第35話

 わたしは下校途中でコンビニを見つける。このコンビニを見かけなかったので、新しくできたのかと思うのである。


『オープンキャンペーン・千円買って・温泉旅行に行こう』


 そう、クジでの抽選である。わたしはハーゲンダッツを買い占めてクジの抽選を行う。結果はハズレのコンビニチェーンのステッカーであった。こんな物いらないと外のゴミ箱に捨てる。


 うん?急いで帰らないとハーゲンダッツが溶けてしまう。面倒くさい物を買ってしまった。わたしは急いでお屋敷に帰る事にした。途中、公園のベンチを見つける。ここで食べればいいのかと気づき一つふたを開ける。わたしはバカである。全部食べられないという事は他のハーゲンダッツが溶けるという事である。

一つハーゲンダッツを食べてさらに急いで帰る。ホントバカであった。


 お屋敷に着くとハーゲンダッツを冷凍庫に入れて安堵する。わたしがゼハゼハしていると夏が寄ってくる。


「恋菜様、お疲れの様子ですね。今、紅茶を入れます」

「あ、夏、ハーゲンダッツを沢山買ってきたから、あなたも食べていいわ」

「はい、ありがとうございます」


 わたしは紅茶のおともにハーゲンダッツを取り出して食べる。至福の時である。しかし、これ以上は太るので半分残すことにした。それから、夏に紅茶とハーゲンダッツを勧める。夏はお掃除の合間に紅茶とハーゲンダッツを食べるのであった。

幸せそうな夏を見てうんうんと頷く。さて、姉の愛菜にはもったいない。わたしの作ったお菓子も食べないので、やはり姉には内緒にしておこう。


「恋菜さん、ハーゲンダッツを買ってきたそうね」


 何故、ばれたのかと思うが公園で食べた時に出たゴミがリビングに置きっぱなしであった。


「欲しい?」


 姉の威圧的な態度にわたしは言葉少なげに言う。


「えぇ、欲しいわ」


 姉が甘い物を欲しがるなんて珍しい……仕方がない、分けてあげよう。静かに食べ始める姉はハーゲンダッツのCMの様に美しかった。

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