第74話

 ホームルーム前の事である。彼が暇そうにしている。わたしと目が合うと寄ってくる。


「月之宮さん、アップルパイ美味しかったです……」


 どうやら、また、アップルパイを食べたいとの催促である。姉の言葉を思い出していた。


『わたしにその大好きな人を会わせる気持ちはあって?』である。


 わたしは気分が悪くなりトイレに駆け込むと洗面台で顔を洗う。嫌な顔……。自己嫌悪の極みであった。姉の言葉は絶対で彼に会いたいと言えばそうしなければならない。わたしは教室に戻ると彼に手作りのお菓子をご馳走すると言い。お屋敷に呼ぶのであった。


その日……。


 わたしは薬品庫の前にいた。死にたい気持ちになると、この薬品庫で毒薬を確認するのが習慣になっていた。自室に戻ろう……。ふらふらしながら自室に戻る。それから、わたしはベッドに横になり、死について考えていた。追憶の殺意に自殺願望である。何故、こんなにも死が身近にあるのであろう。呪われた月之宮家の定めかもしれない。夏に体調不良を理由に夕食をキャンセルして寝込むのであった。夜中に吐きそうになり起きるとお屋敷は静まり返っていた。わたしは水を飲み、気分を落ち着かせる。このまま朝まで起きているつもりであったがいつの間にか寝ていた。朝、起きると気分は最悪であった。わたしは学校を休み。自室でゴロゴロしていた。彼からメッセージが届く。内容は自分勝手な寂しいとの事であった。試しに甘えてみると今日の夕方にお屋敷に来るらしい。わたし彼が来る事を姉に連絡した。彼と姉が会ったらどうなるのであろう?わたしは不安な時間を過ごしていた。

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