第31話 穴に入りたい
「うーん……この穴、かなり深くないですか?底が全く見えません」
「大丈夫大丈夫だって!さあさあ、いこいこ」
ヒミが勇ましげに言うが、ススも開いた穴の中を覗き込むが、一体どれぼど下にあるのか距離が分からない。
「そうデス!下までの距離を測る良い方法がアリマシタ!」
「え、そんな方法あるの?」
ヒミが驚いた様子で聞いてくるが、確認方法はいたって単純だ。
ススは光魔法で、掌サイズの魔球を出現させると、穴の中へ軽く打ち込む。
数秒で魔球が地面に落下した音が聞こえた。
「ウン、そこまで深いわけじゃなさそうデスネ。入れそうデス」
「凄い……そんな方法があったなんて……」
「だけど、地下洞窟の中がどうなっているかはワカリマセン。気をつけないと」
地下洞窟の中に入れたとしても、これぐらいの深さならば、戻ってくる事は多分出来るだろう。多分。多分出来ると信じたい。
ススとヒミはとりあえず中に入ってみる事にした。
「じゃあ、ワタシから行きますヨ」
ススは軽くピョンと跳ねると、穴の中へと入って行った。
「ススーー!大丈夫ーー?」
ヒミが穴へ身を乗り出して、中を覗き込む。
「薄暗くてよく見えまセンガ、モンスターとかは見当たりマセンヨ。降りても大丈夫そうデス」
「よっし!行こう!」
同じくヒミもひょいっと穴の中へ飛び降りる。
「よいっと!おおっ!思ったより真っ暗だね!」
周りを見渡しても暗闇が続くのみで、全く景色が見えない。
ススは光魔法で掌サイズの魔球を出現させる。魔球は眩い光を放ち、黒に染まっていた闇を晴らし、一気に視界を照らしてくれる。
「すっごぉ。光魔法ってこんな風につかえるんだね。知らなかったよ」
これ学校での魔法の授業でかなり最初に教えて貰った基礎魔法何だけど、多分フミは覚えていないんだろうなぁ。
「見て!二ミ!奥に穴があるよ!」
降りた先は天井も近い狭い穴だったが、その先にはもう一つの穴があり、さらに先に繋がっているようだ。
「行ってみまショウカ」
ススとフミの二人はさらに奥へと足を踏み入れていく。
穴を抜けた先は道が入り組んだ洞窟になっており、複雑に道が枝分かれしているダンジョンになっていた。
今の所はモンスターとかは見当たらないけど……
「こんな場所が村の地下にあったんデスネ。どの道が外に繋がる道なんでショウカ?」
「とりあえずこっちに行ってみよう!いこいこ!」
不安なススとは対照的にフミは本当に元気だった。
怖いぐらいに。
この先には何が……
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