第13話

 例えば、魔法使いが居たとする。魔法使いはきっと、わたしの事を魔女と呼ぶであろう。魔女の定義はそう、呪い等である。魔法使いは自ら力を持つが魔女は呪い殺すが正しい。呪いには毒などの物品を使う。魔法使いは人など殺さないであろう。


 そう、わたしは魔女である。


 ……。


 朝目覚めるとわたしは姉に殺される夢を見た。首を絞められて生死の狭間をさまよう夢だ。薄れゆく意識の中でわたしは姉にナイフを刺すところで目が覚めた。わたしは夏に紅茶を頼むのであった。髪の寝ぐせを見る為に鏡を見ると顔は白くやつれていた。紅茶を飲み高だった精神を落ち着かせると夏から絵はがきを渡される。


 インドに住む両親からだ。


 あの二人は仕事を理由にこの月之宮家から逃げたのである。わたしは絵はがきを二つに破るとゴミ箱に捨てる。わたしは学校に向かう為に支度をして朝食を食べる。サラダと焼いたウインナーにライスであった。


「夏、甘い物はあるかしら?」

「プリンがあります」

「一つ持ってきて」

「はい、恋菜様」


 わたしは食後に甘いプリンをスプーンで食べて席を立つ。自室に戻るとわたしは明るい色のリップを塗ることにした。青白い顔を隠す為だ。わたしは顔を自撮りして彼に送る。


『嬉しいな』


 簡単な返事が返ってくる。つまらない男……。彼が従順でなければ相手など絶対にしないなと思うのであった。わたしは夏に見送られて登校する。負の感情だけが支配する気分であった。

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