第3話 クラス

翌日、何十年振りだろうか。久々に高校の制服に袖を通した。

もちろん、似合っている訳ない!他人から見たら、コスプレか変な趣味に思われるだろう。


そして、クラスの教室に入室…が誰も居ない。

と言うのも、早く来すぎたから誰も居ない訳だ。

出勤は遅くとも始業時間の1時間前。公共交通機関が遅れることも加味しての出勤。

その習慣が身体に染みついて、こんな早い時間に登校してしまった。


30分後、ようやく生徒が登校してきた。

普通に挨拶したら、普通に返ってきて、驚いた。

「見た目オッサンだよ?なんで、びっくりしないの!?普通におはよう。と返ってきて、こっちがびっくり。」

と心の中で突っ込む。

席は教室の一番後ろ。


改めて、教室内でクラスメートに挨拶と自己紹介。

自己紹介と言っても、内容のほとんどはウソ。

クラスメートは全くと言っていいほど、普通に歓迎され、早速「老け顔の社畜」と名付けられた。

クラスメートは勘が鈍いのだろうか?普通なら、気づくだろう。


ちなみに、自分が異動で来ている事は教職員のみしか知らされておらず、生徒や生徒の保護者・学校周辺の近所の人は誰一人知らない。


その後、クラスメートと趣味の話や流行りについて雑談したが、全く分からなかった。

年中、仕事漬けの生活だった為、何が流行っているのか知らなかった。

流行りに疎いことに疑問を持ったクラスメートから理由を問われたが「成績が悪くてTVの視聴とかを制限されてたから。親がちょっと厳しくてね…。」

とごまかした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

会社の社畜が学生になる @noritaka1103

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る