青い鳥

 死んでしまった小鳥のために、僕はロボットを作った。

 アルミのフレームの間にコードを巡らす。シリコンのパーツとそれらのパーツを動かすための機構を取り付ける。小さなスピーカーで鳴き声が再生されるようにした。くちばしと羽を埋め込んで整える。目だけはガラス玉だけれど仕方がない。

 出来上がった小鳥は以前とほとんど変わらない姿になった。

「大丈夫?」

 妻が作業場に入ってきた。僕は小鳥を見せる。

「生き返ったとは言えないな」

 小鳥は作業台の上で、ぎこちなく羽ばたき、くぐもった声で鳴いた。これが僕の能力の限界だった。

「大丈夫よ」

「全然ダメだ」

「大丈夫よ」

「僕には君ほどの腕はないんだ」

「大丈夫よ」

 妻は死ぬ前に自分のロボットを作っていた。外装だけかぶせればいい段階まで出来上がっていて、死後の仕上げの手順は丁寧に書き遺されていた。

「君は一体どうやって自分を生き返らせたんだい?」

 僕の問いに、妻は生きているときと変わらない微笑みを返した。

「秘密よ」

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