第37話
夜遅くの事である。わたしは彼にメッセージを送ろうと思っていた。ベッドに横になり、携帯を持ち上げていた。何も変わらない日常はわたしの心を落ち着かせるのであった。ふと、死にたくなった。これで三度目の感情である。
一度目は姉と彼を殺そうと思った時……。二度目は忘れた。三度目は姉に裏のお仕事が依頼された事を知った次の日である。
そう、昨日の出来事から今日である。姉は日記帳が動いていた事を感づいて夏を叱り付けていた。わたしが謝ると不機嫌そうに自室に帰っていった。夕食も態度が読めないほど冷徹な表情であった。今は凛として死を選ぶのであった。はて?わたしは本当に死にたいのであろうか?彼は夏以外の大切な人である。また、姉を選んだら、わたしは死ぬ気である。浮かばないメッセージの内容を蹴り捨てて、わたしは庭に出て月を探してみた。しかし、見つからない。月明りに導かれて外に出たはずなのに月は無かった。
「恋菜様、今日は季節の変わり目です。冷えますから、お戻り下さい」
庭に出ていると夏に見つかった。わたしは夏に紅茶を頼んでリビングに向かう。
「夏は人生、楽しい?」
わたしの質問に夏は笑顔で楽しいと答える。夏には勝てないな……まるで、今日の月明かりのようだ。明るく導かれて外に出ると光は無かった事の様である。紅茶を飲み終わると猫の鳴き声が聞こえる。導かれて外に出ると猫はいなかった。今日は庭にでるのは二度目である。二度目の死にたかった理由が思い出せない。彼が死にたいと言っていた程度の熱病かもしれない。自室に戻りベッドに横になると、わたしは今の状態が熱病の様な事に気付く。死にたい熱病か……。
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