背伸びする必要がないことには、お互い気付いているのだから。


 生地の表面から、沸々と気泡が出てきたタイミング。「そろそろかな?」と、未仔が2本のヘラを生地へと差し込む。

 クルッと、思い切り良く手首を返せば大成功。黄金色に焼き上がった生地が姿を現し、夏彦も思わず拍手してしまう。

 ひっくり返せば、しばしの歓談タイム。


「未仔ちゃん、高校生活には慣れた?」

「えっとね。正直に言うと、まだフワフワしてるかな」

「そうなの?」

「私、中学のときは女子校だったから、男の子と話すときに少し緊張しちゃうの」


「意識しないと目を見て話せないもん」と苦笑う未仔だが、その視線はバッチリ夏彦へと向けられている。

「俺、オネエだと思われてる……?」と夏彦が落胆することは勿論ない。

 むしろ、自分にだけは懐いてくれている特権を誇らしくすら感じてしまう。


「でもね。にーなちゃんのおかげで、女の子の友達は沢山できたんだよ?」

「新那?」

「うん。にーなちゃん、人見知りな私のために率先してグループの輪に入れてくれたり、中学時代からの友達を紹介してくれたの」


 お世辞ではなく、本気で感謝していることが窺える笑顔。そんな笑顔を見てしまえば、妹のファインプレーに感謝せざる得ない。

 中高一貫の女子校から、一念発起して共学へとやって来た親友を支えてあげたのだろう。

 ファインプレーとはいえ、「よくできた妹なんです」などと胸を張るのは、兄としてやはり恥ずかしい。


「あいつ、マイペースすぎるところがあるからさ。親友の未仔ちゃんがグイグイ引っ張ってあげてよ」


「これからも新那と仲良くしてやってね」と実に兄らしい発言で夏彦は締める。

 のだが、未仔がクスクス笑い始める。


「? どうしたの?」

「笑っちゃってごめんなさい。ナツ君とにーなちゃんは、やっぱり兄妹なんだなって思っちゃったから」

「???」

「にーなちゃんもこの前、同じようなこと言ってたの」

「えっ」

「『夏兄、優柔不断なところがあるから、彼女の未仔ちゃんがグイグイ引きずってあげってね』って」

「あ、あの野郎……」


 夏彦が顔を赤らめれば、未仔は一層嬉し気に口角を上げる。

 そして、


「私のほうこそ、今後ともよろしくお願いします」


 未仔が頭を下げれば、夏彦も鉄板にヘッドバッドしそうなくらいの勢いで頭を下げる。


「こ、こちらこそ! 不束者ふつつかものですが、末永くよろしくお願いします!」

「うん♪」


 まるで結婚前提のような夏彦の発言も、未仔としては幸せでしかない。






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初デートのランチ、チェーン店でもいいじゃない、というお話でした。


アラサーの僕としては、洒落乙カフェでイチャイチャする学生カップルよりも、フードコートなんかでイチャイチャする学生カップルのほうが微笑ましく感じます。

初々しい、そして腹立だしい(笑)



【雑談】

ここ最近、コロナの影響でマスクしている人のほうが多いですね。

卒業式など、大切なイベントを控えてる、おっぱいフレンズも結構いると思います。手洗いうがいをしっかりと!

ゲームやエロいことは程々に、適度な睡眠もね。



「作者、真面目な注意喚起もできるんだ」と思ったおっぱいフレンズは、ブックマーク&評価よろしくどーぞ。ʅ(◔౪◔ ) ʃ

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