「こいつの相手は、オレには荷が重いぜ……」 byアレフ
「今回は、一風変わったゲストをお招きしています!と、その前に。今回実況……じゃなくって、インタビュアーを担当するアレフです、どうぞよろしく。それじゃあ、ゲストにも挨拶してもらうとするか!」
『えっと、すみません。匿名希望でもいいですか? 量産型ハーレムラノベみたいな話の主人公なんて、恥ずかしいじゃないですか』
「名前を伏せてる件は置いておくとして、お前はそれでも主人公か?覇気が足りないぜ、覇気が!もっとやる気出していこうぜ!」
『やる気も何も、私だってなりたくて主人公になったわけではありませんから……。アレフさんは解説でしょう? いいですよね、私だって解説側とかの方がいいですよ』
『私の立場になってみてくださいよ。一人称だから頭の中は勝手に覗かれてしまうし、しかもクソ作者の考えたクソみたいな極端属性ヒロインとかと恋愛ごっこをさせられて』
『別にそれでも女の子に好かれるのは嬉しいですよ? 恵まれてはいる。ただ、日常系ラノベだからやる気を出したところでなかなか付き合ったり、エッチなことをしたりはできないように収束する。普通の高校生なら、好意を持たれていてこちらから行けばすぐ付き合えるのに。私は鈍感とかじゃないし奥手でもないから、さっさとお付き合いしていいはずなのに。なんやかんやネタが尽きるまで引き伸ばされる。生殺しみたいなものですよ。それでせっかく頑張ってもそのまま結果を濁して終わりみたいになるかもしれない。しかも、ラノベ主人公だから男友達も出来ない。普通に気の置けない友達とかも欲しいですよ。どれだけ仲が良かろうと男と女、根元的なところではわかり合えない。私はそうした孤独にずっと悩まされる。その上、クソ作者の気色悪い自己投影だとか私の頭を覗く読者からは私の尊厳まで否定されるかもしれない』
「こりゃダメだ。こいつ、うちの作者みたいに冷めてやがる」
『冷めてなんかいませんよ。私は被害者として憤りを覚えているのです。むしろ私が私らしく生きるために情熱をもって作品という世界と戦っている。確かに私よりずっと不幸な人生を歩む主人公もたくさんいらっしゃるのでしょうが、私には自分が創作の登場人物だということを自覚してしまった不幸がある。せめてそこらの主人公とは違うアイデンティティを貫こうと私なりに精一杯立ち向かっているのです』
「あーくそ、こういう理屈っぽい奴苦手なんだよな、俺。うちの作者も理屈っぽい奴だし、嫌になるぜ。とりあえず、作品の概要とか語ってくれるか?」
『概要……まあクソ作者の考えた中二病暴力ツンデレヒロインが「代行者戦争が云々、アタシに与えられた能力は身体強化だ云々」などと脳内設定を垂れ流しながら私を殺したり。まあ概ねただの日常系ハーレムラブコメでしょうね。私にも殺されても再生できる能力とかがありますが、これも困ったら爆発ネタとかで私を痛め付けておこうというクソ作者の浅知恵ギャグなのでしょう。これはセカイ系とか異能バトルとかじゃなくてただのラブコメってパイセンも言ってますから。やたらヒロイン連中なり背景なりが物騒に見えるのは錯覚です』
「おう、お疲れ!ちょいと堅苦しいけど、雰囲気とかは伝わったんじゃねえかな。ちなみに、”ここ”はメタ上等やりたい放題推奨の、言わば無礼講みたいな世界だが、あんたは本来の世界でも第四の壁を認識しているような感じなのか?」
『いえ、認識までは。私はこれがラノベの中だなって気付いてしまっただけです。周囲にはあからさまにクソラノベっぽい極端属性ヒロインとかがいて、可愛い妹とかも急に出来て、私はマトモなのに男友達もいなくて、そんなの非現実的じゃないかと。それで、「ああ、これはラノベなんだな」と。それが癪だったので、私の脳内を覗いているであろう読者の方々に向けて、ラノベらしからぬ理屈っぽい語りで、展開やらキャラやらを出してくる作者に向けて説教したり、先読みして勝手に動いてやろうと。作者への反抗ですね。それで、ラブコメはこうあるべきだと私見とかを語らせて頂いています』
「そりゃまた、変わった試みというべきか。そのあたりが、いわゆるアピールポイントってやつになるんだろうか?」
『まあそうですね。ありきたりなハーレムラノベ風にならないよう、私が頑張って地の文で個性を出してあげています』
「了解したぜ。どうやら、語り部こそ理屈派で堅苦しいが、よく読めば世界観自体は俺の好みにも合致しそうだしな」
『それはよかったです。脳内が勝手に覗かれてしまうことから逃れられないなら、せめて読者には嫌われたくないと思っておりますので』
「せっかくだし、他の登場人物とかについても少し話してくれよ。もちろん、興が削がれない程度でいいぜ」
『第四の壁の話でいうと、パイセンという学校の怪人は完全に認識しているようです。彼に私の身の上を相談したら、私の推測通りだと肯定していました。以来、私がよりマトモな高校生活を送れるよう援護してくれています。さっさと正妻を確定させれば昨今のラノベなら交際まではイケると。それで私もクソ作者の考えたヒロインの中からマトモな女の子を探そうと積極的に動き出します。彼が私を思考誘導しているかのような描写もありますが、私は至って正常なのでそれは誤解です』
『外れヒロインのエカチェリーナが私をすぐに殺したりするのはただの誰得暴力ツンデレです』
『妹がメカっぽく見えるのは属性として感情の起伏が乏しいから』
『クラスのリア充集団が誰かに操られているみたいに私を追跡とかしてくるのも、作者のリア充に対するおかしな偏見で悪役にしたいからです』
『聡明な私はクソ作者の浅知恵を看破してしまうのです。これはラブコメ。異能持ちヒロイン達がこっそり人類の進化を決める戦争をしているだとかのセカイ系ではありません』
『私はパイセンに思考誘導などされていません』
「サンキュ。とても斬新な試みを行っている一作なので、その発想力に敬意を持って一読してみるといいぜ!」
『ありがとうございます。惜しみ無く作者を非難しに来てください。そうすれば作者も展開やキャラをちゃんと読者に響くマトモなラブコメを勉強してくれるでしょう。そうなると私もすぐにいちいち殺されなくて済みます』
「それじゃ、恒例の締めと行きますか。最後に一言頼むぜ」
『これは日常系学園ラブコメである。セカイ系などではない! 断じて!』
「最後までそんな感じか、まあいいや。画面の前のみんなも、またな!」
斬新な発想を各キャラクターの個性が支える一作はこちらから↓
『これは日常系学園ラブコメである。セカイ系などではない』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054892680795
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます