第2話



体育の授業が終わり、私は運悪く先生につかまった。


そしてボールを片付けることになった。


仕方なく集めたボールを体育館倉庫に運ぶ。


ボールをカゴに戻していると、倉庫の重い扉が閉まる音がして。


振り返ると拓磨がいた。



───カチャン。



今、カギ閉めた?



「どうしたの、拓磨」


「やっと2人きりになれたね」



え?



「これで心春を独り占めできる」



どうして拓磨は、そんな甘い言葉を吐くんだろう。


いつも急で心臓に悪い。



私が手に持っていたボールを拓磨に奪われたと思ったら、すぐに床に落ちて。


そのボールを目で追っている隙に、唇を奪われた。



「…拓磨っ」


「もうちょっと我慢して」



そう言って、いつもより強引に唇を重ねてくる拓磨。


我慢だなんて全然思ってないけど。


息が苦しい…。



「…拓磨っ」



私が拓磨の背中を叩くと、唇が離れた。


その隙に大きく空気を吸い込む。



「次も移動教室だから早く着替えないと…」


「俺と移動教室、どっちが大事?」



拓磨は女子がよく言う、“私と仕事どっちが大事なの?”的な感じで聞いてきた。



「なんで移動教室と拓磨を比べるの?」


「じゃあ、訂正。






俺と立花、どっちが大事?」



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