19話:うわっ……俺の信用度、低すぎ……? PART1

 朝の教室。友である2人を自分の席に呼び出した夏彦は、神妙なおも持ちで告げる。


「大変だ、琥珀と草次。俺に彼女ができた」

「朝から、しょーもない嘘つきなや」

「嘘じゃねーよ!?」


 神妙な面持ち崩壊。夏彦渾身のツッコミが教室に響き渡る。

 恋人ができたことを、いち早く友2人に知らせようとした結果がこのザマである。

 琥珀に関しては大きな欠伸をしくさっているし、草次に関しては「帰っていいか?」と自分の席に戻りたがっている。


「本当だって! 俺の命をけてもいい!」

「ナツ。残酷な話、人の命は平等ちゃうんやで?」

「俺の命はゴミってこと!? そこは俺基準で考えてくれよ!」


「ゴミとまでは琥珀も言ってねーよ」と草次が呆れるが、夏彦としては自分がゴミかどうかを気にしている暇もプライドもない。


「草次! 草次は信じてくれるよね? どうでもいいって思ってるだけだよね?」

「いつになく卑屈になってるなお前……。まぁ、ぶっちゃけ、そこまで信用はできねーかな」

「えっ」

「だってそーだろ。色恋沙汰の全く無かったお前が、昨日きのう今日きょうでだぞ? 証拠もないのに信じるほうが難しいだろ」

「まぁそう言われてしまえば……。で、でも本当なんだ! 証拠はないけども!」

「ちなみに、その彼女ってどんな子なんだ?」


「すっっっっっ~~~~~~ごく、、、、可愛くて、優しい子!」


「……。二次元の話?」

「違うわ!」


 ますますいぶかし気な視線を送る2人に、夏彦必死。


「本当に可愛くて優しい子なんだよ! 頼んだブラックコーヒーが苦くて飲めなかった俺のために、ハチミツとかクリームをトッピングしてくれたんだよ! 鼻からコーヒー吹き出しても、引かないでティッシュで拭いてくれたんだよ!」

「お前、何やってんの……?」

「ブラックコーヒーの件は、草次を参考に頼んだから草次が悪い!」


 ただの八つ当たりである。

 琥珀はギャースカ騒ぐ夏彦を、もはや可哀想な奴と思っていた。

 だからこそ、夏彦の肩にそっ、と手を置いてしまう。


「な、なんだよ琥珀」

「昨日、可愛い彼女を作るってウチに宣言した建前、そんな嘘ついてるんやろ?」

「!? ち、違う! 本当なんだって!」

「もうええ。ウチが悪かった。せやから、ナツも嘘ついてゴメンなさい言うとき」

「いやいやいや! だから本当――、」

「もうええ言うとるやろ! どこに鼻からコーヒー垂らす男、好きな奴おんねん!」

「うわぁぁぁぁぁん! コイツら全然信じてくれねぇ!」


 信じてもらえないのは、日頃の行いが悪いから?

 否。日頃の行いが普通すぎるため。

 平々凡々な男の宿命。

 

 そんな普通な男を救うのは、やはり彼女の使命なのだろう。



「ナツ君?」



 その声はまさに天使。






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【祝】

1/7(火)にて、カクヨム&なろうで月間ランキング1位になりました!

同時に1位、超めでたい!


今年一、良い思い出が、年の始めに終わるという。

今後もマイペースに頑張っていきますので、どうぞよろしくʅ(◔౪◔ ) ʃ


友達や同僚にも、「おい……、カクヨムに良いおっぱいあるから、読んでみろよ……」って、アウトローな感じで勧めていただければ幸い。

ドン引きされたら知りまへん。

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