第5話

 わたしは部活に入らないと不味いらしい。それはクラスメイトに部活動の事を聞かれたからである。庶民の高校だから籍さえ入れれば問題ないとのこと。わたしは中庭を手入れするだけの園芸部に入る事にした。同じ部の生徒からはお嬢様の道楽と映っているらしい。


 ま、部室の無い様な寂れた部活だ。集まるのも空き教室を転々していた。花に水をあげる当番だけがわたしの活動であった。しかし、この部の生徒は花に詳しいなと感じる。わたしは試しに金木犀を植えたいと言ってみる。


 ざわざわとする部員たち、それから話し合いが続き、顧問の先生に一任でまとまった。わたしはこの部活ではマリーアントワネットなのかもしれない。


 ふ……少し大げさであったか。そう、そこまで裕福ではない。


 わたしは空いた時間に彼の部活動を見てみる事にした。彼はサッカー部の万年補欠であった。何やら基本トレーニングしかしていない。彼もまた集団行動が苦手で独りで練習するのが好きらしい。表現を変えればダサいと言える。


 わたしは思い付きから彼にスポーツドリンクを渡してみる。レギュラーの部員たちは何も気にしていないらしい。やはり、マリーアントワネットは大げさであった。わたしは自分がつまらない人生だなと改めて思う。


「ス、スポーツドリンク、ありがとう」


 彼がお礼を言ってくる。ホントダサい……。それでも心は浮かれていた。それから、わたしはハチミツレモンを自販機で買う、甘酸っぱい味は恋に例えられて癖になりそうです。こんな感情も恋愛の内に入るのであろう。

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