第12話 とりあえず、ここまでね。


 だぁから、私は子持ちになったのよ。すごいでしょ?大学生で二人の子持ち。

 誰にもまねできないと思うのよ。そりゃ、自分のハラから産んだわけじゃないけど、可愛いのったらカワイイの。


 親ばかってこういうことかってしみじみ思ったよ。


 まぁ、1年もたてばそうじゃないってことに気が付くんだけどさ。

 だってさ、私の思う通りにはしてくれないじゃない?

 このズボンをはきたいって言ったって、洗濯されて外に干したばっかりなんだもん、無理じゃん。

 ちゃんと食べなきゃいけないのに、食べてくれない時とか。

 意思疎通できないお年頃って、ワケワカンナイ。


 もうほんとに、何でこんなことやってるんだろうって思ったわけよ。


 でもさぁ、考えれてみれば、どんな子だって、私とおんなじ思考でおんなじ行動できるわけないし、ちゃーちゃーしゃべって意思疎通できるわけじゃないもん。

 しゃべって意思疎通出来たら、そりゃぁ、楽しいわ。


 だからさ、考え変えたのよ。

「このズボン履きたいのは何で?濡れてるから、履き心地悪いよ。こっちのあおは嫌なの?じゃぁきいろの方?くろの方?履きたいズボン持ってきてみなよ」

 違うのよ、色じゃないのよ。ポケットが多いズボンが良かったんだって。


「食べないのはどうしてなの?お腹すいちゃうよ? え?お菓子が食べたいわけ?甘いのが欲しいのか。じゃぁ、これだけ食べたらお菓子食べて良いよ。静香には内緒だよ」


 食事はさ、もう離乳食の一日の分量なんて食べてくれないもん。ムラばっかりだから、気にしないことにした。一週間トータルで良いや、って思ったら気が抜けた。

 そうしたら、ちゃんと食べるのよ。

 一緒に、子供用の食器じゃなくて、陶器の食器から食べたかったらしい。

 熱い味噌汁差し出して、冷ましてから飲もうねって言ったら本当に熱いかどうか確認してからやぁっと納得して冷ましたお味噌汁飲むんだもん。


 人間て、おもしろい。


 じゃぁ、子育て楽しんだ方が勝ちじゃん。


 そう思ったらさ、何か、気が抜けて大丈夫、って変な自信が付いた。私、親をやっていけるね、って。迷っても、ぶつかってても、親やって行けるって思った。理解したいなぁって気持ちが大事だね、って。


 子供を付属品みたいに考える親っているじゃない?

 ああいうの、キライ。


 気が付けば、父さんと母さんと同じ子育てしてるの。笑っちゃったよ。でも、私が笑うと、子供たちも笑うの。それで良いやって、思ったわ。

 必死だったけど、それで良いやって思えたのよ。


もういいでしょ?ここまでここまで。

え?続き?


まぁ、またの機会にね。また会えたらってことで。

とりあえず、ここまでね。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る