32話:作戦会議は悪友と PART1
未仔へのキスを誓った翌日の放課後。
「琥珀。俺は未仔ちゃんのために、最高のデートプランを考えたいと思ってる」
「そーかそーか。せんべい1枚くれへん?」
「俺のデートプランが、せんべいに負けた……?」
ヤル気満々な意思表示をした結果がこのザマである。
夏彦たちの通う学校から徒歩10分弱にあるワンルームマンションの一室。
この場所こそが、一人暮らしする琥珀の家であり、2人のメイン遊び場。
一番最初に夏彦が遊びに来た時は、ガサツとはいえ初めて入る女子の部屋に緊張したものだ。しかし、いざ入ってみれば戸棚にはギッチリと漫画が陳列され、部屋隅には大量のジャンプが平積み、キッチンには買い溜めした大量のカップラーメン、冷蔵庫の中身はすっからかんだったり。いっちょ前に大好きなスニーカーは、コレクションとして玄関や壁などに丁寧にディスプレイされていたり。
「独身サラリーマンかよ」と夏彦がツッコんだのは記憶に新しい。
とはいえ、女子らしさの欠片もない部屋だからこそ、非常に居心地が良いのも否めないのだが。
夏彦は琥珀の命令どおり、テーブルに置かれた大袋からせんべいを1枚取り出し、「ほい」と手渡す。
しかし、敵グループと交戦中故、琥珀はコントローラーから手を離せなければ、テレビ画面からも目が離せない。
「ナツ、口」
「汗とかメスみたいに言うなよ」
ナース夏彦、ドクター琥珀の口にせんべいを献上。小言を言いつつ、半分に砕いて食べさせるあたりが夏彦の優しさであり弱さ。
「さんきゅー♪」
上機嫌にせんべいを咥える琥珀は、バリボリと食べつつも敵グループを1体、2体と沈めていく。
最後の1体が、態勢を立て直すべく奥地へと撤退していくのだが、琥珀の扱うキャラがスナイパーライフルを構える。
「ずどーん」と可愛い掛け声にそぐわない、えげつない銃声が響き渡り、一直線に伸びた弾丸が敵キャラの後頭部にめり込む。一撃死だ。
ほぼほぼ1人で敵グループを
「ひゃあ~~~。やっぱ、クレーバーのヘッショは決まると堪らんなぁ~」
夏彦は思う。「コイツは人の命を何だと思っているのだろうか……」と。
相棒がドン引いてしまうくらい、琥珀はFPSやTPS、格闘系といった男が好みそうなゲームが格段に上手い。夏彦が勝てるゲームと言ったら、ぷよぷよくらい。
夏彦を
勝負は終わったものの、次の勝利へと余念がない琥珀は、感度やボタン配置などの設定を微調整していく。
行儀悪くも器用に、口の動きだけでせんべいを食べ終わる琥珀が、あることに気付く。
食べカスが自身の胸に載っていることに。
タンクトップから零れそうな豊満バストを
「ナツ、胸に載った食べカス払って」
「!?!??!?!」
「そ、そそそそそんなもん払えるかぁ!」
「そんなもんって何やねん! ウチが食べたせんべいは汚い言うんか!?」
ムキになった琥珀はゲームなどしている場合じゃないと、「くらえ!」と胸に載った食べカスを夏彦目掛けて手裏剣感覚でサササッ! とスライドさせ続ける。パイスラである。
大多数のモノにはご褒美となりえるハッピーパウダーも、被弾する夏彦としては哀れみの感情のほうが大きい。
「お前……。マジでどういう倫理観で日々を生きてきたんだよ……」
「えっ。…………。恥の多い生涯を送ってきましたって奴?」
夏彦、口が裂けても「正解」とは言えず。
琥珀はゲームする気が失せたようで、電源を落としてしまう。
怒りの感情は消えている様子だが、ぶぅ垂れる気は満々のようで、
「なんやなんや。一体いつからナツは、親友の困りごとにも耳を傾けてくれんようになったんや。反抗期か?」
「彼女できたての親友に、恥部触らせようとする奴のほうがおかしいからな……? というかさ! 俺のデートプランに耳を傾けてくれない奴に言われたくない!」
「デートプラァン?」
あからさま、厄介ごとだと言わんばかりに顔を歪ませる琥珀。
さらに琥珀は、床に置いているコーラの入った缶を、グビグビとビールのごとく喉を鳴らして傾けていく。
そして、空になったコーラ缶をタァァァン! と力強く床に置くと、自信たっぷりに言うのだ。
「デートもしたことないウチにそんなこと聞くな!」
「…………。い、潔い……!」
夏彦は思う。
確かに、コイツに相談しようと思った自分が馬鹿だったかもしれないと。
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少し前に、「おっぱいフレンズが乳の大きさや形について語ってきやがる」と報告したかと思います。
ここ最近は乳だけでなく、「美脚が好き」「お尻が一番」などとの報告もしばしば。
俺のこと何やと思ってんねん(笑)
エロにストイックな者たちが集まる
もしくは、行き場の無いエロクリーチャーたちの巣窟。
そんな場所にココがなりつつある。
素晴C。
「我こそ頂に立つ変態だ」という猛者は、ブックマーク&評価よろしくどうぞʅ(◔౪◔ ) ʃ
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