9話:未仔ちゃんは、健気で甘可愛い PART2
「お先にどーぞっ!」
アタフタと手のひらを差し出してくる少女は、見ていて飽きない。何なら一生見続けていたい気持ちにもなってしまう。
そんな感情を密かに抑えつつ、夏彦はお言葉に甘えて先に喋らせてもらう。
「えっと……、久しぶりだね」
「!」
『久しぶり』という言葉に、少女の瞳が見開く。さらには、あれだけ恥ずかしそうに動かしていた視線を、恐る恐るではあるが夏彦だけにゆっくり注いでくれる。
「私のこと、覚えてくれてるんですか……?」
「うん。未仔ちゃんだよね?
まるで記憶喪失だった人間が、自分のことを思い出してくれたかのような反応。少女は力強くコクコクと首を縦に振り続ける。
すごく嬉しそうな。尻尾があったらブンブン振っているような。
少女の名は、
通っていた小学校が同じで、夏彦の妹と未仔は、度々同じクラスだったこともあり仲良し同士。昔はよく夏彦の家に遊びにきていたし、頻繁ではないが夏彦も一緒になって遊んだ記憶がある。
夏彦が中学に上がった頃には、さすがに遊ぶ機会が減ってしまったし、未仔は違う中学に入ってしまったため、会う機会さえ無くなっていた。
家族団らん時、妹の口から、「今日は未仔ちゃんと遊んだよー」と聞く程度。
夏彦と未仔は、それくらいの関係といえば、それくらいの関係。
当然だ。未仔は夏彦の友達ではなく、妹の友達なのだから。
少なくとも夏彦はそう思っていた。
だからこそ、夏彦にとって告白されたことが衝撃的だった。
「俺たち同じ高校だったんだね。ったく……。新那の奴はちゃんと教えといてくれよ……」
「ううんっ! にーなちゃんは悪くないの。私が内緒にしといてって、お願いしたから」
「? どうして?」
夏彦が首を傾げれば、またしても未仔の視線が下がってしまう。
身体をモゾモゾと小さく動かすのは、緊張しているからとより、恥ずかしいから?
未仔が恐る恐る口を開く。顔は少し火照てり、自然と上目遣いになっている。
「えっとね……、今みたいな感じになったら嬉しいなって思ったから」
「??? 今、みたいな?」
「うん……。私のこと覚えてくれてたら、すごく嬉しいなって……」
「っ!」
「下の名前で、昔と変わらず呼んでくれることが嬉しかった……です」
「……おおう」
夏彦は思う。
「何だこの子。死ぬほど可愛いんですけど」と。
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‐お知らせ‐
はっきり言います。
この先、もっと甘くなります。
虫歯だらけにしたる。
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