アナイアレイター
フライドチキンな狙撃兵
No.1
「はぁ…なんで俺たちがこんなことしなくちゃならないんすかね?隊長。」
部下の1人ーーヘンリーがそうボヤく。確かに部下の言いたいことも分かるのだが…
「ヘンリー…確かに分かるが、仕事だからな?」
「そうだ。こんな所でボヤいてたら命に関わるぞ。」
俺に同調してもう1人の部下のシライヌもそう言い放つ。
…俺たちはエウロク国の兵士、いやパイロットと呼ぶ方が正しいかもしれんな。とりあえずはそんなところだ。
今俺たちが向かっているのは現在戦争状態に入っている敵国、グランダとエウロクの境界線に位置している敵のある施設へと向かっている。
任務内容はこうだ。
「敵施設へ向かって何があるかを調べろ。なんかヤバそうな兵器ならぶっ壊せ。あ、見つかったら知らないからな。助けようにもそこまで援軍送るのはキツいし。」
…だとよ。だからここでやられたら死ぬしかないわけで…
俺は隣に鎮座している自分の
エンハンスドバトルアーマー…通称、EBA。
どっかの博士が数十年前に作った人型の二足歩行ロボットだ。
高さは平均して約3.5m程で装甲は一般的なスナイパーライフルやアサルトライフルに使われている7.62mm口径でさえ弾き、二足歩行なので足場の悪い所でも動きやすい、銃火器なども扱えるといった利点によりかなり昔から戦争に使われている。
…ま、EBA用のサブマシンガンの口径だったら10発も撃たれりゃ搭乗員の命は保証出来ないらしいけどな。
ちなみにパイロット間でのあだ名は戦う棺桶だ。皮肉なもんさ。
『降下地点にもうすぐ到着。各員、降下準備。』
「あらまぁ…もうそんな時間なんすね。」
「ほら、さっさとEBAに乗れ乗れ。」
「おい、お前ら。」
「「ん?」」
「生きて帰るぞ。」
「もちろんだ、相棒。」
「もちろんっすよ!まだまだしたいことありますしね!」
そんな軽口を叩き合いながら胸部に付いているハッチを開けて乗り込む。
…冷たい部屋。しかし、何故か落ち着く…
慣れた手付きでハッチを閉め、起動していく。
「…ソナー確認、ナイトビジョン及びカメラ確認、アサルトライフル確認、小型振動ブレード確認、パラシュート確認…」
「あーあー、聞こえてるかお前ら。」
『あぁ、聞こえてるぞ隊長。』
『聞こえてるっすよ隊長。』
『降下地点上空。各員、降下を開始。』
カタパルトが起動する。……よし、やるぞ。
「総員、降下!」
『『アイアイサー!』』
レバーを前に押してカタパルトを発進させる。
刹那、高速で前に機体が進み…そのまま排出された。
「ぐっ…ぬぬぬっ!!」
いかにEBAといえど、アニメのようなバーニアなどはついておらず、自分で飛ぶことは出来ない。
俺達は自由落下による恐怖感と僅かな浮遊感を感じながらそのまま降下し続けていった。
『そろそろっすかぁ隊長!』
「ああ、パラシュート開けっ!!」
ボタンを押し、パラシュートを起動させる。
何とか全員、パラシュートを起動することが出来たようだ。
少し遊覧飛行をして地面に着いた。
ぱしゅうという抜けた音を立ててパラシュートパックをパージする。
「全員、大丈夫か?」
『ああ、何とか。』
『大丈夫っす。』
「よし、シライヌは俺と一緒にアサルトライフルを装着してついてこい。ヘンリーは少し後ろ…そうだな、10m程離れてついてくるんだ。マークスマンライフルを持つことは忘れるな?」
『了解っす。』『了解した。』
そうして、記録には残らない俺たちの任務が始まった。
アナイアレイター フライドチキンな狙撃兵 @kaimyon
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