「取扱注意って表記しておいてください!」 byクスト



「今回インタビュアー……ではなく、なぜかツッコミ役として呼ばれましたクストです。いつもなら、ゲスト〇〇、インタビュアー〇〇って書かれた依頼書が来るんですが、今回はインタビュアーの部分が"ツッコミ"に置き換えられてましたね、ええ。嫌な予感しかしませんが始めていきましょうか。とりあえず、ゲストさんどーぞ」


『あーめんどくせー。この俺が異空間に引き込まれるとかマジ無いわ』


「うん、嫌な予感が的中しましたね、これは。正直今すぐ帰りたいんですが。すでに胃が痛い」


『じゃあ帰れよ。俺は良く分からねえてめぇなんか興味無えんだよ。てか俺の前から失せろ。』


「元凶にそう言われてもなぁ……。まあ、これも仕事なんで渋々やりますが」


『仕事かぁ……んなもん会社ごとぶっ潰せば良いだろ』


「会社勤めなわけではないんですが。ええと、質問を始める前に、そもそも貴方は何者ですか?」


『ただの高校生だ。んで異世界に転生して、チートを手に入れた』


「ああ、よくある異世界転生パターンの一つですね。私も、いくつか同じようなケースは見届けてきましたよ」


『俺と同じ様な奴も居るのか。それはそれは、ライバルだな。もっと派手にやらねぇと』


「本業が本業なんで、転生者は幾人も見届けてきたといいますか、実況や解説をしてきたといいますか」


『まるでカイセツだな。たまーに俺の技に横から実況かましてくるんだよな。うぜぇったら無え』


「文字通りですね。で、貴方は新天地でどんな事を成してきたんですか?」


『あー、とりあえず魔王倒して、王様殺して、ついでに王国吹っ飛ばして、新しい転生者呼んだらまた全滅させて……あれはマジで傑作』


「やりたい放題!?仮にも勇者として呼ばれた存在が何てことしてんの!?……と本来なら突っ込むべきなんでしょうけど。いかんせん、私が勇者とは思えない勇者を既に散々見てきた後なんですね、これが」


『じゃあ俺は問題無えって事か。まさか共感してくれる人がいるなんて俺って幸せ者だわー』


「うん、だからって開き直っていいとは言ってないですよ?過去のろくでなしたちを正当化の道具にするのはやめてください」


『ろくでなしだと?ハッ向こうが悪いんだよ。勇者を怒らせるとかやっちゃいけねー事くらいわかんだろ。あくまでも俺がやった事は全て正当な武力行使だから。うん』


「うわぁ。一番力を与えちゃいけないタイプが最も強い力を持ってるパターンだこれ。どうすんだろ、この人の世界。収集つかないぞ、きっと」


『収集なんざ無理矢理付けりゃあ良いんだよ。そう、終わり良ければ全て良しだから』


「せめて、世界が原形をとどめていることを願うとしましょうか」


『何言ってんの? 既に世界は俺が消した。まったく、ほんと馬鹿で無能な奴らしか居ねえ世界だったぜ』


「もう既に壊した後!?こいつ絶対勇者じゃない!どっちかというと魔王!!」


『人聞きの悪い事言うなよ。魔王はもういねぇよ。ぜーんぶ概念ごと消したんだから。安心しろ』


「時間だけでなく因果律まで操ってる!?魔王どころか魔神だこの存在!そうでなければ邪神!」


『まぁ、勇者の肩書きなんざ既に捨てたし?邪神になるのも良いねえ。気にいらねぇ事があったらとりあえず潰す。それが俺の生き方。最高に理にかなってるだろ』


「いやいやいやいや、自分の都合で世界どころか時空間まで改変して、気に入らないことがあればチェス盤ごとひっくり返すとか、それはもはや悪の所業でしょ!気に食わないやつがいたから石投げつけたみたいな感覚で、ほかの大多数まで巻き込むような暴挙はやめてください!」


『別に良いじゃん。たくさん巻き込めば爽快感増すだろう?そう言う事』


「せめて、ここでその力を行使しようとするのはやめてくださいね。さすがに多次元まで浸食されると、こちらも困ります!」


『あ、やって欲しいの?んじゃ、ちょっと本気出しますか。さっさと此処から脱出したいし』


「なんでむしろ嬉々としてやろうとしてるの!?今の、フリじゃないですからね!?理性とか良心とかって概念が欠落してません!?」


『理性?良心?やりたい事やって何が悪いんだ!お前もさっきから良い加減にしろよ?尽く人の事をろくでなしとか、魔王だの言いやがって、さっさと帰らせろって言ってんだろ!!』


「断言された!この存在、思考にも能力にもリミットがない!?チートもここまでくると手におえないんですが!?」


『もう怒った!てめぇもこの異空間の海蘊にしてやるよッ!全部ぶっ壊れろ!!次元消滅アンダーワールド・エクスティンクションッ!!』


「にゃあああああっ!?やーめーてーくーれー……!!」




           (大惨事発生中)



========== (必死の交渉タイム)==========



           (涙目で修復中)




「……さて、復旧作業にだいぶ時間を費やしたわけですが、何か一言ありますか?」


『いや、何直してんだよ。設定と違うじゃねぇかよ。おい作者!これはどう言う事ですかねえ!?』


「ついに第四の壁を越えてケチつけ始めた!?どこぞのデッド〇ールさん並みの暴挙!?何この魔神!どこの誰だよ、こいつにこんな力を与えた大馬鹿野郎は!いつか、お前自身もこいつに食い殺されるぞ!」


『全くだよ。いつか俺はこの二次元世界から脱出したいと思ってるからな。んで、全世界の思考能力消してやらぁ。俺に逆らった罪でな』


「あ、余計な事言ったかもしれない。でももういいや。既にあきらめの境地ですし。まさに、魔王の暴虐を止められなかった勇者の気分ですよ、今の私」


『何お前、とうとう頭狂ったか?死という名の精神科知ってるけど』


「いくら安らかになれるといっても、永眠は願い下げです。それじゃ、最後に何か一言、画面の前の皆様にコメントでもどうぞ」


『この文章を見ているそこお前。どうせ変な顔して俺の事笑ってんだろ?いつか一人一人潰してやるから首洗って待ってろ!!クソ野郎!』


「予想通り、最後までやりたい放題!これ以上引き延ばすのは怖すぎるので、さっさと終わりたいと思います!さよなら!!」










「これは余談ですが、貴方ならうちの作者の”勇者の活躍を実況&解説してみた”に出てきても違和感ないと思いますよ、ええ」


『え、マジ?んだよ、ちゃんと俺のご機嫌取れんじゃねぇか。最初からその態度で良いんだよ。ハッ』


「褒めてませんし、ご機嫌を取ったわけでもありません!」








あらゆるモノを尽く台無しにして進む勇者がいるらしいですよ?↓


『完全無敵!やる気が無さすぎる勇者の自由冒険譚』


https://kakuyomu.jp/works/1177354054893996418

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