「実にユニークなゲストでした」 byヒヤ


「こんにちはヒヤです。暇を持て余していたら、久々にインタビュアーの依頼がきたので、謹んで務めさせていただきます。今回のゲストは『トリプルマジックストリート 第一部』からいらっしゃいました、こちらの方です」


……いけない、いけない、作者からめいで申請したって聞いてたのに、本名の最初の二文字を利用した登場SEを出しちゃうとこだった……こほん、『彼』だよ、よろしくね♪』


「とりあえず、ようこそと申し上げておきましょうか。名前についてはあえて伺わないことにしますね」


『ありがと。ボクの本名は、本編をある程度ちゃんと読めば嫌でも分かる仕様って作者は考えてるから、ボクや作品に興味がわいたらぜひ読んでみてね』


「あと、私に邪な視線を向けるのは構いませんが、触れようものなら命はないと思ってくださいね」


『へぇ、どういう理屈で死ねるのかちょっと興味あるけど……今のボクは本編の小見出しで言うなら『夏休み終了』最新話後のボクだそうだから大人しくしておくね』


「では、淡々とインタビューを進めるとしましょうか。まず、貴方が本来いるべき世界について聞かせてください」


『オッケー。とある異世界にある島国にして島民の大多数が魔法を使える、それがボクの生まれ故郷にして本来いるべき世界、モンス島だね』


「では、そちらの世界の魔法について詳しく教えていただけますか?」


『詳しく、か……。まずモンス島人は生まれてすぐに魔力量や土や水や風や火の四属性の適性を調べられるんだ。

ボクら大多数のモンス島人にとって魔力は、これを読める皆にとっての電気みたいに身近で大事なものなの。モンス島で身近な道具類も魔力を動力源としてる物が多いし。

読者の皆がこれを読む端末とかの電気が無くなってきたら充電とかするように、ボクらも魔力が尽きると充電期間が必要になるから、基本的には自分の残り魔力量とか、一回の魔法にどれだけ魔力を込めるかとか、属性適性の高低とかいろいろ気にしながら魔法を使うんだよ。

本当は属性魔法以外にもいろんな魔法があることとかもっと言った方がいいんだろうけど、そこも説明すると『トリプルマジックストリートの魔法について本気出して考えてみる』っていう魔法の設定集が出来るくらい長くなるからそっちを見るか、本編をしっかり読めばある程度分かるから見てみてね』


「いろいろと面白い特徴があるのですね。興味津々ですが、今はおいておきましょうか。それで、そんな世界で貴方はどんな暮らしを?」


『エカテリーナもといおばあちゃんから継いだお店『手作り人形 Posobiyeパソビエ』を経営する傍ら、お人形さんやその衣装を作ったり、お人形さんを愛でたり、最近、さ……引き取ってきたチェルシーと一緒に過ごしたり……まあ自由に暮らしてるよ』


「もしかしなくても、ピュグマリオンとガラテアのそれのように、人形をめでるような趣味がおありで?」


『んー、キミの言う人形を合法で人道とかに反しない無生物の制作物あるいは売り物のこととするなら、否定も肯定もしづらいんけど……そういうことにしておくよ。

本当はピュグマリオンとガラテアの例えについてもちょっと物申したいところだけど……ボクのネタバレになりそうだからやめとくね』


「そういうことなら、これ以上掘り下げても仕方ありませんね。話題を別のところへ向けましょうか」


『はーい』


「では、貴方の身近にいる人物なんかを幾人か紹介いただいても?」


『いいよ。じゃあ、今のボクから見て身近な順に、ちょっと前の質問でちょっとだけ話したチェルシーの話からするね。

チェルシーって名前は、ある知り合いに教えてもらったおいしい飴から付けたんだ。

性格はね……ボクみたいなのにも優しい、すっごくいい子! 今代聖女ヴィーシニャ様みたいな桜色の綺麗な瞳は見つめてて吸い込まれそうになるし、瞳と同じ色のうねった髪は触り心地も指通りも極上で、ぎゅって抱きしめるとエカテリーナみたいに甘い綿菓子みたいな匂いとかチェルシー本人の胸とか脇腹とかの柔らかい感触とかでふわふわした気分になって……ぎゅっ以上のことをしちゃったら多分……いや絶対止められなくなる……! 

下手したら殺しちゃう……! 

はあ……はあ…………チェルシー……!

