第六回募集分

「頑張れ、お姉ちゃん!」 byフィー


「やはー、おねーさん!急に訳の分からない場所に引きずり込んでごめんね。まあ、正確には呑み込んだが正しいんだけど」


『うおおっ!?……び……っっくりした……え、なに?私、妖にでも呑み込まれた……?思わず一回、〝鬼嚇し〟しちゃったんだけど』


「うん、とりあえず警戒は解いてもらっていいよ。心配しなくても、フィーはおねーさんにもそれ以外にも手を出したりはしないから」


『……なるほど。まぁ、話は通じるみたいで良かった。んじゃあ、まずは。お嬢さんはどちら様で?』


「改めて何者かと問われると、返答に困るなぁ。うーん、異世界から来たインタビュアーってことでどう?」


『イセカイ?インタビュアー??…よくわからんけど……私、何か不祥事でも起こしたっけなぁ?先生ほどのスキャンダルは身に覚えにないんですが』


「じゃあ、子猫のように愛くるしい女の子ってことで。お姉さんも猫好きでしょ?」


『確かに、大変お可愛らしいお嬢さんだけど……あれ。私、そんな御猫様吸う廃……じゃなくて、崇拝してるように見える?』


「ん?いや、なんとなく猫の匂いがするなぁって。私も猫みたいな性格してるって言われるし、仲良くできるんじゃないかな?お姉さんも自由気ままで猫みたいな性格してそうだけど」


『御猫様とは持ちつ憑かれつの関係性だからな、私。……ま、実際御猫様とは仲良くしてるワケだし。私も、お嬢さんとも仲良くできると嬉しいよ』


「そういってもらえると嬉しい!まあ、実をいうとおねーさんの事は資料でよく知ってるんだけどね。まず、名前がフランチェスカ=サイモン。愛称はフラニーだね」


『そうそう、こう見えて私。イタリアの出身で。そのせいか、お可愛らしいお嬢さんに出会うと、つい胸のときめきがままならなくなるタチなんだ――というわけで。私とこの後デイトでもいかが?お嬢さん』


「あ、そこはノってくるんだね……。まあ、フィーは引き続きおねーさんと呼んじゃうね」


『ああ、そう?フランチェスカも良いけど、おねーさんも悪くないね。……それでは改めまして。私は、朝霧 烈圭。よろしく、お嬢さん』


「よろしく!というか、女性なのにレツカって名前は珍しいよね」


『かもね。昔は、発音しにくいのも相まってか、よく〝レッカ〟って呼ばれてたよ。でも私、結構この名前気に入ってるんだ。私に〝烈圭〟と名付けてくれた誰かとは、きっと気が合うだろうな。感謝してる』


「自分の名前が好きって、それフィーと一緒だね!それはさておき、そんなおねーさんは現在、とある田舎で清くも正しくもない女子高生生活をエンジョイ中、と」


『おおっとぉ??……ちょっとおねーさん、聞き捨てならんなぁ……私は現在進行形で、清く正しいアグレッシブなJKですよ。表面上は』


「え?いや、なんか不良のレッテルを貼られてるとか聞いてるんだけど」


『………まぁ、不良もアグレッシブなJKも紙一重の差だから。うん……』


「そ、そうなの?まあ、それは表の姿で、実はおねーさんは人外の存在なんだよね!……いや、ちょっと違うか。ちゃんと人の血も入ってるもんね」


『あれ?そんなことまで知られてんだ。そのことについては、私もつい最近初めて知ったことなんだけど』


「そりゃあよく知ってるよ。今回は、おねーさんにインタビューをして来いって依頼を受けて来てるんだからね。おねーさんって独特の気配がするから、探すのも難しくなかったよ」


『はは、独特の気配……よく言われる』


「というわけで、今更だけどインタビューをさせてください。なお、個人情報は保護されないし、拒否権もないのであしからず?」


『ええ……なんそれ……私、結構ヒト様に言えない秘密事項多いんだが……』


「乙女には秘密がつきものだもんね!でもざーんねん。この世界を一度展開しちゃうと、目的を果たすまでは対象を解放することができないんだよねぇ。まあ、運が悪かったと思ってよ」


『あー……うん。まぁ、私の出自もすでに知られちゃってそうだし……今更か……?』


「そうそう、今更今更!というわけで、これよりインタビューを始めまーす!いぇーい!」


『うぇーい!』


「といっても、おねーさんのプロフィールは割と聞いちゃったしなぁ。……あ!おねーさんの周りの人たちのお話とか聞かせてよ!」


『周りの人たちねぇ……そうだ最近、弟が2人できました!あと、傾国の美女(成人男性)な兄!弟2人は正直、デカいDKなクセして何故か可愛く感じる。JKの血が騒ぎますね。兄の方は、心から尊敬できる人。私もいつか、ああいう大らかな人になりたいな』


「ふーん。文字通りの姉御肌に目覚めてるわけだね。なんかいいね、そーいうの。フィーは一人っ子だから羨ましいよ」


『私も物心ついた頃から長く、ひとりだったから。本当に嬉しい。家族って素敵なモノなんだと、彼らから深く教わったよ』


「お姉ちゃんなんだし、しっかりいいとこ見せないとね」


『うん……これから私なりに頑張ってみるよ。〝お姉ちゃん〟』


「さて、ほかに訊きたい事もなくなったし、あとはおねーさんから適当に一言もらえるかな?自己アピールでも、今後の抱負でも好きに語っちゃってよ」


『えーっと、そうだな……。そういえば、最近とある人と契約を結びました。いきなり私を殺しにかかってくる、物騒な〝先生〟なんだけど。日毎に複数人の女性の家を転々としてて。自分の勤め先の学校の生徒2人を殺しかける先生なんだけど……。何となく、私に似てる人で。これから、そんな手に負えない人と、何とかやっていこうと思います。そして、その契約の果てがどうなるのか――ま、私が死んでいないことを、どうか祈っていて欲しいですな』


「はい、最後が一番ツッコミどころ満載だった気もするけど、これでインタビューはおしまいっ!ファンのみんなは、次のフィーの出番までいい子で待っててね!」




↓訳アリな兄弟ができた訳アリJKのお話です。まずは、センスの光る序章をご一読あれ!


『阿吽の夜叉』


https://kakuyomu.jp/works/16816410413960757564

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