第8話カラオケ

俺らはカラオケに来ていた。

「カラオケは予想外だわ」

「そうか?王道中の王道だろ」

「まあ、そうなのだけれども前にカラオケに誘った時に

「俺歌下手だから」

とか言って断っていたからてっきりカラオケは苦手な物だと思っていたわ」

「そんなことあったっけ?まあいいや、ガンガン歌っていくぜー!」

「〜〜〜〜♪♪」

カラオケ部屋には爽の美しい歌声が響いていた。

力強く伸びのある歌声で聞き入ってしまうような歌声だった。

「どうだった?」

「とっても上手だったわ、ただこの手の物は私も自信あるわよ?」

「ほほー、望むとこだな」

「〜〜〜〜♪♪」

これまた由依の美しい歌声が響いていた。

とても繊細できめ細やかな歌声でお姫様が舞い降りたかのような錯覚に

陥ってしまうようだった。

「どうかしら?」

「かなり上手いと思ったぞ。まあ、俺には及ばないがな」

「そうかしら?点数は同じみたいよ?」

カラオケの画面には97点の文字が写っていた

「ふん、たまたまだな。次は格の違いを見せつけてやる」

二人は次々と歌を歌っていきカラオケ部屋を通り過ぎようとするものを

止め二人がカラオケを出ようとした時には多くのギャラリーを作っていた。




「お前本当になんでもできるんだな」

カラオケを抜けお昼を食べようとした時に由依が「今日お昼を持ってきたわよ」

と言ったので二人は公園に来ていた。

「ささ、早く食べて」

目の前には幕の内弁当が広がっていた。

卵焼きを一口パクリ。

「おおー!これは相当美味しいぞ俺好みの味だぞ!」

「そんなに褒めても何にも出てこないわよ」

実際に本当に美味しかった。

だし巻き卵焼きは味付けがしっかりしており、だしの旨味と甘味そして

塩加減がちょうどよくマッチしていた。

「爽くんけいちゃんはどうするき?あの日から二人全然喋って無いわよね?」

「まあそうだな。正直にいうと仲良くしたく無いが仲直りはしたいな」

「あら、貴方って意外と傲慢な男なのね」

「自覚はしている」

あの日以来二人は全く喋って無いのだ。

爽はけいちゃんのを憎んでいる、だがそれは認めているからだ。

自分には無い能力に嫉妬しその能力の差を埋めるためにけいちゃんには

無い自分の能力を高めた。

その結果二人がお互いに認め、妬み、ライバルとして負けたく無いという

気持ちのみで切磋琢磨して行った。

しかし、そんなライバルが忽然といなくなったらどうなるのだろうか?

ただただ圧倒的虚無感に苛まれそして上にいくのやめ怠惰の尽くすのだ。

それをこの数日間で学んだのである。

「無理に仲良くしろとは言わないわ。ただ私はあの四人組が大好きだわ」

「同感だ」



お昼を食べ終わったあと俺らは帰ることにした。

「今日はありがあとね」

「こちらこそ」

「初デート楽しかったわよ。最後に一つ」

「なんだ?」

由依はあくまでも冷静にただ熱く想いを伝えるように言った。

「私は貴方のことが好きだわ。けど今すぐ付き合ってとは言わない。貴方のペースがあるのだろだから

ただ頭の片隅に入れといて欲しいの」

「そうか、ありがとう。けど答えを出すのは時間が掛かるそれでもいいか?」

「ええ、いくらでもまつわ」

「すまんな。じゃあここで」

「さようなら」

爽は由依の好意には薄々気づいてはいた、また爽自身も由依が気になっていた。

しかし、爽は酷く悩んでいる。

本当に俺でいいのか?本当に俺を愛しているのか?由依が本当のことに気づいたらどうなるのか?

あくまで好きなのは表面上の自分では無いか?など

爽はナルシストだがあくまで人を寄せ付けないためである。

爽は自分が嫌いだ。

なぜならば爽は爽自身では無いからだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

美少女二人がナルシストな俺に言い寄って来るんだが スイカ @karasu9137

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