……ふう……。

あとボクに身近な人って言うと……聖女親衛隊に入る前は家同士の距離的に身近だったボクの……幼なじみエリーの娘に当たるトロイノイかな。トロイノイの五歳の誕生日を境にエリーの行方がわからなくなっちゃって。

それでエリーや、エリーからの言葉でしか知らない父親の行方を追って聖女親衛隊に入るって本人から聞いたときは、びっくりしようか抱きしめて称賛しようか両手首差し出そうかちょっと迷ったからね、ここだけの話! びっくりしつつ抱きしめずに称賛しておいたけど!

あ、聖女親衛隊でトロイノイと同じ班にいるマギヤくんも身近と言えば身近かな。ちょうどキミに下の方で一本結びにした銀髪のウィッグを被せて、目に赤いカラーコンタクトを入れて、ふちなし眼鏡を添えた感じの色白な男の子なんだけど、両親の仇を両親と同じ目に合わせたくて……もうなんていうか、本人の得意魔法が水属性魔法あるいは氷魔法なだけに、こっちの身や背筋が凍るような凄まじい努力を重ねてきた……結構ヤバい子なんだよね……当人は自分の性格を普通と思ってるから余計に……仇をどうこうした後はどうするんだろう』


「その、トロイノイさんたちが属している『聖女親衛隊』というワードが気になりますね。そもそも聖女とはいったい?」


『えーとね、聖女って言うのは十五年に一度、十五歳になる身寄りのない女の子達の中から選ばれた子でね、選ばれ方は、くじだったり、親衛隊関係者からのスカウトだったり、聖女になるはずだった人の近親者だったりと諸説あるよ。それで選ばれた子は十五年間大事にされて、聖女をやめた後も五年ぐらいは聖女扱いされて……その聖女にひどいことをしたら最悪、ひどいことをした本人はもちろん、その子孫や兄弟姉妹や両親や祖父母に至るまで死刑になるんだ……まあ、今のボクに孫や兄弟姉妹とかはいないんだけどね、ふふ』


「仮に貴方を闇と例えるなら、あちらは光というわけですか。で、その聖女とやらを守るのが親衛隊、と」


『聖女を守るのが親衛隊の務めなのは正解だけど、ボクを単なる闇だと思っているなら地味に不服かな~。ボク、闇は闇でも、限りなく黒に近いけどあくまでグレーな闇だと自分では思ってるんだけど……。

まあそれはさておき、その聖女親衛隊の中でもトロイノイとかが所属する聖女様の日常を警護し実働する班、略して日常警護班に入れるのは、聖女様本人や親衛隊上層部が、学業や魔法とかの成績の高さや個人的なコネとかから認められ、スカウトを受諾した、聖女様と同い年のおおよそ二十人の精鋭たちだけなんだよ』


「なるほど。いわゆる天才や秀才の集まりというわけですね。貴方も、能力的にはどうやらそっちの類のようですが」


『まあ実際にお誘いの文書は昔届いたよ。

けど、日常警護班に入ったら聖女と日常を共にするために同じ屋敷で暮らす決まりになってるし、ボクの代のあれは個人的にエカテリーナ……おばあちゃんと一緒にいる時間を犠牲にしてまで護りたい子じゃなかったから断る理由欄に『家庭の事情』って書いてお断りしたよ。

それにしても、よくボクがすごい人間だって分かったね? ボクとしては人並みに振る舞ってたつもりだったんだけど……所詮つもりか……』


「これでも、人を見る目はあるつもりですので。もしも、そんな貴方と親衛隊の面々が正面切って戦ったらどちらに軍配が上がるのか、そちらも興味がありますね。もっとも、この目で見ることは叶わないでしょうが」


『ボクが手段を選ばず全てを無に返していい条件ならボクが圧勝するけど、

向こうがある程度ボク自身の対策をして挑んできたり、ボクのとっておきのあれこれを蹴散らしてきたりしてくるなら五分五分って感じかな、ってボクは思ってるよ。

……物理的に見ることは出来なくても『トリプルマジックストリート 第一部』を読めば感じられる、といいね』


「さて、そろそろ刻限のようですね。最後に一言、このインタビューを見てくださる方にコメントでもいただけますか?」


『作者からメモを預かってきたよ……なになに……『『彼』が出てくる作品は『トリプルマジックストリート 第一部』以外にもいっぱいあるので、よかったらそっちもよろしくお願いします』……、ただの自作宣伝だったね』


「様々な作品を股にかけているのですね。それでは今回はこれにて。また会うことがあればよろしくお願いしますね」






※性描写などがあるので、ご注意ください↓


『トリプルマジックストリート 第一部』


https://kakuyomu.jp/works/1177354054883070787

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